ラーゲリより愛を込めてのレビュー・感想・評価
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「ただ生きているだけじゃダメなんだ。それは生きてないのと同じことなんだ。」
自分の身の安全を得るために、道義を捨て、上官や相手国の言うとおりに振る舞う当時の軍人たちと、給料もらうために死んだ目でただ上司の言うとおりに仕事する現代のサラリーマンと被る。
真に生きるとは? 自問させてくれた映画であった。
「一等兵じゃありません。山本です。名前があります。」
「美しい歌に、アメリカもロシアもありません。」
「生きるのをやめないでください。」
「ただ生きているだけじゃダメなんだ。それは生きてないのと同じことなんだ。俺は卑怯者を辞める。山本さんのように生きるんだ。」
「我々は家畜じゃない。人間だ!」
「立身出世など、どうでもいい。最後に勝つのは道義だぞ。」
しかし山本さんの遺言を家族に伝えるために4人の仲間がとった方法は斬新!これは感動する!4人目の相沢が現れた時には山本さんの奥さんももう慣れた感じだったのがちょっとおもしろかった。(^^))
松坂桃季のおさえた演技がいい。本当の演技力があるからこそ。
これでもかと泣かせにくるのに破綻がない稀有な良作
辺見じゅん氏のノンフィクションを瀬々敬久監督のメガホンで映画化。
主要キャストとして、二宮和也、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕、北川景子ら日本映画界を代表する面々がずらり勢揃い。史実を描いているだけに、そもそも説得力云々を言う次元の話ではない。
シベリア抑留って、日本史の授業を皮切りに何度となく聞いてきたワード。大変な経験をされ、命を落とした方が何万人もいるんだという事実を認識してこそいたものの、やはり本編を観るにつけ、あまりの残酷な抑留生活に言葉を失う。
ストーリーが進んでいくとともに、演出として「これでもか」と泣かせに来るのだが、そこに破綻がない。なぜなら、史実をもとにしているから。そして、俳優陣の芝居が芝居として際立っているのではなく、役どころに寄り添い続けたことで、それぞれの心情と同化することができたからではないか。
そんな事象はそうそうなく、そういった意味でも稀有な良作として多くの人に観てもらいたい作品である。
韓国監督ならこんな下手くそな作品にはならない…。…。
抑留者の実話を映画化するならもっと説得力ある作品にしてほしい。
冗長すぎて、感動するシーンがない。それから劇場でするなら、シネスコにすべきだ。今どきビスタではね…。
「硫黄島からの手紙」の二宮は上手かったが、この作品には演技力が生かされいない。
山本幡男さんを知れて良かった。
角川書店と読売新聞社が共同で「昭和の遺書」を募集した際に、山本幡男の妻、山本モジミさんが夫からの遺書を投稿した事がきっかけで書籍化されたものが原作となっています。
第二次世界大戦終戦後にソ連軍の捕虜となり過酷な環境の中でも、人としての道義を忘れず、仲間たちを励まし生きる希望を持ち続けた姿に感動しました。
低栄養、重労働で名前すら出てこない程に朦朧とした中、山本幡男さんの遺書を家族に届けるべく記憶に刻み、家族に届けた仲間達との強い絆に心を打たれました。
この映画で山本幡男さんの存在や考え方を知れて、時代を越えて物事への考え方に投げかけ考えさせられる物がありました。
二宮さんは硫黄島からの手紙でも兵士役をされていましたので、前からよく知っているかの様な、その時代に巻き戻されたかの様なデジャヴな感覚になりました。
二宮さんが歌を口ずさむ場面など柔らかく素朴な感じが、役に合っていました。
癌に侵されてだんだんと窶れる様子もよく表現されていたと思いました。
安田顕さんの演じる原幸彦の失望した様子から、山本幡男の関わりで生きる希望を取り戻すまでの表現が素晴らしかったです。
いまいち
小説を
ブーメラン
タイトルとカバー写真から、この作品を見るのをずっと敬遠していた。
それだけで、着地点がわかってしまうからだ。
ただ、「火垂るの墓」のように、そんな気分に浸りたいときもある。
さて、
製作者の思惑通り泣かせていただきました。
数多ある戦争もの、そしてシベリア抑留もの
その中での新しさは最後の場面になるのだろう。
それぞれが、それぞれのタイミングで山本家を訪れる。
あれからすでに11年が過ぎていた。
昨今より靖国参拝を問題とする風潮が撒かれたが、先の早田ひなさんの発言通りである。
私も戦争は知らないが、祖父から聞かされて育った。
祖父が歩兵隊として満州の地で摘んできた草花を押し花にして持ち帰ったものが、随分後になってから額に入れられて、以後は実家に飾ってある。
戦争そのものに焦点を合わせるのではなく、一般人の生活に焦点を合わせた作品こそ、戦争の抑止力となっているように思う。
物語の最後に届けられた手紙と、暗唱でその内容を言葉にするシーンの設定は非常によく練りこまれていた。
原作通りなのだが…。
何故、北川景子さん? という疑問がずっと残っていたが、縁側から庭に倒れこみながらの嗚咽シーンにその理由を見つけることができた。
また、
そもそも、
松田ケンゾウ役の松坂桃李くんのナレーションが早々に挿入されているので、山本は日本に帰ってくることができないことを示唆している。
