BLUE GIANTのレビュー・感想・評価
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所詮アニメ
原則としてアニメは映画館では観ないことにしているのですが、京都の映画ファンが集うカフェのマスターが絶賛されていたこと、曲がりなりにもSaxを嗜む一人として、ジャズに青春を捧げる物語ということなので、『鬼滅の刃』以来、久々に観に行きました。
日本映画の父・牧野省三が唱えた映画の三要素、即ちプライオリティ順に、一スジ(脚本)・二ヌケ(映像表現)・三ドウサ(俳優の演技)は、今も厳として全ての映像作品に当て嵌まります。
翻ってアニメ映画では、カメラ撮影による“ヌケ”と役者による“ドウサ”は、そもそも存在せず”スジ“のみで構成されますので、映画と呼ぶに値しない、換言すると映画館で観る映画とは見做せない、と思っています。ヌケについては異論があるかもしれませんが、この点は後述します。
但し、映像作品としての価値は別物であり、映画館という、周りに誰がいるか分からない、暗闇の閉鎖空間と大スクリーンでの非日常的時空間で観る作品としてはともかく、よりパーソナルな時空間で観る映像作品としては、高く評価できる作品も数多くあります。
そして愈々本作ですが、青年向けコミック誌「ビッグコミック」で2013年から今も連載中の大人気漫画が原作です。そもそも音のでない漫画での擬音だけの表現で読者に満足され共感されていたということなので、元々スジはよく出来ています。
原作(第一部)の単行本10巻分を2時間の映像にまとめ上げているので、かなり端折ってはいるものの要所は抑えており、登場人物を絞り込んでハコ書きもしっかり構築されており、無駄なサイドストーリーが一切なく、主人公の踠き苦しむ日々に凝縮され尽くして展開するストーリーは、観客も感情移入しやすく共鳴します。脚本の技量は大いに評価出来ます。映像を主人公・宮本大目線の、終始一人称の主観表現にしていることも、表現が冗長にならず簡潔にシンプルに仕上がった所以でしょう。
ただ所詮二次元の原画を、三次元的に立体感・遠近感を醸し出すのは無理であり、また無意味です。背景や人物以外の描写は実映像を基に仕上げているので、現実感があり非常にリアルですが、それゆえに平面的にならざるを得ない人物描写には大いに違和感があり、私には滑稽で不気味な感すらしてしまいます。
演奏シーンのアクション、特に主人公のオーバー気味のテナーサックス演奏シーンを見せ場に捉え、大音量で重点を置いて描いているのですが、モーションキャプチャーを駆使して作られた演奏アクション映像が、どの曲でもほぼ同じ単調な上下運動であり、演奏時の表情もほぼ同じで、残念ながら大いに興醒めしてしまいました。
音楽=ジャズに全てを燃焼し尽くす青春熱血ストーリーという建付けからすると、アメリカ映画『セッション(Whiplash)』(2014)に相当すると思いますが、当然ながら俳優の血と汗が迸り出るような圧倒的な演技や、苦悩と悲壮感、そして瞋恚に満ちた苦悶の表情という熱演がなく、常に平面的な描写だけなので、その熱気、その昂揚度は、少なくとも私にはあまり伝わらず、二つの映画は到底比較対象になり得ません。
技術的に難しいでしょうが、人物描写を超写実絵画の画調で描けば、人物の立体感・遠近感が伴い、背景とオーバーラップして動き、音に迫力と重量感を盛り込めるでしょう。たぶん高温の熱量と激しい熱気は発せられると思います。
これは観るしかない、聴くしかない。
熱量と意欲と何より音楽がすごくよかった
演奏シーンでほとんど泣いてしまいました。びっくりしました。頭では理解できない涙がすごく出てきて本当に感動してるんだな…って思いました。また、映像がかなり荒削りというか、作画バラバラでCGがほんと酷いけど伝えたいものとエネルギーがすごくて意欲的な作品だと感じました。あのひどいCGもパワーで押し切れてました。音楽が好きなので生演奏のライブを聞いてる時のあの脳内の言い表せない高揚感を映像にしてくれたのがすごく嬉しかったです。それにつきます。
ただ、ストーリーについては何とも思わず、まあ、ありきたりですし、特に最後の展開はやめて欲しかった。漫画原作だと仕方ないのかもだけど、あんなのいらない。普通に演奏して欲しかった。
思ってたより…
今からでも遅くない
音楽を楽しめる作品。
騒ぐ程でも。
まるでJASSライブに行ってる感覚。映画館で見る醍醐味を味わえる!
痺れました!
