世界で一番美しい少年のレビュー・感想・評価
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彼が今ここから歩き出すための映画
初老を迎え容姿は変わったものの、スリムで高身長のスタイルと憂いを帯びた佇まいは、未だ見栄えがするが、今は60代であるにも関わらず、彼の言動は頼りなく依存心が強いうえに、自己中心的で自己肯定感が低い
僅か16歳で"世界で一番美しい少年"と形容され、世界中から注目を浴びる存在となり、誰からも自分の身を守る術も心の保ちようも教えられないまま、大人達に利用され消費され続けた少年期から、美少年役に囚われ続けた青年期、悲劇から家庭も壊れアパートで1人暮らす現在
過去の映像の中の笑顔と現在の笑顔は、どちらも同じ様に俯きがちで弱々しい
このドキュメンタリー映画を作ることは、彼にとって過去に向き合い人生をリスタートさせるための大きな決断であり、チャレンジだったんだと思う
エンディング、海辺に立つ背中に、そっとエールを送りたくなった
圧倒的に求められる幻想と現実の間で起こっていた事実
「ベニスに死す」で圧倒的な存在感だった青年が
現実社会ではどうであったか?ということを考えたことがあるだろうか?
世の中にありとあらゆる美男美女が彗星のように現れるが
果たして幸せだったか否かということを悩むことは見る側には無い
華やかな舞台で燦然と輝く存在がまさかこんな人生を辿っていたとは
驚きでもあったし目を背けたくなるほど、言いようのない人生がここには描かれていた。
何を持って幸せかは人の持ちようであるが世界を魅了した青年がどういう経緯で脚光を浴び、苦悩したのかは誰も知らなかった。
当たり前であるが見る側には演者の背景なぞ見えないほうが、その物語にとっては良いことなのだろうが、こんなにも明暗がある人生だと見る人すべてが申し訳なかったと思いざる負えない
人は表舞台に立つ人が華やかで豊かな暮らしを現実でもしているだろうと
当たり前にすり替えてしまうけど、決してそうではなく
それを演じられた役者には称賛をすべきだけど、それが全てと現実を混ぜてその人を歪めてしまうことは幸福な中での不都合であるとエンドロールに流れる歌をそんな気持ちで聴いた
今もオーラすごっ!
僕らは守られている
作られたイメージの重苦
「ベニスに死す」の美少年の、その後を描いたドキュメンタリー。
早々に現在のご本人登場するので、「えええ!こんなに劣化!?」な衝撃少なめ。
…まぁ、そこでビックリさせる映画ではないので。
「ターミネーター2」のエドワード・ファーロングや
「コマンドー」のアリッサ・ミラノとか、
日本でだけ歌手デビューしたスターは知ってはいましたが、
まさか、この方も日本で歌手デビューしてたとは知りませんでした。
しかも日本語で!
しかも酒井政利プロデューサーで…!
そっち系で裁判沙汰になってましたよね。…あ、怪しい。
「ベルばら」の池田先生との対談では、柔らかな表情だったのに、
酒井政利プロデューサーとの対談になると、顔がめちゃくちゃこわばって、目に敵意??
やっぱり当時、何かされたのかな…?と色々と憶測。
今当時の写真を見ると、そんな中性的な感じでもないのに、
映画やマスコミって、いくらでもパブリックイメージ作り出せるんだな、と改めて思いました。
本人が本当に中性的で、そういう性的指向であったなら、また違った人生になっていたのだと思うと、ものすごくやるせない気分になりました。
(原題) Varldens vackraste pojke
日本人でごめんなさい
他の映画を観に行った時に美しい少年のポスターを見かけ、この映画を知りました。
少し調べて「ベニスに死す」の主演俳優のドキュメンタリーと知り、予習がてら自宅で鑑賞してから映画館に行って正解。これから鑑賞する方もこの方法をおすすめします。
ビョルン氏が日本で大ブームになり、子供なのにめちゃくちゃ働かされたくだりは辛く…でも「The日本人が好きそうな風貌」に熱狂してしまった当時の日本人の気持ちもわからなくもなく…今回の再来日で少しは楽しい思い出できただろうか…いまだに日本の通販とかファッション雑誌とかは男女問わず白人モデルで賑わい、若く美しくないと価値がないとされているとか知らないで帰国したかな。
あまり救いのない映画で辛いけど、白髪で髭をたくわえていてもカリスマ性が否めない…嫌かもしれないけど可能ならばこれからも映画出演して欲しいと思ってしまいました。
花の命は短くて苦しきことのみ多かりき
林芙美子の言葉のように、花の命は短いのだ。誰しも老いは平等だし、いつまでもチヤホヤされ続けるのは難しい。
人生は苦悩だらけだ。
一瞬の素晴らしい煌めきを切り取った映画が全てを変えたのでしょう。
世界で1番美しくても後の人生は息子を亡くしたり苦しいことが多く、アルコールに溺れたり鬱になったり。
でもさ、とにかく優しい、いい娘がいて良かったよね!
