BLUE GIANTのレビュー・感想・評価
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ジャズへのパッション
嘗て、自分も高校時代にブラスバンドに所属し、クラリネットを担当していたが、定期演奏会では、第2部でビッグバンドを編成して、バリトンサックスでジャズを演奏していた。因みにオープニング曲は『A列車で行こう』だった♪そんな訳で、見逃していた本作を、ようやく配信で見届けることができて、あの頃の思い出も蘇ってきた。
これほどまでに、ジャズのパッションが、アニメによって伝わってきたのは、本当に感慨深いものがあった。感情込めた演奏者の動きはもちろん、細部にわたる指の動き、実写の様な『SO BLUE』のライブ会場の様子、只々、素晴らしいジャズの世界と、ジャズにかける若き魂が感じることができた。そしてもう一つ、本作のメインカラーでもあるブルーを基調とした大都会東京の夜景の美しさもまた、この作品に大きな彩を添えている。
破天荒ながら常にポジティブで、圧倒的な鳴きの表現力でサックスを奏でる宮本大。常に冷静沈着であり、優れたピアノのテクニックを持ちながらもその殻から脱しきれない沢辺雪祈。2人に憧れて、全くの初心者ながら、必死でドラムを練習して少しずつ成長していく玉田俊二による、10代3人のジャズトリオ『JASS』。
それぞれの全く違うキャラが、溶け合い、融合した時にほとばしるジャズのパッションは限りなく弾き飛ぶ。そんな主人公3人の声優を務めた、宮本役の山田裕貴、沢辺役の間宮祥太朗、玉田役の岡山天音も、アニメのキャラと見た目も声もピッタリだと感じた。
最初に「ソニーと言っても、ソニー・ロリンズじゃなくて、ソニー・スティット」というのが、ジャズを知る人にとっては、「そう来たか」と思わせるお洒落な前振りであったように思う。また、ラストシーンの演奏は、一旦は、どん底に叩き落して、そこから這い上がってくるような、ちょっとお涙頂戴の演出ではあったが、実際に3人が『SO BLUE』のステージに上がり、自分も客席で感動的なLIVEを聴いているかのようだった。
音楽の力。映画の力。涙が溢れて止まりませんでした。
観たかったけど見逃したシリーズ。直感的に、これは絶対映画館で観ようと思っていたのに、行く1日前に終映になっていた作品(2024年3月10日Netflixで鑑賞)。
タイトルのとおりです。動画配信でも文句なし5点です。映画館で観たらどんなことになっていたのか・・・これは本当に映画館で観たかった。再上映するなら必ず観に行きます。
原作は未読です。漫画なのに音が聞こえるという凄い作品らしいのですが、今まで知りませんでした。ジャズは40歳前に知人に教えてもらって少し聞き始めた程度でまだ素人です。音楽は好きですが、ジャズは素人です。
しかし、この作品の音と映像は、心に響きます。ジャズを知らなくても、きっと心に響くはずです。主人公、宮本大の言葉のとおり。So Blueの平氏の言うとおり。どんなにテクニックが凄くても、演奏者のプレイに心が入っていなければ、ライブで観客を魅了することなどできない。音楽ではありませんが、私も300人くらいの観客の前にして舞台に立ったことがあります(本業ではありません)。大勢の観客の心を掴むということは大変なことです。「間違ってもいい。堂々とやれ。そこに気持ちが入っていれば伝わる。」ということを舞台に立つ前に心構えとして教わりました。
宮本と沢辺の演奏は圧巻ですが、玉田の演奏も素晴らしかった。堂々としていて、気持ちが入っていました。
ライブシーンの音と映像の構成も巧みです。モーションキャプチャーを駆使したと思われる滑らかな動きと対比的な3人の漫画的な顔アップはアニメならではの表現。
そして、音と映像が溶けて一つになっていくシーン。恐らく、原作漫画にこのような表現があると想像しますが、この表現手法は秀逸としか言いようがない。目の前に見える空間に音が混じって一体となっていくような、ライブ会場の空気感を画だけで表現しています。
音に合わせて心躍る人、涙する人、ただただ圧倒される人。
最後のSo Blueでのライブシーンはただ観ているだけで、聴いているだけで、涙が溢れて止まらなくなりました。3人の熱い想いが、大勢の観客、そしてこの映画の観客に伝わったと思います。
素晴らしい作品です。これからも、何度も観ると思います。
良すぎて、びっくりした。
音楽と描写の融合
とことん熱い
チャーリーパーカーの恐怖に満ちた16連符に魂を揺さぶられたあの頃。音のでかさだけで世界を相手にのぞみかかった若者の物語。
