「BLUE GIANTの炎を画がさらに燃え上げる」BLUE GIANT じっぽさんの映画レビュー(感想・評価)
BLUE GIANTの炎を画がさらに燃え上げる
BLUE GIANTを初めて読んだのは18歳の時でした。当時"セッション"という映画が友達内で話題になり、その勢いで安直に"ジャズ漫画"に手を出したのがはじまりです。みんなが理解できないものはカッコいい、そんな安易な発想でした。
主役と同じ年齢というのもあり、自分自身をそこに重ねに重ねページを捲る手が一向に収まらなかったのを今でも忘れません。
冒頭で大が上京するシーンはすごく見たことがある映像で、背景は新海誠監督の作品に負けず劣らず。想像以上に綺麗でその時点でスクリーンを安心して眺めていられました。
大と玉田の再会。表情の動き方が漫画のまんま。違和感のない作画です。最後に無印版BLUE GIANTを読んだのはいつだっただろうか...直前で読み返していなかったので懐かしさを感じました。
東京でジャズを吹ける場所を探す。土方のバイトで食い繋ぐ。ジャズがある場所を探す。大の行動はこの時から既に凛々しさが感じ取れます。この先のストーリーに導かれているのでしょうね。
スクリーンはtohoシネマズ池袋の3番スクリーンでした。公開初日から音が良いという評判を小耳に挟みつつ上映スケジュールを見た僕のベストがここでした。結論、問答無用に全然いいです。今まで君、猫被ってたんじゃないの?と疑いたくなる程、通常のスクリーンでもかなり良いんですよ。これが。
take twoで聞いたレコードの吹きはじめた瞬間ストレートに感じました。聞いた音に反射で息も呑みます。
沢辺雪祈との運命的な出会い。ライブの音の臨場感はレコードのそれを大きく上回るように感じ、漫画から鳴っていた音の答え合わせもしました。いい意味で想像と全然違い、一瞬で満たされます。それと同時に周りの方々がノイズを消そうと意識しているのがすごく伝わりました。きっとシートごとジャズが飲み込んだんでしょう。
玉田くんがドラマーになりました。サークルで精の無いメンバーと大のギャップに違和感を感じた時点でかなり才能あると思いますよ。そして、持っている者と持たざる者の視点が同時に進んでいきます。
空き缶を叩く姿に勝手に親近感が湧き、その分初ライブでの姿は見れば見るほど心が痛かったです。その後の全力で向き合う姿で再度心打たれます。かなりしんどい成長痛だったのかもしれません。
"やらされてんじゃねえよ。俺がやんだよ。"
彼の大好きなセリフも聞けて心底満足です。
JASSが結成されます。この辺で原作とはストーリーの順番が改変されている事に見終わった後に気づきました。なので見ている時は気づきませんでした。それ程自然な流れになっていると思います。でも読んだのは結構前なので忘れてるだけなのかも。知らんけど。
so blueまでの道のりは割とトントンだったと思います。はっきりと覚えてないので記述しません。
立川譲さんが監督だったおかげなのでしょうか。ライブのエモーショナルな部分の演出がかなり良かったんです。
去年末に"アニメモブサイコ100"を見ました。監督が立川譲さんでした。簡潔に言うと超能力アクションな漫画原作のアニメですが、戦闘中に度々虹色の宇宙のような演出が見えるんです。この方がBLUE GIANTを監督するとなるとどんな風になってしまうのか想像がつきません。想像がつかないからこそ、それを超える最高の演出でした。この演出部分に最大限の興奮と感謝を感じました。ジャズで感情を伝えたいと目標に掲げる大の演奏。聴いている僕たちを丸ごと情熱の世界に包んだ演出に涙が溢れました。
それに片手だけでアンコールに登場してしまうなんて。そんな無理強いするような想像は今まで一度もしたこと無かったのですが...w 出口に来てくれただけで本当に涙が止まりませんでした。
演奏中のフラッシュバックやインタビュー時の描写、まるで原作ファンが創作したかのような出来栄えに感極まりました。もちろん原作を知らなくてもかなり楽しめます。音楽が好きな方には是非、必ず見ていただきたいです。
最後に。
読んだ当時のことを思い出し、読んでいた瞬間の感情をより深くもう一度味わえました。こういうことならもっと早く映像を見たかった。その時と比べ歳を取ってしまったけれども自分もまだまだ青く燃えることができるだろうか。そう思わせてくれたBLUE GIANTにもう一度会うことができて本当に良かったです。携わってくれた方々本当にありがとう。