「ケンプトンの魅力だけで牽引する」ゴヤの名画と優しい泥棒 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
ケンプトンの魅力だけで牽引する
ものすごく面白いということはないが笑えてなんだか晴れやかな気分、というか気にさせられる作品だ。物語が明るいという意味ではない。あくまで錯覚なんだな。
それは、なんといってもジム・ブロードベント演じるケンプトンのキャラクターによるところが大きいだろう。
ケンプトンは立派な人物とは言い難い。どこまで本気でどこから冗談かも分からない。ただ口がうまいだけのペテン師のようでもある。ヘレン・ミレン演じる妻はほとほと呆れているようだ。
しかしケンプトンの軽妙な語り口と飄々とした振る舞いは嫌でも惹きつけられ虜となる。愛すべきロクデナシだ。
気がつけば、ケンプトンが少しでもいい方に転ぶように応援している自分がいる。
冒頭とラストにある法廷シーンで、具体的な理由がなくとも、その場にいた人たちがケンプトンに寄り添おうとした気持ちが分かってしまうんだな。
ジム・ブロードベントはいい俳優だ。話し方がインチキくさいのがいい。
すでにレビューを書いた「キング・オブ・シーヴズ」にも出演していて狙ったわけではないがブロードベントの連続視聴になった。全く違うキャラクターで感心するんだけど、やっぱり本作のケンプトンのような道化師役が似合う。
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