「泣けなかった」ラーゲリより愛を込めて 高林夕子さんの映画レビュー(感想・評価)
泣けなかった
私が生まれた1956年は、まだまだ戦争の爪痕が色濃く残っていたという。
高度成長期になり、いつの間にか両親の口から戦争のことについての話は聞こえなくなったが、おそらく戦後かなりの間、もしかしたら近年も、日本中にそんな話が語り継がれているだろう。
自分が戦争を経験していなくても、親から聞かされ、幼い頃植え付けられた恐怖や嫌悪のせいで、この映画を観たくらいでは、胸は痛みもしなかった。
しかし、今のロシアが犯している誤った侵略や中国・北朝鮮からの攻撃の恐怖を、自分は何もできないまま眺めるしかなく、武器を用意するために増税となる悲しい現実。
高度成長期に青春を過ごし、給料は今より高かったおかげで年金もそれなりに受取っている恵まれた自分たちが、これから日本を担う若者たちに夢や希望を与えるにはどうすれば良いのだろうか。
ただただ、もう二度と戦争を起こすことがないように、こうして映画やドラマで残すことは有意義な事だと思うので、真摯に撮影に臨んだ俳優陣や製作関係者には感謝します。
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