世界で一番美しい少年のレビュー・感想・評価
全56件中、1~20件目を表示
こんなシーンをよく撮っていたな
#オーディション風景。上半身裸になるよう指示するヴィスコンティと、狼狽えるビョルン。あとからドキュメンタリーにすることをあたかも想定していたような映像が残っていることにまず驚いた。ヴィスコンティにとって負のイメージしかない映像だから。いや当時はハッキリ問題視されていなかったのか。もしくは都合よく切り取ったか。もう巨匠ヴィスコンティが「キモい最悪な老人」にしかみえない。。 幼い頃の母とのプライベートな映像もいくつか映し出された。ビデオカメラが一般的ではない時代によく撮っていたものだ。裕福な家庭だったのかな。
#ビョルンを何処かで見た覚えあると思っていたら日本のCMに出ていたのね。日本語の歌謡曲まで出していたとは知らなかった。(むっちゃいい発音。)ただ、日本も片棒担いでいたような複雑な気分。。。
#うん、確かにオスカルのモデルだわ。
#老人になってもカッコいい。スリムで着こなしも抜群。そしてミステリアス。
#「子供が子供の親にはなれない」 ・・・ 私が抱いた不安と同じだった。
#母親が失踪、そして自殺。子役時代に性的搾取。寝ている横で息子が突然死。。。「息子が私の至らない点を全部背負った。」いたたまれない。
#『ミッド・サマー』のあのシーンの老人だとは。 これまた驚いた。
どうか、ビョルンがあのシーンでこれまでの自分をリセットして、新たに生きていけることを願う。
「厳しい言葉はいらない。穏やかに。」、、、。
研ぎ澄まされた構成力に引き込まれる
その少年は俳優志望というわけでも、モデルとして成功しようと野心を抱いているわけでもなかった。しかしヴィスコンティ監督に美貌を見出され『ベニスに死す』に出演したことで、訳もわからず世界的な狂騒の渦に巻き込まれ・・・。あれから50年を経た彼は、すっかり白くなった長髪をなびかせつつ、今なおフォトジェニックな表情で我々を魅了する。だが内面は別だ。そこに深く突き刺さっているものは一体何なのか。本作では、導入部から記録映像と音楽とが親密に絡まり合い、美しくもミステリアスな雰囲気を織りなしていく。はっとさせられるのは本作の構成の巧さだ。ビョルンという人間の複雑性を一枚、また一枚と丁寧にめくっていくその手捌きや筆致は、ドキュメンタリーでありながら、ひとつの物語に身を委ねているかのよう。幾つもの悲しみと苦しみを共有し、全てを知った上で改めて、彼に引き込まれていく。なんという人生。ずしんと重みを感じる作品だ。
日本人も大きく関わった美少年俳優のドキュメンタリー
『ミッドサマー』('19)で夏至祭のシーンに登場するロングヘアの老人が、実は『ベニスに死す』('71)で美少年タジオを演じた人物の50年後の姿だった、と言われてもピンと来なかった映画ファンのために、このドキュメンタリーはオススメだ。
その人物、ビョルン・アンドレセンが15歳で巨匠ルキノ・ヴィスコンティの目に留まり、性差を超えたアイコンとして突然注目され、特にこの日本で、スウェーデンからやって来たブロンドのアイドルとしてもてはやされ、もみくちゃにされ、消費され、興味本位で使い捨てられていくプロセスが克明に描かれるからだ。
そこには、シンデレラボーイ、シンデレラガールと呼ばれた人たちが辿る壮絶に暗い宿命のようなものが横たわっていて、見慣れた風景とは言え、少々複雑な心境になる。
しかし、日本人も大きく関わったアンドレセンの人生が、66歳を迎えた今、こうして公的に語られるまでになったことに少なからず安らぎを感じる。それが、ややドラマチックに描かれすぎる本ドキュメンタリーを観た正直な感想だ。
「ベニスに死す」タジオ役の少年が、日本で芸能活動していたという事実
ミッドサマーから
少し前にミッドサマーを見て、後になってから(えっ!アレが?)となったので。
うーん、美形に産まれても、常人とは違う苦労って有るんだなぁ・・・としか言いようが無いかなぁ。具体的な部分はオブラートに包んでる(まぁ、想像つくけど)。
しかし、ベニスに死すのスタッフ大半が同性愛者の男って・・・・何故?カメラ回ってない時に何してたん?
しかも、映画に出るだけなのに、何故か3年の専属契約を監督と結ばされるって意味不明。
祖母が孫を商品扱いってのが・・・・
まぁ、日本でも一昨年騒がれた鬼畜の所業の人物が居るし。
ルキノ・ヴィスコンティって、昔の人だし、日本では馴染みが無い(作品名は知ってる程度)けど、現在の海外での扱いってどうなんだろう?
