「波乱万丈な絵画。」デリシュ! t2law0131さんの映画レビュー(感想・評価)
波乱万丈な絵画。
原題のデリシュは店名。当初は主人公が料理長を務める公爵家の晩餐で、予定外に出したオードブルの名前だ。しかしそれが原因で公爵家を追われてしまう。彼は故郷の田舎で家業のパン焼きに戻る世捨て人になってしまう。しかし…。
彼が最終的に創りあげたのは、今のSA的な、田舎の食事がウリの休憩所。これがフランス最初のレストランの開業物語かと思ったら、サスペンスたっぷりな復讐劇にもなり、謎の弟子志願の美魔女まで登場し、あれよあれよと波乱万丈のストーリーに引き込まれていく。18世紀末のコスチュームもので、1789年7月14日のバスチーユ占領の前日譚となっている。
エリック・ベナール監督の保守的なしっかりとした演出に加え、フランス革命後の写実主義絵画にインスパイアされてような、端正で精緻に計算されたフレーミングを魅せた撮影のジャン=マリー・ドルージュにも刮目せざるを得ない。
観ていて、眼福な映像に予断を許さないストーリー。なかなかの傑作だ。
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