「音は良いが・・キャラも物語も魅力がない」BLUE GIANT 中年ロッカーさんの映画レビュー(感想・評価)
音は良いが・・キャラも物語も魅力がない
「世界一のジャズプレイヤーになる!」 ワンピース並みの精神年齢に唖然。
なにを持って世界一? 比較基準は何だよ? 音楽家馬鹿ににしてんのか?
もう初っ端からこのセリフで拒絶反応。数ある楽器の中からテナーサックスを
選んで初めて2年かそこらで、世界と張り合う気でいる。
才能と努力だけでどうにかなる気なのか、ジャズの場合は他流試合の経験数が
必要だ。おなじメンツで同じ曲ばかり練習してもダメだ。
原作自体の問題なのだろう。映画化段階で根本的な部分の校正はほぼ不可能。
さらに致命的なのが、アニメーションが酷い。突然3Dポリゴンで演奏シーンへ。
操り人形のような妙な動きが、まるで昭和の「サンダーバード」を彷彿。
2Dの絵では、ヘンテコなエフェクトで音宇宙の表現? ダサいでしょソレ?
おそらく「音が聞こえる漫画」と評された原作のままなのだろう。その手法は
ギャグマンガでは有効だが、リアルを目指した真面目な作品には陳腐過ぎた。
音を聞かせる事が出来ない漫画の中での苦肉の表現方法を、そのまま動画に
しただけって、仕事は楽だけど大間違いですわ。
更に更に! ドラムが全くの初心者? はあああ? 後の2人はプロが驚く程の
演奏力なんでしょ? ドラマー募集なんか簡単なはず。 音聞かせれば仲間に
なってくれる若手はいくらでもいるはず。なのに親友に1から教えるとか絶句!
目標まで時間が無いのに、その選択肢はあり得ない。 これも原作の問題?
原作の物語や設定が破綻しているのに、下手なアニメーション技術で映像化。
まともな映画が出来上がるわけがない。
唯一、この作品には上原ひろみさんの本物のジャズの音が溢れていて、画面を
無視して音に集中すれば、楽しい時間を過ごせます。演奏シーンが多いという事は
まともなジャズもたくさん聴くことができる。それだけがこの映画の価値でした。