ラーゲリより愛を込めてのレビュー・感想・評価
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戦争…⭐︎
ラーゲリ(収容所)。
他の作品でも、度々取り上げられているシベリアの収容所の物語。
ストーリーが矛盾なく淡々と続いていくことで、かえってラーゲリの悲惨な状況が
炙り出されていく。
とにかく、出演している役者達が素晴らしく、変に演出過多にもならずにそれぞれの
性格が滲み出る。
個人的には、安田顕が 「アカ」のレッテルを貼られながらも
真摯に状況に向き合って、他の者たちをまとめていく姿がすごく良かった。
二宮和也は、ラーゲリに於いても人としての尊厳を失わずに学ぶことや
優しさ思い遣りを兼ね備えた素晴らしい人物として描かれ、それによって
周りの人々も感情を取り戻してきく様は、とても感動する。
おそらく、現実のラーゲリはもっと悲惨であり、日本もこれ以上の酷いことを繰り返して
きた戦争であったに違いない。
世界がどんどん危うくなってきている今、この映画の訴えている意味は深いと思う。
戦争をしたいとなぜ思うのか…繰り返すのか…
二宮和也の映画、いっぱい鑑賞して来て 初めて彼が良いと思った。
…それと夫の帰還を信じる北川景子の溢れるような笑顔。
何度も救われる気がした。
ほど良い泣かせ具合
序盤の空襲によりモジミとその子供たちが逃げる場面ですでに東京大空襲で命を落とした私の祖母と叔母たちのことを思った。
逃げる間もなく眼前が火の海になり母を見失ったと聞いた。肉親の死を目の当たりにする恐怖はいかほどだろう。
山本の家族は無事に帰国し何よりだったが、当の山本は終戦してもなおラーゲリ(収容所)に囚われの身となる。
シベリア抑留の話も実際にその場に居た人に聞いたことがある。不衛生極まりない環境下でロクな食料もなく感染症が蔓延し次々と人が死んでゆく。シラミやノミが沸き、亡くなった人を埋めたところからはウジが沸き、それも大事なタンパク源と言ってシラミを食べてたというから俄には信じがたい話だ。
映画はまだラーゲリの様子を観るに耐えるレベルで美しく描いている。映画に登場する一等兵のようにその場に居た人は明日を信じることなくその日をただ生きるしかなかったのだろう。
しかし、山本は単なる一等兵ではなかった。博識で物事を俯瞰できる聡明さを持ち、言葉の力を信じていた。
だから彼の発する「ダモイ(帰郷)」には重みがある。必ず明るい未来がくることを信じ、いつも唇には歌を、辛い時にもユーモアを忘れなかった。
瀬々敬久監督、いいね。
「糸」「護られなかった者たちへ」のあたりから説教臭さが消えエンタメ要素が盛り込まれて誰にでも伝わる物語を描くようになった。
今回も山本の人となりと何故周囲の人々が彼を信頼するようになっていったのかが理解できる丁寧な描写で一気に観客をラストの感動まで牽引していく。
また、シンちゃん(中島健人)の屈託ない明るさや癒しのクロ(犬)の登場場面では笑いも出る。
こういうしんどい映画ではどこかで息抜きが必要なのだ。
ラストの遺書のくだりでは一気に観客を泣かせにかかるのだが、そこも多少のやり過ぎ感はあるものの、絶妙なさじ加減で良かったと思う。これも脇を固める名優たちの演技力によるところが大きい。
特に妻に宛てられた遺書「妻へ!」の冒頭文には泣かせられる。
「よくやった。実によくやった。君はよくこの10年辛抱してくれた。殊勲賞だ。」
この時代にこんなふうに奥さんを褒める人いたんだなー。
自分の奥さんを「愚妻」と呼び、女に教育は必要ない、自分と自分の親や子供たちの面倒を見るのは妻として当たり前の時代だ。
昭和20年代(終戦後)を描く日本映画には今見たら全女子が憤慨するような、そんな場面はたくさん出てくる。
山本がいかに聖人であったかがわかる。
息子たちに宛てられた遺書のなんと現代の我々に響くこと!
