ラーゲリより愛を込めてのレビュー・感想・評価
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シナリオに問題あり
日本映画の父・牧野省三が唱えた映画の三要素である、スジ(脚本)、ヌケ(映像表現技術)、ドウサ(役者の演技)の内の、スジとヌケが不十分な出来栄えで、残念ながら、大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞した辺見じゅん氏の原作の持つ、崇高で荘厳な極限の同胞愛人間愛を表現できていないと思います。
主人公の山本幡男がなぜ収容所の捕虜皆から敬慕され、尊敬されるのか、互いの感情が一体化し同調していくプロセスの表現が不十分です。山本は、ただ奔放に思いついたこと、己の感じたことを、思慮分別なく子供のように言いまくるばかりのようにしか見えません。残念ながら捕虜の皆の眼差しや表情を見ても、彼ら全員が望んでいることを慮って代弁しているようには感じられず、そのために独房に拘束されるのも自業自得にしか思えません。
これは決して主人公を演じる二宮和也の演技不足ではなく、そもそものシナリオに問題があるように思います。収容所の過酷さ、そして捕虜の苦しみ、悲しみ、悩みを切実に具体的に描ききれていないせいでしょう。極寒の地で自由を奪われて心身ともに悲惨な絶望状態に置かれ、無気力にならざるを得ない酷い環境であることを映し出してこそ、皆を庇い皆の願いを代弁する山本の言動の崇高さ気高さが観客にアピールします。
しかしスクリーンでの収容所の空気は、何だか明るく希望的なように感じられました。
本作のモチーフが、山本の遺書を記憶して口述で遺族に送り届けるという、代償のない、ただ献身的な行動の動機がこの点に収束するだけに、このシナリオの欠陥は致命的です。
ストーリーが進行する視点の置き方にも問題があります。
収容所シーンになって以降は、てっきり松坂桃李演じる、傍観者と共鳴者の狭間で揺れ続ける松田一等兵の視線で映像が進行していると思っていましたが、どうも半ば過ぎてからは松田自身がストーリーから外れていき、安田顕演じる屈折し苦悩する元上官の目線に移ったようでいて、でもそうでもないようで、ともかくカメラの視座の所在がブレ続け、従い敢えて言えば“観客目線”の、誠に中途半端な映像になってしまった感がします。
ヌケ(映像表現技術)では、北川景子演じる山本の妻が典型ですが、殆どの登場人物に10数年のただひたすら耐える長く苦しい歳月が積み重なった加齢が全く見えません。容貌に老いが、動作に衰えが全く出ていませんので、物語に鬱屈した重圧感が出て来ず、スクリーンからは悲愴感や閉塞感が湧いてきません。
山本を、人間愛の権化とし聖人君子のように描くシナリオもあり得たと思いますが、それにしては、本作には徹底した悪人がいません。アクの強い、いかにも憎たらしい悪役がいてこそ正義が際立ち、観客に感動をもたらします。日本人の中で権威を笠に着た傲慢な言動を取るシーンはありますが、終始主人公と対峙するということにはならず、インパクトは弱いものです。
“悪人”を担うはずの監視者のロシア人は、理不尽な暴力的残虐性が異常に強調されますが、理屈や対話が全く通じない、いわば獣と同様に映されていて、憎悪の対象になりようがない描かれ方です。
ただ後半の見せ場である遺書を伝える4人の行為には素朴に感動します。見返りの全くない、ひたすら犠牲的献身的な行動には純粋に心を打たれます。
但し、役者自身が慟哭していては、観客は泣けません。役者の側は悲しみを押し殺して耐え忍んでこそ、観客の涙腺を刺激することになるのだと思います。
あくまで個人の感想
実話だし
自分の心の中だけは自由だということが素晴らしい
バランスがなあ
最後のほうは蛇足かな
こんなの泣いちゃうじゃん
めちゃくちゃ良くて最後らへんはずっと泣いてました。
テッシュも換えのマスクも持ってこなかった自分の低能さに呆れるほどびちゃびちゃです。
まず俳優さんたちと二宮くんの演技がとにかく最高でした、演技で泣いたまであります。
特に叫んだり泣いたり、感情がワッと出る瞬間がとても素晴らしかったです。
続いてストーリー、シナリオですが、先に言うとめちゃくちゃ泣かせに来ます。
観てる途中「あ、泣かせにきてんな。」ってちょっと頭の隅にチラつく瞬間はあります。
しかしストーリーとして破綻が無く、完成度が高い為、ちょっと悔しくなりながらも泣くしかないです、最後らへんの畳み掛けはもうやめてくれと思う程でした。
年末年始、涙と感動で感情のデトックスをしたい方にぜひおすすめしたいです。
追記(ちょいネタバレ)
動物が出てきますが、動物が痛い目にあうシーンはないので安心して見てください。
ナヴォイ劇場in ウズベキスタン
宣伝が下手なのか、良い映画なのにひっそりとしている。予告編で素敵な声の人がいて気になったので見に行ってみた。(安田顕さんでした)
日本人捕虜だった彼らの一部が建てた劇場は地震にも耐え、「日本国民がナボイ劇場の建設に参加し、完成に貢献した」と石碑が建っているそうです。実話という衝撃の内容に心打たれました。MVPは犬のクロ‼︎
後半から何回も泣かされました😭
いまいちな感じ
薄味
実話を基に、シベリア抑留日本兵たちの収容所生活と家族との繋がりを描く。主人公の前向きな態度が周りに生きる希望を与えるが、本人は病に倒れる。仲間が密かに記憶し持ち帰った遺書を家族に伝えるシーンは泣ける。戦争を語り継ぐ意義もあるだろう。
一方、過酷で理不尽な抑留生活を描きながら、人物描写が総じて薄味と感じた。特に主人公の、楽観主義や広い視野、生への渇望、病気への無念といったものは描かれるが、その根底にある彼の行動原理が伝わってこない。
(話が終戦後のため戦争そのものの描写はほぼないが、それでも)他の登場人物に多少とも垣間見える、トラウマティックなエピソードから来る憎しみ、痛み、絶望などの感情の表出があまりない(特務機関での上官(ヤスケン)が偽証して自分を売ったと知ってもそれほど葛藤なく受け入れてしまう)。淡々としすぎていて感情移入しづらい。
原作(未読)ありなので人物設定にも縛りがあるのかもしれないが、フィクションでなく実際の戦争の歴史を扱っているのだから、もう少し掘り下げて何があったのかが語られるとよかった。
この時季に公開は偶然なのかベストタイミング!
いい人の物語
韓国映画だと…
俳優さんの演技力、
特に桐谷健太さんと北川景子さんの演技力が素晴らしすぎて登場するだけで涙が出ることも。
最後の「おかえり」だけのフレーズの破壊力。全体的にカットが荒いように感じてなかなか余韻が少なくセットや映像もちゃっちい印象がありなかなか入り込めなかったが「おかえり」のフレーズだけで一気に込み上げてくるものがここで初めて感じた。
さらに寺尾聰さんの祝辞(?)シーンも圧倒的破壊力。最後の最後で初登場にも関わらず印象が強く終わりよければ全てよしな感じで締めくくららている。
【まとめ】
演技力は素晴らし過ぎる、戦争映画だけど重厚感が薄い、カットが雑な感じがして余韻ない、若干セットがちゃっちく見えるのがちょっと鼻について映画の中に入り込みずらい。
日本映画は資金面が他国と比べて薄いと聞いているが韓国映画ならもっと重厚感がある映画になったのかなと感じる。
わかっていても
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