劇場公開日 2024年3月15日

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「今一つハマらない俺2」デューン 砂の惑星 PART2 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5今一つハマらない俺2

2024年5月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

誤解されぬよう書くと、ちゃんと壮大だし、効果音も心的に迫力ある音が、キーポイントで使われて緊迫感マックスにしてくれるし、1でも書いたけど、茶色一色になりそうな砂の惑星で、本当に見事な芸術的映像を俺たちに観せてくれるし、音響、映像としてはおそらく申し分がない!

主人公が持つ「将来が見える能力」も、決まっている未来が見えるのではなく、複数の多くの選択肢が見えるという能力だとわかってきた。主人公はその中の自分が選びたい選択肢になるように行動していくわけです。そんな能力なら、未来予知能力というよりは、常人より優れた想像力とも言えるので、そんなに神に近いわけじゃない気がしてきて、そこは原作者に好感。

俺がハマらないのは、きっと、ストーリー展開が軽やかにしてスピーディすぎるからなんだろうな。

憎きハルコンネン家に統治される惑星アラキスを、主人公が率いる砂漠の民たちがあっという間に奪い返し、空から警告に来た大統領家(大公家)連合とまで戦するという、あれよあれよ感はすごい。新たな強敵とのナイフでの闘いも、美しいがすんなりだ。そもそもなんであっさり捕虜になってんだ。

観終わった今なら、今回のメインテーマは、「主人公が異民族である砂漠の民達に、伝説で語られてきた救世主として崇め奉られるまでの様子」なので、率いられた民たちが神がかり的に戦い勝つ、ということが大切だったんだなあ、とわかるけれど。あまりにも。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、美意識、芸術性を最上位に置く人なんだろうな。俺みたいな、単純な冒険活劇好きとは、それほど相性がよくないのかもしれない。

とは言え、これでDUNEがシリーズとして定着し、完結まで観られそうだな、と思えることは、この上なく嬉しい。

そう、「それでも、俺は、3を待つ」だ!

可能性は低いが存在していることは明らかな望む未来をめざすために、「俺は救世主ではない」と自覚しながらもあえて救世主の名を受け入れ、民衆からの圧倒的な支持を率いて道を開こうとする主人公の今後は、楽しみだ。

おまけ1
地球の歩き方的「DUNE砂の惑星」ガイド、素晴らしい!!
かつのじょうさん、教えてくれてありがとうございます!!

おまけ2
もう上映は終わりなのかもしれないけれど、オンラインで観る人がいるかもしれないし、自分のためにも、1のレビューでも書いた予備知識を書いておこう。とにかく専門用語が多いから。

・舞台は西暦一万年を超える遠未来の宇宙に浮かぶ砂漠の惑星 "アラキス"。
・アラキスは、抗老化作用を持つ麻薬 "メランジ" を宇宙で唯一産出している星
・メランジは、長期間の宇宙旅行を可能にするために必須な抗老化作用薬。
・惑星アラキスは、宇宙を統べる帝国皇帝 "シャッダム四世" にとってもきわめて重要な惑星。
・主人公の出自 "アトレイデス家" は、1の冒頭で皇帝の命により惑星アラキスの統治を任された家系。
・敵対する "ハルコンネン家" は、アトレイデス家を奸計にはめて、アラキスの統治を奪った家系。
・主人公 "ポール" は、命からがら逃げ出したアトレイデス家の息子
・主人公の母 "ジェシカ" も主人公と逃げることができた。
・ "砂虫(サンドワーム、別名シャルーイ・フルード)" はアラキスの砂漠に住む生き物で、巨大な口を持ち最大全長400メートルにも及ぶ恐怖の存在。
・"フレメン" は惑星アラキスの過酷な砂漠を自由に生きる先住民。フレメンの言葉では惑星の名はアラキスではなく "デューン(DUNE)"。
・"チャニ" はフレメンの女性で、フレメンと行動を共にする主人公と知り合い生涯の伴侶となる人。

・"ベネ・ゲセリット" は、主人公の母ジェシカが属する秘密結社。
・"クウィサッツ・ハデラック" ="時空偏在者" は、秘密結社ベネ・ゲセリットが長い歳月をかけて優生学的選別を繰り返し科学技術によって生み出し自分たちの配下に置こうと目論んでいる限りなく神に近い存在)

こんなところかな。あとは、
主人公ポールも、母ジェシカによって上記操作を施され続けており、クウィサッツ・ハデラックの能力の片鱗たる "予知" がポールの中に芽生え始めている。
母ジェシカは "、秘密結社に伝わる "声" で相手を操る技も、主人公ポールに伝授している。

上記した固有名詞達をあらかじめ知っておくと、楽です。ついでに以下のことまで知っておくとよいかもしれません。

長期間の宇宙旅行を可能にするために必須な抗老化作用薬メランジ(麻薬でもある)は、実は恐ろしい砂虫(サンドワーム)の原型である "半植物半動物〈小産砂〉" の排泄物を太陽光と空気に晒すことで得られている。
ポールは、砂漠でも強く賢く生きる多産なトビネズミの名に因み「ムアッディブ」と名乗り、帝国への逆襲を主導する。(キネマ旬報 巽孝之氏の文章から引用)

おまけ3
救世主と言えば思い出すのは「幻魔大戦」だ。ポールには、幻魔大戦の主人公、東丈のように、自分に頼り切るみなの自覚を高めるためとは言え、姿を消してそれっきり、とはならないでほしい。(笑)

CB
Kazu Annさんのコメント
2024年8月29日

「ストーリー展開が軽やかにしてスピーディすぎる」には、完全に同意です。ただ、私は主人公が見る夢(未来像?)の映像が、何故かもの凄く好きです。そしてやはり、チャニが主役になる?PART 3を、めちゃ楽しみにしています。

Kazu Ann
琥珀糖さんのコメント
2024年5月20日

お邪魔します。

1より2の方がまだ分かりやすく思いました。
3で更に、エイっ、ヤァーっと、
分かりやすく白黒付けてほしいです。

琥珀糖