デリシュ!のレビュー・感想・評価
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【”美味しいモノを食べたいのは、貴族たちだけではない!”貴族の特権だった美食が、庶民に共有される瞬間を革命に重ねて描いた作品。後半は、非常に小気味よく物語は進みます。】
■18世紀末、革命直前のフランスが舞台。自らの表現で料理を追求する男マンスロン(グレゴリー・ガドゥボワ:料理人らしい見事な太鼓腹・・。)が、仕えていた侯爵から創作料理にジャガイモを使ったことで、貴族たちの怒りを買い、解雇されてしまう。
そこにやって来たルイーズ(イザベル・カレ)という中年女性・・。
◆感想
・今では、普通に使われているジャガイモだが、18世紀のフランスでは、庶民の食べ物として貴族から下賤な食べ物として扱われている事が分かる。
ー そして、マンスロンが一生懸命に作った豪華料理の前で、”食べ過ぎはイカン。美食はほどほどに・・。とか、それまで美味しそうに食べていたマンスロンのじゃがいもとトリュフのパイを”食通らしい年老いた貴族が貶した途端、食べるのを止める貴族たちの姿・・。
愚かしいなあ・・。あれじゃあ、民衆から蜂起されても仕方がないね。-
・ルイーズの存在が謎だったが、徐々に彼女の真実の姿が、分かってくる過程と、いつの間にか彼女無しには料理を作る意欲が湧かない、マンスロンの恋の描き方も良い。
ー 序でに言えば、私は18世紀位の海外の衣装、意匠をキチンと作り込んだ映画が好きである。今作では更に、数々の美食も・・。眼福である。-
<それまで、散々遣りたい放題だった、侯爵が、マンスロンがオープンした“デリシュ”に、マンスロンお手製のマヨネーズに釣られて、愛人とノコノコとやって来て、コテンパンにヤラレルシーンは、心中喝采したなあ。
序でに言えば、マンスロンの息子も頭の切れる、良い奴である。
料理人が創意工夫を重ねて作った料理を、誰でも食べれるようになった事も又、”革命”だったのだなあ・・。
そして、テロップで出た”バスティーユ監獄・・”のタイミングも絶妙であった作品である。>
期待した感じとは違ったけど…
かもめ食堂風なゆるい感じのお話かと思ったらもっとギスギスしてた。貴族と庶民で貧富の差が大きかった時代、誰もが食事を楽しめるレストランを初めて開店させた人物のはなし、と考えるとゆるい展開かも。こんな叛逆したら生きていけなさそう。食事のバラエティが少なかったのも残念。この時代に色鮮やかなメニューがあったらそれこそ変か…。
仕事も身分も安泰ではない変革の時代を生きた人達 食糧も無く、税金に...
仕事も身分も安泰ではない変革の時代を生きた人達
食糧も無く、税金にも苦しむ庶民に比べ贅沢三昧で何ともクソなフランス貴族 厨房もまるで高級ホテルのそれみたい
レストランの発祥と言っても、はっきりしないだろうし、仏料理もいろいろある 革命で職を失った貴族のお抱え料理人がらしきものを始めたぐらいのお話ではなかろうか 珍しいテーマは良かったですが、謎の弟子の方がアイデア豊富で、主人公の恋煩いはちょっと不要だったかな
歴史を基調にした恋愛映画のようです
1人の料理人を通してフランス革命前の平民vs貴族の構造がよくわかる、ある意味教科書にもなる作品でした。
ただし、長い。112分間は映画の尺的には中間層ですが、ざっくり言うとバランスが悪いんですよね。助手として働く女性に素材を食べさせる場面がそこそこ長尺だった一方、主人公達の身に降りかかる悲劇が光速で全部盛りするとか。
思わず吉◯かよ、と噴き出しそうになりました。いや、全然描写としては笑えないんですが。
特にわりかし重要人物だと思ってた某さんの死は、ほんと呆然としてしまいました。え?あの人、退場要員だったんすか?マジで言ってんの?と何度も首を傾げてしまった。
オチから考えると確かにロマンス要素は必要ではありましたが、正直なところ、主人公の料理人のおっさんの向こうに監督のスケベ顔がちらつき、微妙に居心地が悪くなったです。
多分この気持ち、観た人1000人のうち1人は分かってくれるはず。と、思いたい。
ただし、主人公が創る料理はとてつもなく美しいです。芸術作品です。
個人的にはラストで某さんがデリシュを口にし、思わず笑顔になってしまったところで、全てがどうでも良くなってしまいました。
