劇場公開日 2022年12月9日

「脇役たちも光ります。泣けます。」ラーゲリより愛を込めて 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0脇役たちも光ります。泣けます。

2022年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

実話に基づいたノンフィクション小説をベースにしているので、こんなことが(これに近いことが)行われていたんだなという実感を伴うものがある。
二宮和也は「硫黄島からの手紙」でもそうだったが捕虜の元日本兵が適役。小柄で細くていかにも栄養が不足しているような印象をもつし、謙虚で道義に厚い男そのもの。
希望をもちにくい中で、同僚を励まし、前を向く姿に、周りが次第に求心されていく様子は感動する。特に、彼をもっと大きな病院に診断させる要求のストライキを、殺される覚悟で挑んだ一人に賛同していく姿は、ひとの団結って素晴らしいと思った。
俳優陣では、他に、桐谷健太は硬派で少し悪そうだが次第に道義を取り戻していく姿を熱演していてよかったし、松坂桃李は逆に内気なものの篤実な青年を好演してた。安田顕も熱くてよかった。北川景子は美貌そのもので、眩しい。それら脇役たちの各見せ場で思わず泣いてしまうような場面が随所にあって、心が少し洗われるような感覚がした。

あと、史実として旧ソ連の非合法なシベリアの強制収容と労働。もともとは旧ソ連が満州国を侵攻したことに端を発する。ウクライナ戦争を始めた国だけに、この意味でもリアルさが増し、侵攻のおぞましさを感じる。

菜野 灯