デリシュ!のレビュー・感想・評価
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もっともらしいフィクション
キャッチコピーに「世界初のレストラン開業の秘密、教えます」とありますが、調べてみると世界最古のレストランは、4~5世紀のオーストリア、ザルツブルクのシュティフツケラー・ザンクト・ペーターだそうだ(803年のカール大帝の宮廷に仕えた修道士アルクィンの詩に残る)。フランス最初のレストランは郊外ではなくパリだそうだ、もっともレストランができたのはフランス革命で貴族が没落し職を失った宮廷料理人の出現が寄与したというのは確からしい。したがって、この映画の殆どは創作なのでしょう、元伯爵夫人の復讐劇迄取り入れてサスペンスの香りも出しています。もっともらしいフィクションとしても知らないで観ていたので妙に納得して感心してしまいました。
起承転結とは言いませんが、展開がキッチリと進んでいくので、間延びせ...
起承転結とは言いませんが、展開がキッチリと進んでいくので、間延びせずに、観れました。
最後、貴族を簡単に追い払ってしまったのは寂しかったが、愛人がつまみ食いするシーンで、少し救われた。
フランス映画はもっと装飾美にこだわってるイメージだったが、田舎の綺麗さを表現するカメラアングルに感動した。
レストランの始まり、という割には、そこにはあまりフォーカスできてなかったかな。
シナモン
フランス革命前夜、宮廷料理人が誰でも食事ができる、フレンチレストランを作るまで。どこまで史実かは不明だがそこまではどうだろうという部分もあり。映し出される風景や静物は本当に絵画の様、狙った感はあるけど。
主人公怪我し過ぎ痛い痛い。お客さん来過ぎで到底あの人数で対処出来そうにないんですけど。息子何かあるかと思いきや素直ないい子。毒入り料理を食べた鶏可哀想。あと恋愛はあまりなくてもいいかな、以上感想です。
料理人の矜持とは
とても素敵な作品だった。
フランス革命前夜の18世紀フランス、階級社会と貧富の差はイコールで、貴族たちの悪辣な様子は酷く、また滑稽にもみえる。それでも下級の民たちは頭を下げて赦しを乞わなければならないのがなんとも辛い。だからこそ、あのラストには胸のすく思いでした。一流の料理人でありながら虐げられた主人公と社会や世論を知ろうとした息子、その親子を救った婦人の関係性がとても良かった。盗みをしていた少女たちに労働によって対価を与えられた姿にも涙が誘われる。料理している手元も鮮やかで、生地をこねてるところとか、肉から脂がしたたってるところとか、食欲が湧いてくる。
階級関係なく笑顔で交わされる食事風景に、いつの時代もレストランは良き豊かな様相の象徴だなと思いました。料理人の矜持はお客様の笑顔で満たされる。
非暴力革命
メイド頭、と言うかホールのリーダーに貴族の執事とか、これ以上の適任者は居ないよねw
フランスのプチ偉人伝は、ほぼ王道ドラマ。オーソドックスで分かりやすい物語。芸術・文化的に尖ってる部分は全くなく、まさに「物語りを見せる」系。なんで起承転結は、この映画の命です。
でですよ。
それが良かったw
料理長にまで取り立ててくれた侯爵の恩義を忘れられない男が、愛によって覚醒する。復讐のために生き、確信的な殺意を侯爵に抱き、実行しようとした女もまた、愛によって目を醒ます。結果が、非暴力革命。個人的には、ジャガイモとトリュフは一緒に食いたくないし、パイにするのも、ちょっとだけ「え?」ってなるけどw
何かと血なまぐさい革命時代のフランス。とっても爽やかでスッキリスッキリなラストが大好きなのと、名脇役を主役に据えた、ほぼ大作企画に拍手したいです。
良かった。
とっても。
これはオススメ
革命直前のフランスで、領主の料理人だった主人公が「美味しい物を作りたい」一心なのに(そしてそれは雇い主も知ってるのに)貴族の常識に合わなかったということで咎められ、辞めて田舎に帰り世捨て人みたいになってるところに中年女の弟子志願がやってきて、ひょんなことからそれまで世の中になかったレストランを開く。
とにかく、季節感のある風景が美しい。ストーリー展開が山あり谷あり。鉄板のベタなんだが、過不足ないためハラハラしたり嬉しくなったり気持ちよく乗せられる。気むずかしい職人肌の主人公に、新しい世代の若者の息子、訳ありの弟子、気のいい地元のおじさん、お腹空かせた村の子供達。堅物の執事。ちゃらい貴族達。キャラもそれぞれいい味だしてる。(領主が連れてくる貴族の若い女の食いしん坊には爆笑)
最後に、自殺行為に等しい行動をとるのは愛ゆえなのだろうが、ハッピーだけどバッドエンドか?と思ってたら、観客大喜びのエンディング。笑って泣いて、いい映画でした
フランス革命前夜に
特権階級のためのものだったフランス料理(今のフランス料理とは形態は異なるようですが)がフランス革命と前後して、初めて開かれたレストランによって庶民のものにもなった(ここで今のフランス料理の形態になったようです)という実話をもとにしたお話。
この実話の陰には貴族たちの特権意識と庶民に対する理不尽な振る舞いがあり、その被害者の一人に公爵家の腕利きの料理長マンスロンがいた。そして理不尽な理由でマンスロンを解雇したシャンフォール公爵は陰謀で一人の男の命をも奪っていた。その男の妻であるルイーズの協力もあってマンスロンは"みんなのためのレストラン"を何もないのどかな田園地帯に開く。