アニメというよりライブ
これはいい映画 92点
この映画はとても感動的でした。たしかに、一見するとダサいところもありますが、それが逆にカッコ良さにつながっています。具体的な根拠はないけれど、映画全体が熱い情熱と努力に満ちていました。
特にジャズの音楽が素晴らしく、実際にライブで聴いてみたいと思いました。生の演奏は何ものにも代えがたい魅力があります。
一方で、映画の3Dの描写は少し違和感がありました。それは3D技術の特性上仕方ない部分もあるのでしょうが、なかなか慣れませんでした。
王道のサクセスストーリーだけど丁寧な仕上がり
評価を聞いて観に行きました。なので原作はまったくの未読です。最初に感じたのは絵が80年代タッチで、どこか古臭く「右曲がりのダンディー」や「気まぐれオレンジロード」を思い出しました。
ストーリーもルフィの様な夢まっしぐらな主人公の王道のサクセスストーリー。なので「こんなに順調ならそろそろ落とし穴が出てくるだろう」と思ってたらその通りのわかりやすい王道ストーリー。
しかし、王道でも制作陣が一つ一つ丁寧に作られているのが感じられる。音楽はわからんがきっと凄い人たちが作ったんだろうと思うし、古い絵もジャズもあいまってオシャレにみえてくる。
制作陣が「まぁこれくらいで良いかな…」と作ったのではなく「これ観た人たちがジャズが好きになるように」という気持ちで制作したのが伝わってくる作品でした。
ノンアルクスリなしのひろみJAZZをとことん体感
この主人公は、オレはとにかくJAZZをやりたいんだ、と半端ない熱量でサックスを吹いている。
本作はあえて目指すミュージシャンを挙げていないのは何故だろうか。
演奏を聴いていると、明らかにコルトレーンを目指しているように思えるが。
実際本作の音楽担当の上原ひろみは、私見ではあるが、スタイリッシュなコルトレーンJAZZを実現している。
垢抜けしたマッコイ・タイナー(コルトレーン・カルテットのピアニスト)という感じだ。
本作でジャズのムーブメントが再び起こらないものか。
70年代、80年代と確かにあったもね。ムーブメントが。
ジャズからフュージョンに潮目は変わったけれど。
ジャズ喫茶の閉じられた世界から飛び立って
酒とクスリで破滅したコルトレーンからそろそろ卒業しなきゃね。
そうすれば、新たなJAZZの世界が・・・・・・。
その可能性を模索している作品かもしれない。
まあとりあえずは講釈抜きに、ノンアルクスリなしのひろみJAZZをとことん体感しよう。
本気の神様
ブルーに光って熱い
ぶれない熱量と届かないもどかしさ、つかまれる思い、そんないろいろなものが伝わってきた。
若くて熱くて何にでもなれる可能性がつまった濃密な時間を、しっかりつかんで堪能しているのがうらやましくなるほど。
個人的には一生懸命練習するタマダくんを応援してしまう。あの二人にはさまれて、キミは良くやってる、やり続けられることが貴方の才能だよと讃えたい。
ジャズにくわしくないけれど、映画の中の音が熱くて、映画の中の観客と同じ気持ちになれたと思う。応援上映で拍手可だったのでラストの演奏では思わず拍手してしまった。
王道のサクセスストーリーにもかかわらず、その印象がないのは音と熱を伝える画、映像と素晴らしい音、メインの俳優お三方の演技が絶妙なセッションを奏でて、観てる私を映画の中のSOBluの席につかせたからだと思う。それくらい臨場感があった。
ぜひ世界にのびた、その道を映画で観せていただきたい。
パンフレットもレコードみたいでとってもジャズで素敵でした。
音楽映画
原作破壊
とても好きな漫画の映画化ではあったものの、映画化する上で明らかに障害が多く、嫌な予感がしていて見に行く勇気が出なかったが、今日になってようやく映画館に足を運んだ。結局、その予感は正しかったのだが。
2時間にまとめる以上展開を削らなくてはならないのは理解できるが、ならもっと割り切ってシーンを削り、重要な部分(主に雪祈関連)に集中させるべきだったのではないかと思う。
特に、中途半端にシーンを削っているくせに重要なセリフはなにも考えずにそのまま使っていて、せっかくの名台詞も声優の演技も相まって間抜けな響きになっていたのがとても残念だった。
ライブシーンは気合いが入っていたものの、低レベルな3Dcgが現れるたびにどうしても少し興が覚める。流石にもう少し予算を3Dの方に割くべき。上原ひろみさんが書いた曲はとてもカッコよかったが、原作を読んで想像していた曲の印象とはズレていて、ストーリーの雑さにむかついていたのもあり、とりあえず映えればいいと思って作曲したんだろうなといった捻くれた感想を抱いてしまった。
本当は星0にしたいところだが、ライブシーンは頑張っていたのと、最後の改変だけはすこし楽しめたので星1。
あれ、涙出てる…
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