劇場公開日 2022年12月9日

「クロのエピソードは全て史実なのはやばい」ラーゲリより愛を込めて つんつんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5クロのエピソードは全て史実なのはやばい

2023年2月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

知的

これは1989年の原作を知らない人にこそ、刺さるんじゃないでしょうか。
確かに「山本幡男さん」は生きていてその収容所にいて、どんなにエグい扱いを受けても人としての尊厳やどう生きたいのか、希望を捨てないよう勇気を与え続けて、思いやりを持って存在していた。
でも、あくまでそれは客観的に収容所の捕虜仲間たちから見た「山本幡男さん」であり、彼の頭の中ではどうだったのだろう。劇中で「頭の中は自由です」と彼が語っていたように。
病床の場面で「絶望しないわけがないじゃないか」と絞り出すように伝えた、あの気持ちをずっと見せないようにして仲間に「希望を捨てるな」と伝え続けてきたんじゃないだろうか。
それでも、収容所で見た彼は人間らしく生きることの大切さや帰国することを諦めようとする姿は見せなかった。

そういう彼を語るために大切な客観性が重要な演技というのは、二宮和也さんの演技にピタッとハマっていて、自分も話が進行するにつれて捕虜の中で自然と増えていく「山本幡男さんファン」の1人になって見ていた。

ラーゲリから届く「愛」なんですけど、松坂桃李さん演じる松田くんのところではもう劇場内から啜り泣く声があちこちで上がるくらい、号泣。

クロのエピソードは完全に史実通りっていうのも含めてこの映画やばかった。

自分の人間性や人望について、改めて考えさせられる映画でした。
見て損はないと思うけど、デート向きではないかもな…

つんつん