「希望が文字となり、文字が希望を伝える」ラーゲリより愛を込めて bionさんの映画レビュー(感想・評価)
希望が文字となり、文字が希望を伝える
予備知識なしで見たもんだから、ラスト30分は涙が止まらない。帰国後のシーンは、安田顕に松坂桃李でしょ。絶対、ヤバイよね。想像しただけで目が潤んでくるのに、実際にスクリーンに映し出されると、もうダメ、堤防が決壊したごとく涙が押し寄せてくる。
5万8千人が死亡したソ連によるシベリア抑留。実際の抑留者の証言からすると、実態はもっと過酷で残酷だったと思うが、国際法に反した非道な行為をソ連が行なっていたことは、十分に描かれている。
南京虫が巣食う棺桶のような営倉(懲罰房)は、想像するだけでぞっとする。肉体的にも精神的にも人間を追い詰める残酷な仕打ちだし、上官クラスの捕虜を使って下士官クラスの捕虜を間接支配する様子は、見ていて気分が悪い。
ニノは、相変わらず上手い。上手いなんて言ったら失礼にあたるね。傑出した俳優であることは間違いない。
ちょっと残念なのが、最後に説教臭さが出ちゃったとこ。こんなこと言われなくたって、山本幡男さんの思いは、痛いほど伝わっています。My edition ではカットしました。
蛇足を吹き飛ばすくらい、本編の出来栄えは、素晴らしい。過酷な環境において、わずかな楽しみが、かすかな希望が生きる力を与えてくれる。自分が、辛いときは山本さんの言葉をよりどころにします。
希望が文字となり、文字が希望を伝える。
今晩は。
今作、観賞中は二宮さんの渾身の演技に魅入られましたが、後半の彼の遺志を継いで、遺書を暗記して届ける4名の方の姿を見て、堪えて居たモノが決壊しました。
更に言えば、辺見さんの原作は読んでいましたが、それに比肩する邦画を代表する役者さん達の名演技に感動を覚えました。
あの各人が遺された家族を訪れ、遺言を書を見ずに伝える各シーンは、名シーンだと思います。涙を堪えるのが難しいシーンの連続でしたから・・。
では。返信は不要ですよ。これからもよろしくお願いします。