ヴィスコンティの仕打ちなど、詳細な描写は抑制しているので、事態の醜悪性がやや緩和された感のある一作
『ミッドサマー』(2019)で突如スクリーンに復活し、一部の映画ファンを大いに驚かせたビョルン・アンドレセン。かつて「世界で一番美しい少年」と世界中のファンが称え、来日したこともある彼に一体何が起きたのか…当時の映像や関係者の証言、そして現在のアンドレセンの映像を交えつつ描いていきます。とはいっても真相追及型のドキュメンタリーという要素はそこまで強くはなく、どちらかというと華々しいスクリーンデビューの後、いくつかの経験を通じて心身共に疲弊しきった彼が、(『ミッドサマー』で彼がしたように)かつての自分の幻像に決着を付け、そして改めて年齢を重ねた自分として生き直す、という静かな宣言のような内容でした。
『ミッドサマー』公開後、彼にまつわる事実や噂が飛び交いましたが、本作ではあえてそれらについてあまり深入りしていません。特に、最も彼に重大な影響を与えたであろう、ルキノ・ヴィスコンティ監督の仕打ちについて、言及すればいくらでもスキャンダラスな作品にできたであろうところですが、それを抑制したところにアンドレセンへの気遣いを感じました。
とはいえ、本作のいくつかのショットを通じて、彼が被ったおぞましい体験は想像ができてしまうのですが。
映画ってそんなもんでしょ
映画序盤とラスト直前に少しだけ落ちる💦 従って一言だけで… 歳月は...
映画序盤とラスト直前に少しだけ落ちる💦
従って一言だけで…
歳月は実に罪深い
ビョルンの心に深い傷を塗り付けたのが、もしも日本での狂乱のプロモーションによるものだったのだとしたら、、、
何とも言い難いものがある。
2021年12月19日 シネスイッチ銀座2
彼のその後を知らなかった・・・
“やめてあげて、子供になんてことするの”
ビスコンティによって”世界で一番美しい少年”として見出され、ベニスに死すで世界的に有名になった少年、ビョルン。ベルサイユのばらのオスカルのモデルでもあったと今回初めて知った。
その彼の50年後の姿は最初ちょっと面食らう。よくよく見ると造形は美しいままなのだけれど。
彼の生い立ちに大きく影響を与えた母の自殺や繊細な性格というものはあったにせよ、ちゃんと大人が守るべきだった。
ビョルンの娘が言った言葉が全てだと思う。彼の祖母に言ってあげたい、やめてあげて、自由にしてあげて、子供になんてことするの、と。
ベニスに死すで有名となるだけでなく、同性愛者の世界では美しさのシンボル、ステータスにもなってしまった彼。
そんな事情など知って知らずか、美少年として熱狂する日本人。まだ15歳の少年だというのに。CMだけでなく、日本語の歌で歌手デビューまでしていたらしい。まだ何も知らない少年を自らの利益のために連れ回し、傷つけてしまったかもしれないと感じている日本人がどれだけいるだろう。
日本語の発音の上手さや、50年ほど経った今でも口ずさめること、そして17歳の時のショパンの幻想即興曲の録音などから、音楽的な才能を伺い知れる。
ベニスに死す見なきゃなぁ
現在の彼のプライベートな生活に踏み込んで行く様がリアリティショー的な撮り方にも見えて、これはこれで彼の人生を切り売りしているようにも見えました。
全編を不幸のピースで埋めているけど彼の人生の明暗の濃さには美しさの他にも輝くものがもっとあっても良いんじゃないかな。アクターや子役の人権的なメッセージを届けるためにあえての演出だと思うけど。
10代の多感な時期に庇護者がいない状態で有名になるリスクや、自分の物的価値を取り扱うメンタルやスキルが無い状態で投げ込まれる不幸って個人でどうにもならないなーと。
ベニスに死すから3年他の映画に出られない契約には少年期を価値として個人保有する行為としてみると中々えぐいし…今の世の中でこういった問題や痛みの山に光が当てられて明確な基準ができてきて世の中良くなっていくんでしょうね。
池田理代子先生のインタビュー全部見たかったなぁ、細切れだから全体的に今も日本人は彼の実像を見えていないの象徴みたいになってた。まぁそういった日本の騒ぎ方を見せるのには良い材料だしこの映画の意図ならそうなるよな。
ドキュメンタリーは制作側の意図を感じて見ないと視野が狭くなるから見る時はいつもちょっと怖いな〜と思いながら見てます。
にしても赤子の頃からよくこんなに映像残ってるよ。
みているとドキドキしてくる
重たい称号を背負って生きる
ベニスに死す、映画のタイトルは勿論知っていた。
ただ、ここにこれほど美しい少年が出ていることは恥ずかしながらしらなかった。この映画を見始めて本当に驚いた。なんて綺麗な少年なんだろうと。
一躍スターに躍り出た彼だったが、それは彼が望んだことでも目指したかったことでもなかった。なんて辛い人生を生きてきたのだろう。
美しさについた称号は、世界で最も美しい少年だった。
そして栄光と挫折、賞賛と批判にさらされて彼は老人と言われる年になっていた。
年老いても、やはり美しさの片鱗は残しながら、自分の軌跡を辿っていく。辛いことを思い出して言葉にする作業はどれほどのものか。でもこの年齢でようやくそれができたのかもしれない。最後に良くも悪くも深い思い出のある海辺に立つ彼の静かな佇まいに涙した。
ベニスに死すを観ようと思う。
ルキノ・ヴィスコンティの呪い
もっともっと早くに呪いを解いて自由にさせてあげていれば・・・
呪いが50年!!
