「2人の演技で救われる」やがて海へと届く kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
2人の演技で救われる
身近な人の喪失感。その感じ方は人それぞれだ。なんとか前を向こうと無理矢理心を奮い立たせる者もいれば、逆にそこにとらわれることがいなくなった人への誠実さだと感じる者もいる。
いなくなった人への思いの違いが描かれる本作。大学に入学し出会ったまなとすみれのエピソードと、いなくなってしまった現在との対比で物語が進む。ところが、なぜいなくなったのか、亡くなったわけではないのか、中盤に判明しその現地をまなが訪れてから少し雰囲気が変わってしまう。
いや、そんな内容もありだし、彼らが話す内容に心が動かないわけではない。でも、まなとすみれの物語としてそれは絶対必要なくだりだったのかなと思ってしまうのだ。今まで観てきたエピソードをすみれ目線で追うことで2人の関係性がさらに深まる形だけでもよくね?
実はそのすみれ目線でなぞるシーンもすみれの心情が今ひとつわからなくてスッキリしない。これ、小説だともっとわかりやすいんだろうか。そもそも原作小説がこんな感じなんだろうか。
それでも岸井ゆきのと浜辺美波の演技がよかったことで救われる。そんな映画だ。
コメントする