劇場公開日 2022年12月9日

「タイトルなし」ラーゲリより愛を込めて えみりさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5タイトルなし

2024年9月26日
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鑑賞方法:VOD

隠岐で山本さんの生誕地や碑を見て、顕彰会の岡田さんの話を聞いて見たくなる。とても頭のいい人だったという描き方は、ニモでは難しかったと思うけど、ニモのニヒリスティックにもなる(ブラックペアン)世界への距離の取り方とか、役者として自分を対象化する感じはすごい。もともとそういうキャラらしい。松坂がよかった(松坂はひねくれた役より死に向かう話のほうがいい)。安田さんはさすが。北川は初々しいけど、死を知って泣くシーンはダメだった。抑えた演技ができない人だ。収容所の中でのいろいろなリアリティのある話が良かった。軍隊階級の継続、営倉閉じ込め、収容所の中で遊びを見出すこと。今ひとつ、山本のリアリティは結局見えなかった。ニモの知的レベルの描き方の限界なのか、監督と脚本家がだめなのか。
岡田さんは記憶遺産にしようとしたけど、根拠が不十分だとか。ユネスコが駄目だろう。こういう形でしか残せない記憶遺産の形式にこそ、記憶遺産の本当の価値があるのに。辺見じゅん自身、選考に漏れた箱の中からこれを見つけて、そのエピソードに感動したというのに。

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えみり