「極上の重低音を体感するために作ったかのような一作」デューン 砂の惑星 PART2 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
極上の重低音を体感するために作ったかのような一作
『DUNE/砂の惑星』(2021)はもう3年前の映画なのかー、と思いつつ、特に復習などしないまま鑑賞した観客による感想です。
前作はいわば、2時間30分かけて『砂の惑星』の世界設定を解説した導入部であることが、本作によって一層明らかになります。前作で辛くも逃げ延びたポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)とレディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)が、チャニ(ゼンデイヤ)らの力を借りつつ宿敵ハルコネン家に復讐していく怒涛の展開は、主筋だけ見れば典型的な「貴種流離譚」であって、それほど理解がむずかしい内容ではありません(『バーフバリ』シリーズでも似たような展開あったな…、って思う人も多いかも)。
そのため並みの演出であれば、「どっかで観たような話だし、冗長だなぁ」となりそうなところ、さすがにドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は些細な場面であっても、壮麗な美術、斬新な映像、そして重厚な音楽で、常に観客の期待感をかき立ててくれます。
特に際立っているのは重低音の迫力で、作中の環境音や劇伴音楽という形で常にずーん、ずーんというリズムが客席に伝わってきます。本作は長大な物語やヴィルヌーヴ監督の映像美を堪能すると同時に、極上の重低音を体感する場ともなっています。
そのため、もしIMAXでの鑑賞が可能な地域にお住まいで、「追加料金を払ってIMAXで観ようかどうしようかなぁ…」と迷っておられる方には、可能な限りIMAXでの鑑賞をお勧めします。
見せ場の連続で長尺が苦にならない作品ではありますが、数少ない難点は、作品固有の単語が盛りだくさんな上、アトレイデスらに複数の通り名があるなど(ロシア文学か!)、「あれ、この単語ってどういう意味だったっけ?」という疑問に集中力が奪われがちなところ。
もちろん十分な予習、復習すればいいんでしょうが、たいていの人には極めて困難なので、公式ホームページの人物相関図、あるいはパンフレット巻末の用語集にざっと目を通しておいてもいいかも。なおパンフレットは値段の割に情報が膨大で、デザインも素晴らしいので、資料集としても購入を強くおすすめしたい、のですが、内容に触れる記事が多いため、用語集以外のページは鑑賞後にご覧になるのがよいと思います!