「最短距離の感動と深淵の感動を味わえる作品」BLUE GIANT 南 貴之さんの映画レビュー(感想・評価)
最短距離の感動と深淵の感動を味わえる作品
観賞後、まず思うのは”簡単な”感動だと。
その意味は、単なる「獲りに来た」感動ではないこと。
そこがこの作品の妙かなと。
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ここからは見た人にはわかるであろうことを…
アニメーションで泣ける作品はなかなか個人的にはないのだが、
これはなんとも確実に泣けるポイントで泣ける、痛快な涙。
まずストーリーとしてはすごく明快だと思う。
一人の天才が天才として認められる物語で、しかし努力を努力と語りすぎない部分だったり
各主人公がそれぞれのバックボーンを小出しにして音楽とリンクして行ったり、
登場人物の心情も分かりやすい。
しかし、なぜだろうか
とてつもなく、泣ける。
上原ひろみさんの音楽も素晴らしいのだが、
プレイ中のカット割や、回想シーンなどが嫌味にならない
全てが「かっこいい」。
ブルーノート東京で一度だけジャズを聞きに行ったことがある。
ジャズ好きの方達がどう思うかはわからないが、
音楽好きのひとりとしては、曲で感動することの鳥肌や心臓に響くビートを
絵(映像)で表現することを徹底的に考え込まれて作られた”巧作”だと思う。
リズムに合わせて、カットが変わっていく軽快さ。
その上で、ストーリーがリンクしていく。
観客たちだけでなく、シアターの観客たちも同じ色になっていく感じ。
それはジャズのLIVEを聴いているそのものなのかもしれない。
エンドロールでキャストの名前を見て、
これが実写でやったらどうなんだろう、と思うのだが、
実はこれは2次元でしか言い表せない感動を表現した傑作なのかもしれないとも。
山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音
素晴らしかった。しかしそれ以上に、映像の店舗がすごかった。
作中に「ジャズはこの音階の中ならいくらでも暴れていい」
という言葉があったが、まさにそうなのかもしれない。
決められた枠の中で素晴らしく暴れ切り、いわゆる「鳥肌」を表現した。
本当にいい作品だった。
本作には、いわゆるCパートがあるのだが、
これが最後に大粒の涙を誘う。
クラシックとは違う、ジャズを取り扱ったからこその演出なのかな
と考えつつ。