「気持ちの整理のつけ方」やがて海へと届く ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
気持ちの整理のつけ方
真奈の大切な友人のすみれが旅先で行方不明になってしまい、数年たって、すみれの母親は娘の死を受け入れ、すみれの彼氏の遠野は新しい生活に踏み出している。その日から時間が止まったように感じている真奈はそのことが受け入れられない。
突然の別れに、残された者は気持ちをどう整理すればいいのか。結局はそれぞれが自分の納得のいく方法を見つけるしかないのです。
岸井ゆきのさんと浜辺美波さんの演技は良かったですが、演出はだらだらしてくどい所と、描写が足りない所がありました。
冒頭のアニメーションの意味は途中で分かりますが、どこまでが真実なのかがはっきりしません。
(ちょっと「この世界の片隅に」を連想するアニメです)
真奈がすみれの心の秘密をどこまで理解したのかもわかりづらいです。
遠野は薄々気付いていたかもしれません。すみれのビデオを観ていないと言うのは噓じゃないでしょうか。行方不明になったら手掛かりを探すでしょうから。
タイトルが何を意味しているのか分かりにくいのですが、後半のアニメーションと結びつけると怖いです。アニメは要らなかったかなあ。
あの日私は千葉の自宅に居ましたが、東北は気温がかなり低くて水は冷たかったでしょう。アニメの南の海みたいなきれいな青い色は、表現を和らげるという範疇を超えていると感じました。でも後半の走馬灯のようなシーンは素敵でしたね。ちょっとあわただしくて分かりづらかったですが。
ゆり。さん、コメントありがとうございます。
俺はアニメパートで泣かされた感じです。
海の中に沈んで抱き合う二人が融合していく雰囲気がとても心地よくて、本当に海の底にいるような気持になれました。水彩画タッチもよかった。どことなく、いわさきちひろみたいな・・・
ビデオに撮られる側は覗かれるのに、撮る側は覗かせない。すみれにとってビデオは趣味というより、自分を守る鎧のようなものだった。だから、自分を解放する旅にはビデオカメラを持っていく必要が無かった、という風に考えてみました。常にカメラを持っているというような描写は無かったですが、遠野が「カメラ越しに話すな!」みたいにキレていたので、そうかな、と。
分かりづらさは、鑑賞者の解釈に委ねられる。
という良作映画は多いですが、この映画はちょっと雑なので、監督の独りよがりな感じのほうが優ってしまった印象でしたね。
アニメーション部分がすみれの真実だとするなら、すみれは性同一性障害だったという事になるでしょうか。全体的に分かりにくく、真奈がすみれの内面を知っていく、という形にはなっていなかった感じです。他人の心は分からない、と言っちゃってますからね。