美味い飯はそれだけで人を幸せにする。
某ボイリングポイントを観て(まずそう)とぼやいてしまった人には、全力でオススメ出来る作品。
良い映画です
革命前夜のフランスを舞台に、食事を楽しむ場としてのレストランを始めて開いたシェフの実話ベースの物語。
食を楽しむという地平が庶民にも開かれるには、フランス革命のような変革が必要だった、というのはある意味当たり前かもしれないが衝撃的だった…
しかしそうした物語をとても品良く、落ち着いた筆致で描いており、それでもしっかりとしたカタルシスがあり、とても好感が持てる。食に興味がある方皆さんにお勧め。
良い映画です。
空腹を刺激するもう一つの革命
フランスの革命と並行するように食の世界でも革新的な事が起きているとは知らなかった。主権が国王から国民に変わり、王侯貴族が独占していた料理を一般市民が楽しめるようになる。歴史好きで、食べることが大好きな自分にとっては、興味津々の物語。
18世紀当時、貴族に仕える料理人は、料理人というよりは、料理ができる使用人といった扱いで、主人公のマンスロンは、客としてきた貴族の不興をかっただけでクビになってしまう。クビなった事が幸いして、レストランを開くキッカケになるのだが、物語はそう単純ではない。弟子入りを志願してきた謎の女性の登場、旧主である公爵とのしがらみもあって、料理界の転換点はすぐにはやってこない。
当時の衣装、建物などを含めた美術セットがすばらしいだけでなく、料理が主役となるシーンでは、匂いが漂ってきて、脳内で料理の味を思い浮かべてしまう。最も美味しそうに感じるアングルで、素材を調理する様子が映し出されるため、口の中は涎でいっぱい。
当然、脚色はあると思うが、私怨、リベンジ、市民革命を織り交ぜながら、徐々にクライマックスに近づいていく物語運びで、感情も昂ります。最後は、空腹を刺激するカタルシスを美味しくいただきました。
フランスの美しい情景と、革命と…。
この映画はフランスで初めてレストランを作った男の物語ではあるが、本当のテーマは「革命」ということになるだろう。
特権階級だけが味わっていた料理を、レストランという場所で誰でも味わえるようになった様子を、貴族への風刺もこめて描いている。
史実はわからないが、観た感じでは、かなり創作も入っているという印象だ。
フランスの田園風景を背景にして創作されるフランス料理。パンをつくる姿まで美しく見える。
ぜひ、劇場でご覧ください!
#145
フランス料理が食べたくなった!
観客にそう言わせる映画だ。それだけで成功作の証明だ。娯楽映画として、充分楽しめる。
史実と創作を入れ交えて、観客を飽きさせない。
フレンチレストランの事始めを知ることができる。
給仕長(メーテレ・ドテル?)は、貴族の執事から始まったみたいだ。本当かな。楽しい時間を過ごせた。
そこそこの予備知識が要求されるが、それでも今週はおすすめ(参考知識入れてます)
今年259本目(合計535本目/今月(2022年9月度)2本目)。
ここの紹介などにあるように、ある程度は着色はされていると思いますが、史実に基づくものなのであることないこと描けず、淡々とストーリーは進みます。
去年だったか、モロッコかどこかでパンを作る映画(名前忘れた…)があったと思いますが、それに近い「料理映画」というところです。
ただそれだけでなく、やはりひねりは入っていて、「とある理由」で宮廷から追い出された主人公の元にある女性が料理を学びたいと訪れ、最初は何だろう?と思いきや、実はこの女性に秘密があり、また追い出した宮廷側にもいろいろな思惑があり…と進みます。
ちょっと高めの知識が要求されるかな…というところです(映画内での説明がない)。全般通じてフランス語なので、フランス語が聞き取れれば何とか補えるのかもしれませんが、そこまでできるのはかなり限られるのでは…というところです。
やや気になる点もあるものの、この点を減点対象にするとネタバレになる上、引いても0.2程度でそれでもフルスコアあるので、減点なしにしています。
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(▼参考/映画内で求められる知識)
・ ジャガイモやトリュフが貴族に好まれなかったのはなぜ?