最後にルイーズの恨みを晴らすため、マンスロンはある企てを計画しシャンフォール公爵を店に招待する。何も知らない公爵はガールフレンドを連れてレストランに現れる。公爵がマンスロンの料理に舌鼓を打っている最中、彼が軽蔑する庶民たちがぞろぞろとレストランに現れる。招待されたのだから当然貸しきりだ思っていた公爵はびっくりする。「食べ物の味もわかるわけのない奴ら(庶民)と一緒に食事ができるか!」という怒りと軽蔑の眼差しを他の客に向けるわけだが、庶民は庶民でこの先客が貴族だとわかると敵意剥き出しの眼差しを向ける。それを察知したシャンフォール公爵はマンスロンにはめられたことに初めて気付く。公爵は「こんな店潰してやる。覚えてろよ」と捨てぜりふを吐くが、ルイーズは公爵の悪事の証拠をつかんでいるわけで、それを伝えると公爵は黙って逃げ出すしかなかった。
そこに「バスチーユ牢獄の襲撃事件が数日後に起きる」というクレジットが入る。なるほどそういうことだったのか。他の客のシャンフォール公爵に向けた敵意剥き出しの眼差しと悪意に満ちたひそひそ話の理由、この映画の時代背景がわかり我々は納得する。
この映画では美しいフランス郊外の田園風景とそれを背景にテーブルの上に並べられたフランス料理の美しさ(絵画のよう)を視覚的に堪能することができる。面白くてためになる良い映画です。
修道院の鉄格子はキンキンよく響きますね
1789年。宮廷料理人マンスロンは、創作料理「デリシュ」にジャガイモを使用したことで貴族たちの反感を買って解雇され、息子を連れて実家へ帰ることに・・・・
ジャガイモやトリュフは地下のもので、中世フランスでは忌み嫌われていて、ジャガイモやトリュフは豚のエサの扱いだった。貴族からはジャガイモなんか貧しいドイツ人の食べ物だといった侮蔑的発言も。
黒トリュフ、私だって最初からわかりましたよ。白いのはジャガイモだったんですね。中身はオセロみたいなひとくちパイ包み焼き。アぺタイザーの始まりでもあったのかな?
18世紀のフランス宮廷料理にはあまり魅力は感じませんでしたが、彩りはうんと美しく、夕方の空腹時だったので辛かったです。無性にヤキトリが食べたくなりました。自然に有楽町から新橋方面に足が向きましたね。
マンスロンは料理に対して保守的で、宮廷料理人のプライドが強くて、結局、世界初の西洋レストランの始まりは彼の息子や近所の女の子たちと亡き夫の仇討ちのためにマンスロンに弟子入り志願した未亡人がテキパキとやっていたような。皮つきフライドポテトの始まりはフランスなのか。だから、フレンチフライっていうのか?
バスティーユ襲撃は1789年7月14日。
おんなじ年ですな。フランス革命とフランス料理革命はシンクロしていたというお話。
フランスの貴族は頻繁に人のかみさんを連れて馬車で遠出して不倫旅行するんですね。駅馬車と旅籠もあったんですね。食事は自前のデリバリー?
世界初のレストランの物語というよりも色ボケ公爵に夫を殺された夫人の隠密仇討ち物語になりそうで、ならなかった。
近所の女の子たちと息子がやり始めた青空レストランだったよ。
アジアの屋台料理の歴史はもっと古いと思うので、大衆ファーストフード食文化はアジアの方が断然進んでいたということですな。
最後、粉まみれになって笑い会う二人。バカ殿を見ているようでした。
【”美味しいモノを食べたいのは、貴族たちだけではない!”貴族の特権だった美食が、庶民に共有される瞬間を革命に重ねて描いた作品。後半は、非常に小気味よく物語は進みます。】
■18世紀末、革命直前のフランスが舞台。自らの表現で料理を追求する男マンスロン(グレゴリー・ガドゥボワ:料理人らしい見事な太鼓腹・・。)が、仕えていた侯爵から創作料理にジャガイモを使ったことで、貴族たちの怒りを買い、解雇されてしまう。
そこにやって来たルイーズ(イザベル・カレ)という中年女性・・。
◆感想
・今では、普通に使われているジャガイモだが、18世紀のフランスでは、庶民の食べ物として貴族から下賤な食べ物として扱われている事が分かる。
ー そして、マンスロンが一生懸命に作った豪華料理の前で、”食べ過ぎはイカン。美食はほどほどに・・。とか、それまで美味しそうに食べていたマンスロンのじゃがいもとトリュフのパイを”食通らしい年老いた貴族が貶した途端、食べるのを止める貴族たちの姿・・。
愚かしいなあ・・。あれじゃあ、民衆から蜂起されても仕方がないね。-
・ルイーズの存在が謎だったが、徐々に彼女の真実の姿が、分かってくる過程と、いつの間にか彼女無しには料理を作る意欲が湧かない、マンスロンの恋の描き方も良い。
ー 序でに言えば、私は18世紀位の海外の衣装、意匠をキチンと作り込んだ映画が好きである。今作では更に、数々の美食も・・。眼福である。-
<それまで、散々遣りたい放題だった、侯爵が、マンスロンがオープンした“デリシュ”に、マンスロンお手製のマヨネーズに釣られて、愛人とノコノコとやって来て、コテンパンにヤラレルシーンは、心中喝采したなあ。
序でに言えば、マンスロンの息子も頭の切れる、良い奴である。
料理人が創意工夫を重ねて作った料理を、誰でも食べれるようになった事も又、”革命”だったのだなあ・・。
そして、テロップで出た”バスティーユ監獄・・”のタイミングも絶妙であった作品である。>
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