子供を作っておいてほんとに良かったんだよ。
フランスでゲイのおじさん達のトロフィーとして飲み込まれて、そのまま子供を作っていなかったとしたらもっと荒んでたのではないかな。
キリストのような髪と髭を蓄えたったおじさんの姿になっても命を絶たず生きながらえていて良かったと思う。
私がオバさんになってもを歌う綺麗なおばさんになった森高千里のように、今も尚、このような映画で望まれ、注目に値するおじさんなのだから。
日本語の歌詞の歌のメロディが物悲しい。
でも、あなたがいたからオスカルや美少年マンガが生まれたなんて、やはり美は罪作りなほど人々を魅了するのだ。
美しく生まれることは罪なのか罰なのか
『ミッドサマー』で強烈な印象を残した老人が、実は「世界で一番美しい少年」だったということを後から知って、とても興味を持っていた。
当時の映像が流れると、めちゃくちゃ納得した。こんな陰翳を持った美少年が有名監督の作品に出演したら世間がほっておくわけない。少女マンガから飛び出したルックだと思ったら、逆にビョルンがベルばらのモデルになっていたなんて。
美しく生まれることが罪なのではなく、美しさそのものに引き寄せられる大人たち、利用して金儲けしようとする人間に人生を狂わされてしまう。
思わず二度見してしまうくらいの美しい姿になって見たい。この作品を観終わったあとでも、その願望を捨てることができない。美に対する羨望や嫉妬はDNAに刷り込まれているのではないか。そうだとすると、悲劇は永遠に繰り返される。
ビスコンティ―最高の美少年の人生、栄華盛衰の実話! 恐ろしく美しい。
実在の人物の実話ドキュメンタリーとは思えないほどのドラマ性
恐ろしく美しく、老いてなお神々しいオーラを放つ。
ディオールのモデルでもあった母
不幸な幼少期だからこその陰のある少年は
繊細さ危うさと、ミステリアスな色気という他に追随を許さない一瞬の表情を見せる。
ドキュメンタリーなのに、彼のドラマチックな人生が
崇高なオペラのように、時間を超えて描かれている。
まるで「オペラ座の怪人」と、「イエスキリスト」を、ハリーポッターの時代に見ているような
彼は、後ろ姿で立っているだけで、ただ歩いているだけで
重厚なのだった。
ご自分の秘める部分も出したご本人に脱帽し、その存在感あってのものだけれど
この後すぐに、見たことのない「ベニスに死す」を見
「ベニスに死す」を凌駕する、素晴らしい作品だと思った。
彼は15歳の時点で知っていたら、こうならなかったと度々言っている。
是非、子供達にも見せてあげてほしい!
フィクションではない! 本物の世界的スターのリアルな経験なので
人生が変わると思う。
搾取され蹂躙された美
美しく無垢な少年をろくでなしの大人たちが喰い物にした挙句に彼の人生も台無しにしてしまう。日本のジャニーズしかり、何処の国でもある話。しかし、そこには紛れもなく一人の人間が居て、人権が迫害されている現実。華々しい表面ばかり眺めていても見えて来ない事実。人間が人間らしく居るためにも社会的な権利を絶対に奪ってはいけない。例え権威による圧力があったとしても、知性と理性を持った人間の判断を誰もが持ち合わせていなくてはならない。社会的弱者は誰もがその立場に陥る可能性があるばかりではなく、自らの問題と捉えて思い遣る冷静さを捨ててはならない。可能性を潰すことなく、最大限に活かせるように手を差し出すのが大人としての役割である。未来が彼ら彼女らの手の中にある以上は。
何かを投影し、崇拝し、でも人間性は見ない
タジオは彼のインナーチャイルド
【リド島の海岸】
初めて「ベニスに死す」を観た時に、人は究極の美に出会ったときに、本当に、もう死んでも良いと思うのだろうかと考えた。
この作品の最後の場面、ビョルンが立っていたリド島の海岸に僕は3回ほど行ったことがある。
「ベニスに死す」の舞台となった海岸だが、僕が訪れたのは秋から冬ばかりで、人はものすごく少なかった。
そんな時期に、リド島を訪れるのは、「ベニスに死す」が好きな人じゃないかと思う。
「ベニスに死す」の後、ビョルンを画面で見たのは「ミッドサマー」だった。
カルト的な人気を博した映画だったが、たぶん、僕を含めた多くの人が、あの変わりように驚いたのではないかと思う。
(以下ネタバレ)
この作品は、ルキノ・ビスコンティのオーディションの場面から始まる。
この作品を撮るために行ったオーディションや「ベニスに死す」の「タージオ」役探しは数年に及んだという。
