劇場公開日 2024年3月15日

「健闘したな、ヴィルヌーヴ(それ以上)」デューン 砂の惑星 PART2 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5健闘したな、ヴィルヌーヴ(それ以上)

2024年3月19日
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鑑賞方法:映画館

至極!映画(館)体験の楽園
ファーストシーンから引き込まれる…その本編尺ずっと"最高!"ってわけではないがしれないが、やはりサンドワームに乗るシーンや、フェイド=ラウサのお誕生日プレゼント(?)シーン、そしてもちろん終盤の戦闘シーンと、目も心も奪われてしまうような至れり尽くせりの名シーンたちで彩られており、その間のシーンもどれも重要で、その多くに観客を魅了するような求心力があるのは確かだ。本シリーズは本作で『ロード・オブ・ザ・リング』の高みへ到達した(あるいは今後できる)のかもしれない…!!
様々なキャラクターが入り乱れ、様々な視点から語られる中で、ポールとフレメンの娘チャニの心を通わせていく描写や、「ベネ・ゲセリット」たち教母が暗躍するさまを盛り込み、とりわけポールの母レディ・ジェシカがまるでカルト教団のでも始められそうなほど周囲の心を操っていく展開など、時に不安感を煽られるような不穏な空気も流れるほどだ。そして、あの衝撃の真実へ辿り着く!見ていて疲れはするけど、飽きることはない。それは原作の力も勿論あるが、何より映画としてのこの作品の普遍的な力強さを物語っているようだ。フェイド=ラウサもっと見たかった感もあるけど、これくらいでよかったのかもな。
本作を見ていて面白いなと思うのは、フランク・ハーバートによる本原作は言わずもがな『スター・ウォーズ』はじめあらゆる作品に影響を与えてきた名作で、主人公ポールは"the one"選ばれし者なわけたが、ポール自身はそれを「ベネ・ゲセリット」の策略・謀であると考え、否定しながらも時にそう自ら演じようとしていることだ。かつ、彼のそうした面に懐疑的な目を最後まで向ける(その後も気になる!)ゼンデイヤ演じるチャニの存在によって、本作は単なる"ザ・ワン'選ばれし者の作品や、所謂"白人酋長"モノになっていないということだ。終わり方はまるで『ゴッドファーザー』?ということで、ヴィルヌーヴは続編制作にも乗り気らしいので楽しみ!!!

原作ファンが恐らく長年コレを見たかった書かれている通りの"証" As written
リサーン・アル=ガイブ!リサーン・アル=ガイブ!リサーン・アル=ガイブ!今の映画界にとってのクウィサッツ・ハデラックでリサーン・アル=ガイブ!コロナ禍でノーランの『テネット』が、トムの『トップガンマーヴェリック』がそうであったように映画館を救う救世主か。こちらは偉大なる原作ありきでオリジナル作品ではないが、そういう意味で「指輪物語」の傑作映画化『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに匹敵するような、今の世代にとっての新たなるSF映画の巨塔が生まれたかもしれない…。

至福の映像と音に包まれる楽園。今回もしっかりとその尺、長い上映時間は感じるが、その価値がある。撮影も音楽も美術にプロダクションデザインもなんて贅沢、これぞ"映画"体験だ。これは映画館で見るべきだし、なんならIMAXで見るべき!じゃないとこの真価を本当の意味では感じれない。全編IMAXカメラで撮影されており、前作が全編の40%程度とのことなので、なんと倍以上!! これは映画館で見なきゃ損。
カメラの前にも後ろにも最強の布陣、再集結!ハヴィエル・バルデム&ジョシュ・ブローリンの『ノーカントリー』盟友コンビに、シャラメ&フローレンス・ピューの『Little Women ストーリー・オブ・マイライフ』若手演技派コンビ。若手演技派と言えば、やはり本作の大きな見どころでポールのライバル的立ち位置で、最凶の刺客フェイド=ラウサを流石の存在感で演じるオースティン・バトラー!シャラメ VS バトラーの決闘シーンは必見なのでぜひとも刮目して見てほしい!!
ムアディブ!ムアディブ!ムアディブ!素直にスゴいのダメ押し、これを圧倒的情熱をもって実現してくれた我らがドゥニ・ヴィルヌーヴに畏怖と尊敬の念を抱かずにいられない、そしてもちろん感謝も。今回も技術的な部門で賞レースを席巻しそうだ。おまけに、オースティン・バトラーが助演部門に絡んできてもおかしくなさそうだし、なんなら作品賞ノミネートも!! 確かに荘厳さこそあれどキャッチーさなどはないが、日本でももっと人気出て売れたらいいのに、と思う(自分が続編見るために)。

健闘したな、アトレイデス
ムアディブ!
リサーン・アル=ガイブ!

P.S. アニャ・テイラー=ジョイ

とぽとぽ