劇場公開日 2022年12月9日

「反戦映画ではなく、政治的対峙の怖さを知る映画」ラーゲリより愛を込めて YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0反戦映画ではなく、政治的対峙の怖さを知る映画

2023年1月28日
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鑑賞方法:映画館

日本人として、観るべき映画だと考え、鑑賞しました。

東京外国語大学で ロシア文学 を学び、満鉄調査部そして、陸軍の"特務機関"に勤務した人間なのだから、
どうみて、スパイです。捕虜になった段階で、裁判なしで、死刑に成ってもおかしくないのですが
捕虜になった時点で 国民服や私服ではなく、きちんと正規の軍服制帽姿だったので、
即死刑にはならずに、一般的捕虜相応として扱われたのだと思われます。

戦後のソ連にとって、日本以上に危険国扱いであっただろう アメリカ唄「いとしのクレメンタイン」を英語で歌っては、
捕虜の立場としては、相当マズいだろうと思うのだが
更に、その英語唄を 周囲に教えているのも、輪をかけて大問題。。。
この部分だけで、とにかく反骨精神が強い男な事は解るが
ソ連捕虜がアメリカ唄を"なぜ!"歌うのか、今までアメリカに関与したことがないロシア好きが
どうして、このアメリカ田舎唄を歌うのか?
その辺の生い立ちを映画の中で きちんと示して欲しかった。
それがないのならば、事実はどうあれ、映画中で唄う歌は ロシア民謡 の方が、映画的にはしっくり できたと思う。

民間人の中島健人さんが軍服でなく、国民服の制服制帽 であったり
軍装が 昭和5式軍服 から 98式軍服 に史実通りに変化していたり、
収容所内では、制服の再配布があったのだろうか?途中から階級章や帽子の星をちゃんと剥がした跡があるし、
各所の考証はしっかりしていた。

終後7年で、手紙のやりとりが始まるのだが、「主人公死亡」に関しての公式報告は日本の家族に元に きちんと、知らされている筈なのだが。。。
それさえも 信じない 帰りを待つ家族は。。。
ならば そういった家族の葛藤シーンを改めて もう1度映画中に入れるべきでしょう。

ストーリーは明確で解りやすいが、
「夫の帰りを ただ信じて待つ」けなげさ! 以外
この映画を通しての 言いたい事 が他にもあるのかが不鮮明

二宮和也さんの役作りと演技はたいへん素晴らしかった! 主演賞級でした。
北川景子さんは いつ見てもお美しい!

収容所で、野球をするなら「大脱走」を観て欧州収容所と比較してみたいと思う。

YAS!