大切なのは道義と誠と真心。特に最後は道義が勝つ。
まだ日本人が日本人の誇りを持っていた時代。明日の日本は自分たちが担うという使命を持っていた時代ならではの言葉だ。
自らの余命3ヶ月を知り、絶望、、、しないわけないじゃないか!と慟哭する山本の悲しみはいかほどのものか。希望を持つ人間にこそ何倍にもなって襲いかかる絶望は想像を絶する辛さがある。
病床で想う日本の家族のこと、夢の中でも妻のモジミは「あなたの帰りを待っています」と美しく微笑んだに違いない。
ここは郷愁とダモイへの願いのイコンとして、あの北川景子の美しさは絵的に必要なのだ。現実は泥だらけで肌荒れ・手荒れしてるおばちゃんだったとしても山本の妄想の中ではあのぐらいのミューズでなければならない。
※内容が苦しいので何度も観たい映画とならないため星少なめの評価です。
監督の手腕、演者の力の賜物
99%の人が泣いた!といった感動を全面に押し出した宣伝が嫌いで、今作も二の足を踏んでいた。ただ戦争、抑留といった、なかなか若い世代が足を運ばないであろう題材をあえて選び、若い人に人気の演者を当ててきたことに興味を持ち鑑賞した。
結果、瀬々敬久監督の力量を思い知る。オープニングこそ安っぽく感じたが、それ以降文句のない大作だ。劇伴もいい。ストーリーがシンプルな分、名もなき抑留者の方々をはじめ、演者の芝居が素晴らしい。安田顕の感情を殺した芝居、松坂桃李の引いた佇まい、桐谷健太のほとばしる生気。それを山本幡男氏の善性を体現した二宮和也が円く包み込む。
2時間強あるがまったくダレることなく、物語に引き込まれた。恥ずかしながら、肩を揺らすほど泣いてしまった。監督や演者、製作者の「伝えたい」の魂がこもっている。人に薦めたくなる秀作である。
シベリア抑留の悲劇
涙腺大崩壊のレビューを見て劇場へ来た。
終戦後も11年にわたってのシベリア抑留の不条理さは今のウクライナ侵攻にも繋がるのかもしれないね。やはりソ連と言う国は恐ろしい国、指導者の問題かもしれないな。
映画は、松坂桃李扮する戦場で卑怯者呼ばわりされた松田の眼を介する二宮和也扮する山本幡男と言う展開で始まった。シベリア抑留の悲劇は数々あれど、ソ連兵からならまだしもラーゲリ内で日本兵から乱暴を受ける事こそ全くもって絶望せざるを得ない環境だ。それでも山本幡男は何度も営倉行きをしながらも仲間に希望を説いて回った。大人しくしてれば寿命を縮める様な事にもならなかっただろうにと一部醒めた目で観ながらも後半はさすがにジワッと来たね。
俳優陣は皆頑張っていたのは素晴らしかったね。特に北川景子が良かったね。感服したよ。
絶望より愛を込めて
私は、誰に、何を遺せるのだろう。
凍てつく大地に、どれほどの絶望が、凍りついているんですかね。澄みわたる空は、答えてくれそうにもありません。
映画としては、全くひねらない作りなので、洋画好きには物足りないかも。戦争の狂気、ヒトのエゴや残忍性があまり描かれていないので、ちょっと単調かな。(この辺りに興味ある方は「サウルの息子」「サラの鍵」「カティンの森」をどうぞ。)
だが、それがいい。それだけでいい。この映画には、今の私達が、失いかけている何かが、あるような気がするから。
そもそも抑留ものは、このクニの負の記憶なので、エンタメ映画には不向き。と云うか、未だに凍土の下で眠る数えきれない絶望を、誰も知ろうとしない。私もね。それが、この実話と、あまたの役者さんの涙によって届けられました。後は、私達がどう受けとめるかです。細かいことは抜きにして、みんなで泣いてね。
永久凍土を融かすのは、ヒトがヒトを殺す業火なのか、それとも、ヒトがヒトを大切に想う情熱なのか、皆様は、どちらを選びます?。
噂レベルの報道ですが、凍てつく大地に、新しいラーゲリが造られているとか。無理やり国籍を変えさせられた方々が、黒海を超えて強制疎開させられたらしい。この噂が事実とすれば、本作を観た私達は、何ができるのだろう。
私は、誰に、何を遺すことができるのだろう。
「無言歌」
おそろしく空が蒼い映画です。澄みわたる空の下、ヒトは何ができるのか、何を想うのか?。ヒトにとって、ヒトは敵なのか?。マイナーな映画なので、視聴するのに苦労するかも知れませんが、併せご覧下さい。
追記
