「頭の中にあるものだけは決して奪うことはできない」ラーゲリより愛を込めて 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
頭の中にあるものだけは決して奪うことはできない
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シベリア抑留について正直あまりよく知らなかった。これほど長い期間、過酷な環境で生きてきた人々がいて、多くの方々が命を落としてきたというのは、知っておくべき出来事だ。
そんな中でも希望を捨てず、人としての尊厳を保ってきた山本幡男さんという方の実話を描いた作品。かなり脚色はあれど、山本さんの遺書を暗記して山本さんの家族に伝えたというエピソードは事実というのがすごい。
ショーシャンクの空という映画を思い出した。舞台もストーリーも違うのだが、刑務所という中でも人としての尊厳や希望を捨てない主人公に重なる。頭の中にある音楽は誰にも奪えない、というのは、まさにこの映画の中でも語られていたことだ。頭の中にあるものは奪えないのだ。
この映画では歌がよく出てくる。
彼らは持ち物を検査され幾度も没収される。
しかし、歌だけは決して奪うことはできない。それは自由の象徴である。
ショーシャンクでも、音楽は自由を意味していた。
そして、歌はまだ希望を捨ててない証でもある。
この映画はまさに、歌うことをやめなかった=いつ帰れるかもわからない絶望の中でも帰る希望を捨てなかった男たちの戦いの物語だ。
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