アルトではなくテナーで世界に挑みかかる若者の物語だ。
JAZZは自由だ。情熱だ。などとのたまわれる歳ではない。
金が全てじゃないよ?人生は・・・そんなふうにサラリと言ってのけるほど傲慢に時を重ねたわけじゃないけれど、自分の身体に自信を持てた時代は確かにあったのだ。頭で考えた完全さより身体を使った半端さの方が人を幸せにしたりするものだ。体中の酸素をすべて吐き出してしまえるほどの勇気は寄る年波に関係なく生きていくためには必要不可欠。
そんな事を教えてくれる映画などそう多くない。
映像的にはいろいろあって目を覆いたくなったりもしたけれど“音”的には愚痴ることはなかった。そう、映像などこの映画には全く関係ないと思える。
“音”が凌駕してしまっている。
しかし、今更ながらに思うことは、JAZZは魔物の音楽だ。
地獄と天国の往復を繰り返し喜怒哀楽を噛みしめ底なしの恐怖を味わいながら哀しみの意味を知る事になる。
何故ならばこの音楽には命がかかっているからだ。
死神はいつでも隣にいて微笑みかけてくる。しかし天使がいないわけではない。
で、人には何が必要なのか・・・・それはやっぱり・・・「勇気」なのだろう。
そんな言葉がテナーサックスの響きから聞こえてくる。
そんな映画なのだ。
映画館で観るべき
引き込まれるどころか飲み込まれる映画
音が飛び出してくる聴覚刺激特化の「聴けるアニメ」
私は音楽好きではあるのですが、今までジャズを好んだことがなく、ジャズの定番もメジャーな人も知らない全くのジャズの世界の外の人間でしたが、馬場智章さんのサックス、最初はテレビの音声の質もあるせいか、「これ本当にうまいサックスなのかな?」と疑ってしまうところもあったのですが、彼のサックスが良いです。なんていうんでしょうか、寡聞にしてジャズは詳しくないので何というのかわからないのですが、「即興性」、その場で次々と「解放区」(全共闘的の芥さん的な意味で)を作り出していくような、これぞ青い光を放つ白い「青色巨星」、まさにBlue Giantです。ジャズの門外漢ですが、このサックスの青さが、ひしひしと伝わってきます。多くの方がCGが酷いとか絵が下手とか言っていますが、確かに映像文化としてもう少しその辺頑張って欲しかった気持ちも欲を言えば出てきますが、青春なんだから絵もある意味青臭くて良いんじゃないかと逆に思えました。素直に薦められる「熱い、暑苦しい」王道の青春アニメです。
ジャズの迫力・・・それは諸刃の・・・
ジャズで世界を目指す若者達のサクセスストーリー。
漫画原作で、その中で東京編をアニメ化した作品のようですね。原作未読です。
物語は王道のサクセスストーリー。無名の天才。ライバルとの出会い、チーム結成と成長、確執と和解、そしてチームの目標への挑戦・・・上映時間120分に上手にまとめられていて、とても観やすい映画に仕上がっています。
特に、終盤からクライマックスの流れ。多少、フラグを利かせ過ぎているようにも思いましたが、それでも涙腺が緩む感動を感じさせてくれるものでした。
この映画の見所は、やはりジャズシーンなのでしょう。私はWOWOWでの鑑賞でしたが、それでも感じた迫力。その迫力あるジャズシーンを、映画全般に散りばめて魅せてくれます。素直に、映画館で鑑賞したい・・・と思わせるものでした。
ただ、それでも私的評価は3.5。幾つかとても勿体ない・・・と思うポイントがありました。
例えば、アキコ。東京の母親とも言える存在で、練習場所を無料で提供してくれているバーの店主。でも、映画ではそれ以上の描き方がされておらず、便利な女性・・・という位置づけになってしまっています。しっかりと彼女も描いていれば、もっと物語に奥行きが出たように思えます。少なくともクライマックスはもっと映えるものになっていたと思います。もしかしたら尺の問題もあり割愛されたのかもしれませんが、尺を伸ばしても、他を削っても描くべきだったと思います。
例えば、ドラマーの玉田。素人ドラマーを加入させる意味が分かりません。「楽しくジャズをやろう」なら分かります。でも、世界を目指す二人なのです。元々ドラムをやっていた・・・ダンサーでリズム感だけは抜群・・・等の設定がないと説得力を感じません。
ドラマーの話に関連するのですが、主人公の宮本に好感が持てないのも評価が伸び悩んだ理由です。良く言えば自由、悪く言えば我儘。強引で自分勝手に感じる言動が多く、少々イライラしてしまいます。物語を進めるけん引役を担っていたこともあるのでしょうが、もう少し抑えても良かったように思います。