同時に松田は少なくとも日本に帰ってくることがわかる。
このクロニクル的効果は原作にはなく、この作品に必要だったかどうかは、議論の余地を残してしまった。
ただ、収容された兵隊の個性が徐々に明らかになっていく設定は少し面白いと感じた。
特に兵隊ではなかったケンティー君の役も悪くなかった。
彼とともに現れた犬
動物を物語に差し込むことで、ペットを亡くしたことがある人はぐっと心を掴まれるだろう。
この辺はうまさよりもしたたかさを感じたが、原作には他の仲間の詳細などはないものの、逆に犬は実在したようなので、総合的な人物相関関係によってそのように感じたのだろう。
物語そのものを純粋に見れば、よくできた作品だと感じた。
そもそも辺見じゅんさんの原作「収容所からの遺書」はノンフィクションだ。
それに主人公山本の家族とそのやり取り、そして収容所の仲間たちとのコンタクト、そして過酷な収容所生活が視覚的に表現されている。
TBSが韓国視点でこの作品をフィクションにしたわけだが、そもそも日本人は自虐ネタというのか、「日本沈没」にしてもこのような戦争物語にしても、最後に自分たちだけが助かることや敵をやっつけるパターンは絶対にない。
「パールハーバー」や「フォール」、「ランボー」…
日本はやはり文化や考え方が独特なのかもしれない。
一旦それそのものを受取って、咀嚼し、考えて、分類する。
この過程がかなり明確なのかもしれない。
もちろんそこには単純に面白いかどうかは必要要素だろう。
最後の結婚式のシーンも加算されたものだが、そこにこそ早田ひなさんの純粋な思いと言葉が重なった。
私たちの今の幸せの土台。
これが日本人なのでしょう。
(TBSにブーメラン)
希望というテーマが一貫して描かれている
今作は劇場公開時に観たのだけど、レビューを書いていなかったため再鑑賞した。前回観たときには感動したが、改めて観てどう感じるかと思ったが、やはり胸を打つ傑作だ。
シベリア抑留の過酷さは山崎豊子の小説『不毛地帯』でも描かれていた。懲罰として営倉に閉じ込められ南京虫に食われたり、ラーゲリ内で共産主義運動が起こり日本人にもソ連側におもねって特権を得るものが出てきたりしたのは今作と同じだ。また、『不毛地帯』では過酷な労働から逃げたいあまり、自ら身体障害者になる者もいて、シベリア抑留がどれだけ凄惨かを物語っていた。それでも収容者達が生きていけたのは、今作のテーマでもある希望があったからだ。二宮演じる山本の言動を通じて、その希望というテーマが一貫して描かれているところが、今作の秀逸なところだ。彼の信念は、絶望の淵に立たされている者達に対してさえ希望を芽生えさせた。
前回鑑賞時と同様に、特に印象に残っているのは野球のシーン。抑留者の荒んだ心を癒やす一時で、スポーツを通じて人と人とのつながりの温かさを感じられたんじゃないだろうか。そんな彼らの希望でもある野球の権利を守るために、体を張って抗議した山本の信念の強さに頭が下がる。
また、今作の魅力は二宮の演技力に依るところも大きい。『硫黄島からの手紙』のときの演技も素晴らしかったが、今作でも熱演していた。
綺麗だなと思った
まさに映画だなと思った作品。
綺麗に始まって綺麗に終わった感じ。
この映画を見るだけでもシベリア抑留が酷いものだったのだと感じるけど、実際はもっと酷かったのだろうなと想像します。
シベリア抑留という題材を通して、人間の本質的な部分を汚くも綺麗にも描いているのかなと思いました。
あの時代を生きた人たちの考えがどんなものだったのか、私みたいなぬくぬくと現代を生きる人には全ては理解は出来ないのだけれど、愛する人を失った悲しみはいつの時代も耐え難いものだったのだろうなと思います。
生きる希望は人それぞれなんだと思いますが、はたしてこんな状況でどのくらいの人が希望を捨てずにいられたのだろうと、考えさせられました。
全体的にやはり映画だなと思わされるほど綺麗な展開が多いのかなと思います。
でもやはり映画なので、、、
それでいいのだと思います。
タイトルなし
隠岐で山本さんの生誕地や碑を見て、顕彰会の岡田さんの話を聞いて見たくなる。とても頭のいい人だったという描き方は、ニモでは難しかったと思うけど、ニモのニヒリスティックにもなる(ブラックペアン)世界への距離の取り方とか、役者として自分を対象化する感じはすごい。もともとそういうキャラらしい。松坂がよかった(松坂はひねくれた役より死に向かう話のほうがいい)。安田さんはさすが。北川は初々しいけど、死を知って泣くシーンはダメだった。抑えた演技ができない人だ。収容所の中でのいろいろなリアリティのある話が良かった。軍隊階級の継続、営倉閉じ込め、収容所の中で遊びを見出すこと。今ひとつ、山本のリアリティは結局見えなかった。ニモの知的レベルの描き方の限界なのか、監督と脚本家がだめなのか。
岡田さんは記憶遺産にしようとしたけど、根拠が不十分だとか。ユネスコが駄目だろう。こういう形でしか残せない記憶遺産の形式にこそ、記憶遺産の本当の価値があるのに。辺見じゅん自身、選考に漏れた箱の中からこれを見つけて、そのエピソードに感動したというのに。
戦争映画初心者向け
涙無くしては観られなかった
歴史を知るために
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