劇場公開日 2024年3月15日

「前作以上に濃密なドラマが見ごたえあり」デューン 砂の惑星 PART2 ありのさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0前作以上に濃密なドラマが見ごたえあり

2024年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

 物語は前作から直結しており、スタッフ、キャストも同じということで世界観やテイストがしっかりと引き継がれていて、すんなりと入り込むことが出来た。
 非情な運命を背負ったポールの足跡がドラマチックに展開されており、前作で謎だったアトレイデス家の秘密も明らかにされ、クライマックスを大いに盛り上げている。

 贅をつくした映像も文句なく素晴らしい。広大な砂漠の映像はスケール感タップリであるし、ド派手な戦闘シーンも目を見張る出来栄えである。

 特に、ポールがサンドワームを乗りこなすシーンの迫力は圧巻である。この臨場感、興奮は映画館でこそ味わいたい。テレビのモニターでは勿体ない。

 中盤から登場するハルコンネン男爵の甥フェイドの決闘シーンはモノトーンの映像で描かれていて、この美しさも特筆に値する。本作は砂漠のシーンはセピア、ハルコンネン家のシーンはブルーと巧みな色彩演出が際立っていた。

 強いて難を言えば、幾つか性急に映る場面があり、そこは少し勿体なく感じた。一つ一つのカットがPART1よりも少し短く感じられたのは気のせいだろうか。上映時間は前作よりも10分ほど長くなっているが、それでも本作の方が物語は濃密だ。元々長大なドラマなこともあり、展開を早めないと枠の中に収まりきらないということがあったのかもしれない。
 他に、ポールの元剣術師範ガーニイの再登場も周囲のリアクションの弱さが仇となりやや乱暴に感じられてしまった。

 また、本作には様々な特異な設定が登場するが、”命の水”についてはもう少し説明を要したかったかもしれない。その効力については今一つ呑み込みづらかった。

 物語はポールとフレメンの女戦士チャニのロマンスを軸にすることで、より女性ドラマ的な趣が増した。しかも、身重のジェシカの宿命や皇帝の娘の登場など、後半から女性キャラに比重が置かれていくようになる。このあたりは監督のドゥニ・ヴィルヌーヴのフィルモグラフィーを考えれば、なるほどと思える所である。

 シリーズは本作で一区切りとなるが、結末を見ればまだ物語が続いてもおかしくはない。ヴィルヌーヴ自身も第3作への意欲はあるようなので、次は彼女たちのドラマがどう転じていくのか。期待したい所である。

ありの