上記で褒めたジャズシーン。でも少し過剰だとも思いました。ジャズを聴くだけなら映画ではなく、それこそライブハウスに行きます。フルに聴かせるのはクライマックス程度にして、それ以外は触りだけにしてもよかったかもしれません。メリハリもつきますし、アキコや玉田の成長譚を描く尺も出来たかもしれません。
映像は綺麗。作画もしっかりとしていると思います。ただ、肝心の演奏シーンはGCを使っていて人形のような動きになっているのが残念。大した動きをしていないのですから、手書きで統一して欲しかったシーンでした。
感性に直球で訴えてくる
やばい、まじで感動した。観る価値あり。
普段漫画も読まないし、jazzのアニメってのに全く興味無かったのだが
評判良いのでVOD鑑賞・・・
失敗、劇場で観るべきだった〜^_^;
アニメでjazzのグルーブが表現できるのか?と思っていたが
充分伝わって来た。
自分がjazzと出会ったのは学生の頃
当時斑尾のニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾でアルバイトしてたので
昼はバイト夜はジャムセッション聴けるって言うのでめちゃ聴きまくってた。
ディジー・ガレスピー、bbキング、ウイントン・マルサリス、ウェインショーター、ジョン・ファディス、ロン・カーターetc伝説のプレーヤー達が毎夜繰り広げるジャムセッションは今で言えばDJバトルの様であの興奮した空気は未だに忘れられない。
フェスでは無いがマイルスもサラヴォーンも生で聴いたがあのライブのグルーブ感がアニメで表現でき、感情良さぶられるって凄いな〜
正直、たった3年であの熱量のサウンド&ど素人のドラムが3カ月であそこまでいけるのは自分的には考えられないのだが、まあだからこそ面白いし感動するって言うのもあるかもしれない、実際近年はSNSからコンポーザーだけで無く歌手もど素人からチャート駆け上がるのも日常だし、ほんの1年前はただ聴くだけだったアーティストがドームやフェスに出演というのも当たり前に起こっているのでjazzの世界であっても良いのかと思う。
そして忘れてはならないのは、音楽の三人上原ひろみ・馬場智章・石若駿の力。このサウンドあってこそなのだが、画からもその音の力感が伝わってくるのが凄い!
最後になるが、この映画で感動した後実際のライブ行ってみる事を強くオススメする、映画も良いがやはり生の音の凄さ・空気感、立体的なグルーブはやっぱりスゲーっす。
観てる心もBlueに燃えた
音楽の視覚的表現の凄み
本物のジャズプレーヤーが演奏しているのだから、そりゃもちろん演奏が素晴らしいのだけど、それ以上に演奏シーンの映像表現が、共感覚的と言ってよいレベルで音が視覚化されているかの如く、色と線が激しく躍動している。それを眺めていると、プレーヤーが演奏している時の内蔵感覚まで伝わってくるような感じがした。私は原作漫画を未読なので、原作にある絵の表現に、こんな映像表現を作り手の中に喚起しうるポテンシャルがあったのかどうかわからない。しかし、とてつもない凄みを感じたことには違いなく、圧巻という他ない。自分もちょっとだけ音楽を齧っている(でも、全然人前で演奏したいとは思わない万年素人だ)が、この作品を観ると、演奏することの根源的なパッションを呼び覚まされる気がする。紛れもなく、超弩級の大傑作と言って差し支えなし。必見です。
(2024.3.21追記)
その後、どうしても原作を読んでみたくなり、映画化されている部分に該当する最初の10巻を読んでみた。音が躍動する様をこんな風に視覚化できる原作者の力量はやはり舌を巻くレベルで、アニメーションでの表現がああなったのを十分に納得させられるものがあった。
そしてそれ以上に、10巻分のストーリーを過不足なく120分の映画の中に凝縮して見せたその力量に驚嘆した。映画では相当にエピソードが削られていたり(にもかかわらず、そのエピソード匂わすように、随所にシーンがはさまれている)、クライマックスに原作にはないくだりが(実に効果的で、物語をより豊かにする形で)追加されていたり、かなり大胆に映画として成立させるためのアレンジが施されている。私はこの出来栄えから、大友克洋の『AKIRA』を連想した。こちらも、長大な原作を一本の映画に見事に昇華した類稀な成功例と言って良いが、『BLUE GIANT』の出来栄えは、これに匹敵すると言って良い。
すごい熱量
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