劇場公開日 2024年3月15日

「スパイス」デューン 砂の惑星 PART2 たまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スパイス

2024年3月21日
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フランクハーバートの長大な原作を、ここまで映像化した
Dヴィルヌーブには敬意を表する。大作であり、見応えもある。
パート1が序章であった、ということを差し引いても私には少し冗長、かつ物語の起伏を感じにくかった。
比べて今作はストーリーが駆動し、一定の起承転結にまで至っており、冗長さを感じることはなかった。

私は今やカルト作ともいわれる、80年代デビッドリンチ版デューンも好きな者である。
さまざまに酷評され批評、興行、原作ファンからも失敗作であるといわれたいわくつきの作品。
あのAホドロフスキー監督も完成した映画をみて、ひどくて安心した、なんてコメントしたそうな…
しかしながらリンチの味が色濃く出ているし、映像的にも面白くみられる。ストーリーの粗さや、編集面での様々な問題などあれ、悪くないと感じている方もいるのではないだろうか。

さて今作
原作未読ながら、かつてリンチが映像化した物語の理解が一定程度深まり、壮大なスケール感、音響の体感的感覚、没入感は凄まじい。VFX、音響技術などの進化がこの映像を可能にしたのだろう。
ストーリーとしては典型的な貴種流離譚。長大な原作初期部分を映像化している。
原作者Fハーバートものべているが、アラビアのロレンスも参考にした、と。今観ると中東イスラム世界、欧米アメリカ帝国?的世界の争いに複雑な集団が絡み合う権力闘争。
救世主伝説、宗教間闘争…などが入り組んでいる。

確かに映像化するには相当な手腕、力量の監督でないと難しいだろう。シナリオ創作も困難を極めたに違いない。
そこに、メランジと呼ばれる香料をめぐる争いまで入り、
なんと壮大なスケール。原作はSF小説でありながら全体文学小説的。未読ながら…そう思う。

自分が少し物足りなく思うのは、素晴らしくリアルな映像でありながら、洗練されすぎている気がしてならないこと。
それは人物描写にしても。
リンチ版が強烈にインパクトを残しているのは、そのシュールレアリスム的な表現。人物描写、醜悪、露悪的描写…
アトレイデス家、ハルコンネン家、砂漠の民フレメン、ベネゲセリットの魔女たち、皇帝一族…

今作のキャストも素晴らしい。Tシャラメ、ゼンデイヤ、Lファーガソン、ジョシュ・ブローリン、クリストファーウォーケン!ハビエルバルデム…一流のキャスト
シャーロットランプリングもいた

ただ、インパクトが弱いと感じるのは求めすぎか…

リンチ版のハルコーネン男爵役、狂気の甥フェイドラウザのスティングも、今作オースティンバトラーに比べてインパクト大。
スティングってミュージシャン…

ヴィルヌーブ監督の、ミニマリスト的表現も影響しているのだろうか。
人物のアクの強さが弱い。必ずしもそれが必要だとは思わないが。
個人の好き嫌いといえばそれまでではあるけれど。

ヴィルヌーブ監督の名作SF
メッセージをみたら、これが監督の描写表現なのだろう。

しかし作品は大作でありながら、スピード感あり起伏もうまく使い、美しい描写も多く観ておくべき大作映画でしょう。

気になったのが、劇中で出てくる核弾頭。切り札としての武器だ、との表現だったがこれは現実世界を反映しているのか。

たま
たまさんのコメント
2024年4月13日

シネマディクトさん、まさにそうなんです。
リアルすぎるんです。
VFXの進歩、悪いこととは思いません。
素直にすごいな、とも感じるんです。
でも、繰り返しですが、すぎるんです。
うまく言葉にできません。
共感、コメントありがとうございます。

たま
シネマディクトさんのコメント
2024年4月12日

私もリンチ派です。ヴィルヌーヴ版はリアルすぎる感じですね。

シネマディクト
トミーさんのコメント
2024年3月23日

情報ありがとうございます!こっちの地方でかかるかなぁ。
フォローありがとうございます。

トミー
たまさんのコメント
2024年3月22日

共感、コメントありがとうございます。
リンチ版、ちょっと先8月に4kリマスターで公開予定らしいですよ。
感覚がヴィルヌーブ版とは全然違うと思います。良くも悪くも。Dリンチだなぁと。

たま
トミーさんのコメント
2024年3月22日

共感ありがとうございます。
リンチ版(未見)をヴィルヌーブ版を観た後に観るのも面白そうですね、どこかでかからんですかね~

トミー
たまさんのコメント
2024年3月22日

共感コメント、ありがとうございます。
ほんと、最近の大作映画、尺が長い…
オッペンハイマーも3時間ですか…
インターミッションほしい🙂

リンチ版、自分も悪くはないとずっと思ってます。
スケール感、ヴィルヌーブ版は大きいですね。
3部作となればやはり観に行くでしょうね。

たま
ファランドルさんのコメント
2024年3月21日

共感有難うございました。
私もリンチ版は好きです。しかし、おそらく3部作になるだろうヴィルヌーヴ版は、時間(長さ)をたっぷりかけて、その分スケール感がすごいと思います。

ファランドル
NOBUさんのコメント
2024年3月21日

今晩は。
 共感有難うございます。
”フランクハーバートの長大な原作を、ここまで映像化したDヴィルヌーブには敬意を表する。大作であり、見応えもある。”
 全く同感です。166分或る長尺映画でしたが、個人的には体感120分かな。Dヴィルヌーブの一作目はちょっと?でしたが見事に巻き返したなと思いました。
 でね。最近の超大作はドンドン長尺化していく傾向がありますが、来週公開のCNの「オッペンハイマー」の上映時間を観たら180M!大丈夫か、オイラの膀胱!!
 180M越えの映画は数本観たし、昔の「風と共に去りぬ」とか「ベン・ハー」とかコロナ後、大変な状況だった映画館で観ましたがちゃんとインターミッションがありましたが、「オッペンハイマー」はないよなあ・・。では。

NOBU
たまさんのコメント
2024年3月21日

こちらこそ共感ありがとうございます🙂

たま
seiyoさんのコメント
2024年3月21日

こんばんは~。共感コメントありがとうございます。

seiyo