→ フランスは今日にいたるまで典型的なキリスト教文化がありますし、当時はだれもが信じていた時代でした。一方で現在にいたるまでの科学技術はなくても、ルネサンス時代以降に芽生えた、「初歩的な科学技術・知識」というものは当然存在はします。
それでもやはりキリスト教文化が優先されたのがフランスです。キリスト教文化では、「地上と空とでは空のほうが高貴な存在」として扱われます(このことは、イタリアのダンテの「神曲」に顕著にあらわれます)。したがって、クロスボウでも何でも使って撃ち落とした鳥類のほうが「貴族にあう食材」であり、逆に映画内でも登場する「ジャガイモ、ニンジンやトリュフ」は非常に「下品な食品」として扱われていたのです(ジャガイモは、毒の処理という論点もあった)。特にトリュフにはじまる「キノコ類」はジャガイモにも満たない存在で、「食いたいなら好きにしてもいいし誰も文句は言わない」というほどの扱い(逆に、この当時は農民などが普通に食べていたし、税金を取るだの何だのという話すらなかった)でした。
※ ただ、15世紀ごろになると、イタリアでも「これは美味」ということで、貴族でも「宗教と食事は考え方を分ける」という人もでてきました。これはイタリアからトリュフ文化がわたったフランスでも同様で、圧倒的にキリスト教の教えが徹底されていた当時でも、「宗教と食事を分ける」という考え方を持った貴族がお抱えシェフに命じて調理させ、こっそり食べていたこともあります。ただし、ジャガイモと同様、一般的に認知されるには、さらに数十年を要しています。
・ どの貴族もカツラをしていたのはなぜ?
→ 当時は、髪の毛がどうであろうが(ツルツルでもフサフサでも)、「カツラをする」というのが貴族のステータスで、(ツルツルでもフサフサでも)それを取ろうとする行為自体が、貴族を侮辱する行為として扱われていた、という事情です(国は違っても似たような文化は当時の各国にありました)。
※ ですので、世界史の教科書などで貴族を描いた絵画などを目にする機会は結構ありますが、「ハゲた人」がほとんどみたことがない、というのはこうした事情です。
・ 映画のあと、レストランの文化はどうなったの?
→ 映画内でも出るように、当時はレストランという概念が存在せず、いわゆるシェフやそれに類するものは国王にせよ貴族にせよ、お抱えの存在でした。
しかしフランスでは(この映画にも出るように)まもなくフランス革命がはじまり、ナポレオン戦争を経て混乱期を迎えると、貴族もシェフを経済的に雇い続けることができなくなり、このころ(ナポレオン戦争が終わった当時ごろから少しずつ)から、シェフがフランスはもちろん各国に散り散りになり、今でいう「本格的に」レストランという概念が「実際に」(お店を構えるなどの現実の行為)できるようになりました。
猫を噛む鼠。いや熊か。
公爵に仕える料理人が世界初のレストランを作るまでの話。
食事会の際に予定にはなかったトリュフとジャガイモのパイを作ったことで辱めを受けた公爵が謝罪を求めるも応じず、クビになった主人公が料理人を辞めて巻き起こるストーリー。
根茎は庶民が食べるブタのエサっていう考えがあったんですね。
息子を連れて旅籠で働き始めた主人公だけど料理をする訳ではなく、そこにやって来た弟子入り志願者から搾取して、って彼女もなんだかんだある程度は料理出来るみたいだし何の話?とか思っていたら、商才は彼女の方がってことですか。
レストランを作るに至る過程を愉しむというよりも、2人の抱えたものを払拭する為にというものをみせていく感じが強い印象ではあるけれど、それ自体は結構突然やって来て、煮え切らないうだうだをみている流れが多過ぎていまいちハマれなかった。
ところで、1789年で世界初?フレンチという意味では初なのかも知れないけれど…ということで調べたら、日本ではその100年位前には食事処があったらしい。
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