劇場公開日 2022年12月9日

「語り継がれるべき物語」ラーゲリより愛を込めて ニンフィア好きさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0語り継がれるべき物語

2023年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

幸せ

通算400作目の映画です。

第二次世界大戦後、シベリアの収容所に捕らえられた日本人捕虜・山本幡男の実話の映画化。雪深い山の奥地の収容所に多くの日本人が入れられ、奴隷のような重労働や何一つ自由のない理不尽な生活を強いられている中で、山本幡男は帰国して家族に会えることを信じて、シベリアで生き続けたという実話とは思えない実話です。見ている途中で感情移入してとても心苦しくなりますが、今の時代に生きているからこそ知るべき戦争の真実がありました。

「人生には希望が必要だ」山本はそう言い続けていました。どれだけ苦しいことがあろうと、希望だけは捨ててはならない。そういった山本の真っすぐな思いが仲間たちの心に希望の光を与えていました。見ているだけでつらい場面は正直頻繁にあります。でも、そればっかりでもありません。ささやかな楽しみも全力で楽しんでいる山本たちは本当に希望を失っていないんだと少しばかり嬉しくなります。それと同時に泣けてきます。物語が進むにつれどんどん泣かせるシーンが増えてきます。でも「お涙頂戴」ではありません。自然と胸を打たれて涙を流せる映画です。山本は、妻も、子どもたちも、仲間たちも同じくらい大切に思っていました。そんな山本の姿勢まで鮮明に描きだしていて、これでもかと泣かせに来ていました。これで涙が我慢できるわけがないですね。そして、ラストまで感動が消えることはなく、悲しくも美しい幸せな物語だったと思います。

戦争とはいつの時代も人々を不幸にしてしまいます。今現在も戦争をしている国があります。そして、この映画でも描かれている世界大戦を知らない世代が増えています。戦争の悲劇、歴史を誰の記憶からも消さないためにも、語り継がれなければならないのです。

ニンフィア好き