ビスコンティが、世界でも数か所候補に挙がっている性淘汰があったとされるスウェーデンで、オーディションを行ったのは偶然ではないように思う。
性淘汰とは、生存力とか身体的強さとかが遺伝的に優位になるのではなく、それ以外の何らかの理由で、特定の特徴を備えた人が多数を占めるようになることだが、スウェーデンでは高身長、青い目、ブロンドがそれだとされている。
ビョルンはブロンドではないし、母親はボヘミアン(ボヘミア人のことではなく、アートなどの理由で社会的生活を放棄したような人)でデンマーク育ちとされているが、ビョルンがスウェーデンに居たのは偶然ではないように思う。
それほど、ビョルンはタージオだった。
この作品では、「ベニスに死す」の後の、ビョルンのすさまじい苦悩が語られるが、映画の後の喧騒より大きかったのは、出自と息子の死ではなかったのかと思った。
父親が誰かわからない。
ボヘミアンの母親。
記録に残っている母親の死にざま。
息子の突発死。
松田優作さんも父親が誰かわからなかったことに苦悩したと云うが、母親のこともあって、アイデンティティに問題を抱えていたのだと思う。
そして、幼い息子の死。
日本での歌の録音など、ありがちな喧騒はちょっと日本人として恥ずかしくなるが、日本人のアイドル好きは、当時とそれほど変わっていないように思う。
フランスのパトロン然としたした連中の囲い込みや、もしかしたら要求されたゲイ行為もビョルンを傷つけたのだろう。
「ベニスに死す」を観た時に、人は究極の美に出会ったときに、本当に、もう死んでも良いと思うのだろうかと考えた。
世界中に美しいものは沢山ある。
絵画、彫刻、建築、様々な装飾。
しかし、これらは人間が、はかない一瞬の美を閉じ込めるために作り上げたもののように思う。
自然や、そして、人間の美しさは一瞬で儚い。
タージオの美しさも一瞬で儚かったのかもしれない。
儚いものほど美しいものはないのかもしれない。
しかし、人は見た目の美しさだけを美しいと感じる生き物ではない。
ビョルンは確かに皺を刻み、当時とは全く異なっている。
でも、様々な苦悩を抱え、こうして再び自らの人生を振り返るビョルンの人生は美しいのではないかと僕は思う。
再び、ベニスを訪れることがあれば、僕はまたリド島の海岸に行きたいと思う。
少年一人の力には限界がある。
世界一の美少年に生まれても、幸せになれるとは限らない
映画の美少年ランキングで、必ず上位に来る方のドキュメントって事で、以前そういうランキングで見た事あって、どんな人か興味あったので見に行く事に。
現在のお姿、何か変わってしまったみたいなレビューがあったけど、今もやはりイケメンでした。
当時のオーディションの映像が出てくるんですが、画面で見ても相当イケメン、って事は生で見たら、相当なインパクトがあっただろうなと、想像つきます。
ただ、映画で一躍有名になった事で、同性愛者の金持ちに囲われる?みたいな状況になったり、性の対象として見られトロフィー的な扱いを受けた事で精神的に病んでしまい、その後の人生に悪い影響を及ぼしてしまったとの事。
監督とは古い付き合いだそうで、そこまで晒す?ってくらい、カメラの前で心情を吐露し、出来事が展開されていくので、見ていてつらくなる時もあります。
映画の最後、娘さんが言うセリフがこの映画の全てかなと思います。
世界一の美少年に生まれても、幸せになれるとは限らないのですね。
世代的にはエドワード・ファーロングとなんか重なりました。
不幸な星を背負った美貌の少年の悲劇
映画「ベニスに死す」は名作だ。DVDを購入して、2年に一回は鑑賞する。トーマス・マンの原作も読んでいるし、なんと言ってもグスタフ・マーラーの音楽が素晴らしい。原作をも上回る場面(ラストのアッシェンバッハが死ぬところ)がある。これは本当に珍しい。
映画で主人公が憧れる美少年を演じたビヨルン・アンデルセンのドキュメンタリー映画。たまたま、彼と同年生まれなので、彼の来日時の騒動は知っている。
私生児として生まれ、失踪した母は自殺は自殺或いは事故死している。父親は誰か今もってわからない。このひとは不幸な星のもとに生まれたとしか思えない。また、類まれな美貌を与えて事が不幸を追い打ちをかけた。もし、映画出演していなかったら、今は普通な家庭を得て、昔は美男だったおじいちゃんになっていたかもしれない。男の美貌も罪作りだと感じた。
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