「【埋まる映画】」デューン 砂の惑星 PART2 てっぺいさんの映画レビュー(感想・評価)
【埋まる映画】
前作より増した砂の緻密な表現に、見ているこちらも砂塵に埋まるような没入感。巨大な砂虫がうごめくど迫力バトル、緊迫感満載の決闘と、エンタメ性もグッと上がった映画の深みに埋まる。
◆概要
第94回アカデミー賞で6部門に輝いた「DUNE デューン 砂の惑星」の続編。
【原作】
フランク・ハーバート「デューン」
【監督】
「ブレードランナー2049」ドゥニ・ビルヌーブ
【出演】
「君の名前で僕を呼んで」ティモシー・シャラメ
「グレイテスト・ショーマン」ゼンデイヤ
「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」レベッカ・ファーガソン
「グーニーズ」ジョシュ・ブローリン
「エルヴィス」オースティン・バトラー
「ミッドサマー」フローレンス・ピュー
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズ デイヴ・バウティスタ
「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」レア・セドゥ
「ドラゴンタトゥーの女」ステラン・スカルスガルド
「007 スカイフォール」ハビエル・バルデム
「ラストナイト・イン・ソーホー」アニャ・テイラー=ジョイ
【音楽】
「トップガン マーヴェリック」ハンス・ジマー
【公開】2024年3月15日
【上映時間】166分
◆ストーリー
その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、ついに反撃の狼煙を上げる。砂漠の民フレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサがデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。
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◆以下ネタバレ
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◆復讐劇
“香料を制するものはすべてを制する”と記される冒頭。本作でも、香料をめぐるアラキスの地がステージとなることがここで示される。そのアラキスの地でレト公爵、ダンカン、そして数多のアトレイデス兵士を失ったポール(スフィル・ハワトは登場しなかったので、死んだ設定か)。本作はその復讐劇が主な映画の軸となっていた。“足音で分かる”ガーニイとの再会を果たし、そのガーニイが長く仕えたレト公爵の仇、ラッバーンを始末する。ポールは自分の祖父だと勘づくも、躊躇なく“獣のように死ね”とハルコンネンを刺す(フェイドが止めに入らなかったのは、闘技場の決闘でのハルコンネン男爵の不始末が伏線になっていた)。全ての黒幕である皇帝も、ポールはアトレイデスの家紋の前に平伏させる。前作の想いを晴らす、2作にわたる大規模な伏線回収だった。
◆迫力
前作で一瞬だけ描写されたサンドワームライド。ポールがそれに挑む砂虫の巨大さと砂の勢い、そしてそのスピードが迫力満点。全てを飲み込むあの砂虫に乗るなんて発想にワクワクするし、そもそもそれがフレメンの移動手段だという設定も面白い。そしてサーダカー&ハルコンネン軍、フレメン軍(砂中から現れる兵士たち、そして無数の巨大なサンドワーム達に痺れまくる)の戦闘シーンはまるで「アベンジャーズ/エンドゲーム」('19)や「レディ・プレイヤー1」('18)のそれに勝るとも劣らぬカオスなど迫力。ポールとフェイドラウサの一騎打ちは、分かっちゃいるけどギリギリまで追い詰められる描写に手に汗握る(演じたオースティン・バトラーのサイコな役作りが素晴らしく、そのおかげでこのシーンの緊張感が非常に増していた)。前作に比べて、エンタメ度がMAXで向上していて、IMAXその他の特別シアターならいかに興奮度が増したかと少し後悔した笑。
◆チャニ
海を知らないチャニに、砂漠を海に例えるポール。広大な砂漠がバックのあのキスシーンがなんと美しいこと。互いの別名を知り、心寄せ合う2人は、“命ある限り愛してる”とポールが語るまでに。ポールの命の危機には、その涙で復活させ、チャニは預言書の一部にもなってしまう。その事で覚醒し、人格そのものからリサーン・アル=ガイブとなったポール(その事で見えた“ポール、愛してる”と話すアニャ・テイラー・ジョイは、おそらく生まれてくる妹だったというミスリード)。チャニのいる前でも、救世主としての選択肢をとったポールは皇女をめとる宣言をする。覚醒時にチャニがポールに張ったビンタは、この時無言で立ち去るしかすべのなかったチャニの、心の距離を強調するための映画表現に思えた。砂虫を呼ぶ彼女の悲しげな表情が印象的なラストは、ポールとの決別を意味しているようで、彼が次作で次のステージへと進む事の映画表現か(セリフで語らせず、表情で表現させる演出がなんともドゥニ監督らしい)。前作の冒頭がチャニのモノローグで、本作がポールとチャニの物語だった、つまりそれが前作で予言されていた。そう考えると、本作の冒頭は皇女イルーランのモノローグだった事から、次作はポールとイルーランの物語となる事が予測できる。ドゥニ監督はすでに脚本をほぼ書き上げているそうで、3部作での完結を公言しているそう。やはり数年後にはなってしまいそうだが、次作はそんな自分の“予言”が当たるかも確認しながら作品を楽しみたい。
◆関連作品
〇「DUNE デューン 砂の惑星」('21)
前作。第94回アカデミー賞では撮影賞など6部門を受賞。プライムビデオ配信中。
◆評価(2024年3月15日現在)
Filmarks:★×4.2
Yahoo!検索:★×4.4
映画.com:★×4.1