長過ぎた。
『ベニスに死す』のビョルン・アンドレセンは、その一作で映画史から忽然と姿を消している。
その間に何があったのか?
そしてビョルンの生い立ち、母親、祖母、妹そして娘さん。
汚部屋を掃除してくれる恋人。
妹の証言。
父親を全く知らないこと。
母親が10歳の時に自殺したこと・・・、
1971年。
『ベニスに死す』の美少年を探して、ルキノ・ヴィスコンティのオーディションが、
スウェーデンであった事。
ヴィスソンティに一目で気に入られた事。
人形のように言われるままに動いたこと。
2019年。
アリ・アスター監督の『ミッドサマー』でビョルンは衝撃のスクリーン再登場を果たす。
まったく「世界一美しい少年」の50年後の姿だとは誰一人気付きもしなかった変貌である。
50年間、まったくその姿を現さなかったから、死んでるとばかり思っていた。
そして白髭の仙人は飄々とそこに居た。
欲もなく、
名誉も金もなく、
美しさのカケラもなく、
多分、流されていたのだろう!
漂流して、いたのだろう。
このドキュメンタリーで、「あの人は今・・・」となったビョルン。
今度はこの波に乗れるのだろうか?
サーファーとして、波に立つことは出来るのか?
幸せを祈ります。
過去鑑賞
ドキュメンタリー風映画なのではと疑うほどドラマチック
ベニスに死すで知って以来私の中でも伝説の美少年として君臨していたビョルン様のドキュメンタリー映画です。
絵画のような圧倒的美貌と脚光の後にこんな人生があったなんて、こんなことを言われていたなんて、こんな風に感じていたなんてと凡人として生まれた私には想像もできない苦悩と孤独が描かれていて、オーディション映像で脱がされているのを見て能天気ににやけてしまった自分を恥じました。
性的搾取の苦しみに男女間のギャップは無く、全ての人間に配慮が必要だと実感。
ビョルン様のお母様の遺書の言葉、娘さんの言葉…どれも重く、切なく、心が震えます。
ミッドサマーでご自分の死体人形を楽しそうに写メる姿が微笑ましく、彼が「タジオ役の人」ではなく「ミッドサマーのおじいちゃん」と呼ばれるようになったことに、不遜ながら安心というのか…喜びを感じました。
美しさは罪ではない。しかし、美しさは嫉妬を呼び、悪を誘い、非現実的な永久性を求められます。
ルッキズムの被害は容姿の劣る者だけではなく、優れている者にも及ぶことをこの映画から学びました。
ビョルン アンドレセンのファンや映画ファンに限らず、ルッキズムで苦しむ方にも見てほしい一作です。
皮肉な結果
ヴィスコンティ監督が「ベニスに死す」を撮るために、ハンガリー、ポーランド、フィンランド、ロシアで探し求めた "美しい少年"。見出された少年の名は、ビョルン・アンドレセン。彼の、その後の人生と現在を取材したドキュメンタリー。
興味深いが、なかなか物悲しい話。
なぜなら、現代において考えれば、明らかに少年虐待ではないかと思えるから。決して、暴力を振るったとか、性的な行為をしたという訳ではないのだが、本人が周囲から性的な圧力を感じていたというのだから、やはりアウトなのだろうな。契約で僕の顔を独占した、という点も今ではダメでしょ、という話だろうな。
監督自身は、性的でもエロティックでもない、完璧な愛、崇高な愛の物語として「ベニスに死す」を撮ったと言うのに、なんとも皮肉な感じ。
いつかは、「ベニスに死す」を観るぞ。
全56件中、1~20件目を表示