チャイニーズドラゴンって、いますよね。実はあのグループの創設メンバーに、多くの残留孤児の2世がいるそうです。もはや、残留孤児というワード自体、知らない方が多いはず。私が子供の頃、連日ニュースで聞いていた以来だから。その2世が、何故、血染めの半生を過ごすことになったのか。私は反社会グループを礼賛する気はありません。ただ、かつて大陸で何があったのか、戦争は終わっても、戦後に終わりはあるのか?。今なら映画を通して伝えることができるかも。描き方を間違えると、とんでもないバイオレンス映画になりますが、どなたか、挑戦してほしいテーマです。
この映画の理不尽をもって今世界で起こっているならずものの暴挙を改めて許してはならないと憤った
日本人捕虜の山本幡男さんの生き様を描いた作品です
終戦後も、捕虜としてシベリア抑留された、山本幡男さんを描いたノンフィクションの映画作品です。
二宮 和也さんの演じる山本幡男さんの姿を通して、捕虜として生きることの辛さ、いつ殺されるか分からない恐怖、日本に残した家族に会いたいという想いが、大スクリーンから強烈に伝わってきました。
山本幡男さんは上級の士官では無く、「普通の兵隊さん」だったそうですが、この普通の人の感情を、二宮 和也さんが見事に好演しています。
上映終了後、私の両隣の観客はハンカチで目を押さえていました。
現在、ウクライナ、そしてロシアの両国の捕虜にも、山本幡男さんのように、歯を食いしばって生きようと、辛い毎日を送っている人がいるのでしょうか。
悲しみの映画ですが、山本幡男さんという人が居たことを知り得たので、この映画の鑑賞は貴重な体験でした。
「ラ−ゲリより愛を込めて」を見て感じたこと
1 戦後ソ連に抑留された軍人たちの帰国するまでの過酷な環境と帰国を待つ彼らと家族の思いを描く。
2 辺見じゅんのノンフィクションを映画化した実話であるが、手紙と遺書の使い方が泣かせてくれた。これらをメインにした脚本と演出には感服した。ただし、ラ−ゲリでの抑留生活の描写は平凡だった。
3 主人公であった山本さんの家族に向けての遺書の内容は愛と感謝に満ちていた。母、妻、子どもたちを思いながら書いた言葉には感動した。そして自分の家族を重ね合わせながら伝えに来た仲間の姿も良かった。
4 二宮は、童顔と華奢な体付きから軍服はとても似合わなかったが、ソフトな物腰と骨のある人物を自然体の演技で成り切っていた。北川は、この時代には場違いなほどの美貌ぶりであった。ラストの寺尾聰は要らなかったように思えた。
若い世代にこそ観て感じ取ってほしい、希望を持ち続けることの大切さを。
最後の最後まで吸い込まれるように観られたのは瀬々監督はじめ制作陣の力。
二宮さんは“凄い“。
そして安田さん、桐谷さんをはじめとする役者陣の演技に心を動かされました。
事実に基づく作品だからこそ、
若い世代の方にたくさん見てもらいたい。
“希望”を持つことの大切さ。
そして
“希望”を持ち続けていると
いつか、その先にある“何か“に繋がるんだ
ということを、この映画を通じて感じ取ってほしい。
見ておきたい、見てほしい作品
線が細く見える二宮、きれいすぎる北川…という主要キャストのイメージ。そして、原作タイトルの「遺書」を、「愛を込めて」なんて変えていることに、薄っぺらな映画になっているんじゃないか、と不安があった。
しかし、平日昼間ながら8割ほども席が埋まった館内からは鼻をすする音が途切れない。僕も涙なしには見られなかった。
なかなかよく時代をつかみ、収容所の空気を再現し、役者も熱演している。ピンク映画出身の瀬々監督作品はつまらない企画ものもあれば、「菊とギロチン」のような熱い作品もあり、バラバラの印象。この映画は、バランスの取れた良作だと思う。
余り中身のない880円のパンフレットの中に、本作を「国民映画にしたい」というようなことを発言している。
実在した人物の、家族への思い、それを記録・再現した辺見じゅんの原作ノンフィクションがあってこそ実を結んだ映画だが、この監督の意気やよし。
戦争に対して意識の向かない若い人にもぜひ見てほしい。
そして、首都圏に住んでいるなら、西新宿住友新宿ビル内にある「 平和祈念展示資料館 」(入場無料)を訪れてほしい。
僕の亡母は中国・大連生まれで戦後初めて日本に引き揚げて「祖国」の土を踏んでいる。引き揚げ者やシベリア抑留者についての展示が国の運営で唯一行われている場所である。
やっぱりロシアは信用ならない
映画を見ながら誰かが言っていた「ロシア人は相手を油断させるために約束をして平気で裏切る」と言う話を何度も思い出した。
捕虜に対し「侵略者め」「お前たちは戦犯だ」とかの言葉はあるが、当時のソ連とは「不可侵条約」結んでいたのではなかったか?侵略者というなら当時日本だった満州に一方的に侵入したのがロシアではないのか?だから、ウクライナの人たち🇺🇦は絶対に負けるわけにはいかないのだ。負ければ勝者の論理でいいようにやられる。そんなことになるんだったら戦ってタヒんだほうがマシだと言うのもよく分かる。
また、捕虜に対し非人道的な扱いしてはならないとする国際条約があったはずだが、これについての賠償や罪は日ソ国交樹立にてチャラになったのか?など、そんな思いが巡った。
戦争後の話だから戦争の是非はあからさまにはしていないが、すでに朝鮮戦争特需で日本は高度成長期を迎えようとしていた時代に、まだこんなことが行われていたことに驚く。
感動ものに無理やり仕立てているが、抑留の理不尽さ過酷さを太っていたり髭を剃っていたり真っ白な歯では伝わらないと思う。そんな中、安田顕のボロボロにやられてしまっていた演技は実にプロ意識を感じた。
安田顕、松坂桃李は流石の演技でクライマックスではすすり泣く声も聞こえてきたが、これは演技が良いからで、脚本的にはなんだろなという思いが残る。
希望があるから生きていける。桐谷健太演じる相澤軍曹は「山本さんの遺書を伝える」という目的のために、妻と子を失う絶望からの生きる目的を得たと思いたい。
それにしても、健ティとクロのくだりはフィクションだろうと思うけど実に見る側の主観に囚われたはなしだとおもったよ。
周りのお客さんは平日昼前の上映にも関わらず、頭の白い人(私もその1人)がたくさん見にきていました。若い人とってはハードルの高い映画だったかもしれませんね。
日本映画史に残る名作
確実に今年度の日本アカデミー賞とりますね。断言します。
米国アカデミーでもノミネートされる気がします。
今僕は30中盤で、小学生のころから映画を見てました。1990年代は水木金土日で9時からテレビで映画やっててそれを見てたんですが、そのころの日本映画(アニメ除く)のつまらないこと、日本映画は釣りバカ日誌と男はつらいよのヘビロテです。それくらいしか視聴率取れなかったんだと思います。なので洋画ばっかり見てました
2000年に入って邦画も徐々に良くなってきましたが、それでも、これまでにみた心に残る名作というのはどれも洋画ばかりでした。
この映画をみて邦画のレベルもやっとここまで来てくれたかという気がします。
今まで見た邦画の中で一番の名作です。
制作陣の方々よく作ってくれました。
泣けない人いますよね。
これでもかこれでもかと泣かしにくるのは
何故?
山本さんの人間性や背景もよく解らないので、あれだけでいきなり「素晴らしい人」言われても、すぐには共感出来ないですよ。
あの時期にアメリカ西部の歌を口ずさむのも意味不明。
レビューの高評価にしらけてしまうのは
私だけではないだろうなあ。
戦争ってマジ悲惨。
在り来り。だけどみる価値はある
何もかもが中途半端
セットよりもCGをしっかり作り込んで欲しい。
空襲受けて崩れるとこなんて三文映画か⁈って…
収容所のセットも寂しいし他の収容所映画程のスケールが無い(ソ連貧乏だから?)
全てグリーンバックで撮った方が良かったと思う。
セットにこだわる日本映画の悪いところだなぁって。
ケンティーの健闘が光ってた。
ちょっと足りないんだけど頑張り屋さん!意外にやるな‼︎
殿(松坂桃李)はこの作品では…(涙)
もっと当時の日本人臭い役者さんが良かった。
子供と動物には敵わない!の言葉通りクロにはもってかれたよ(笑)あり得ない!と思いつつも目が離せない。
あのシーンだけはグッときた。
セリフないんだけど市毛良枝の存在感はこの映画にピタッと来ているなと。
ソ連絡みの作品を映画にするなら『伝説になった日本人』の方が絶対画になるし盛り上がりも作りやすいのになって観ながら思った。
今年中に見てほしい
全400件中、301~320件目を表示