「静かで丁寧な描写に脳筋オチの落差」LAMB ラム むしばさんの映画レビュー(感想・評価)
静かで丁寧な描写に脳筋オチの落差
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ラストが唐突ってのは聞いてたけど、2時間たっぷり安易なジャンプスケアも使わずに丁寧に静かに不穏な雰囲気を作っておきながら、ラスト5分で脳筋みたいなオチに笑った。確かに理屈は通るかもしれないけどそうじゃない…。納得してしまったけれども。
ジャンプスケアが苦手なので、女神の継承の前半やこの作品みたいに、静かに会話少なめに描写で不穏さを表現するのが好きで、猫や犬や羊たちが目で語る演出がすごく良かった。
特に犬は表情豊かで、猫はニャルソックしてる行動(視線の先)が良い。
登場人物も、善良で真面目だけど狂ってしまった夫妻と、クズだけど正常な夫の兄の対比が良い。
このクズ兄は絶対金のためにいらんことするぞ…とか、この夫婦に子供ができて、その子供はまんま羊の姿をしてるオチじゃね?とか、逆に普通の子供が生まれたあとのアダがどうなるか…とか、この夫婦が宇宙人で羊は人間牧場的なものっていうことでは…?とか色々ラストを想像してたのに、まさかのオチたった。あの2時間は何だったのか…。
羊の娘のアダの造形は絶妙。
頭と右手が羊、他は人間。結構生々しい。コミュニケーションはできるようだが言葉は話せない。
頭だけかと思ったら右腕も蹄なので、どこまでを人とするかということを考える時に絶妙。人魚は人寄りだけど魚人は魚寄りとか。
食事シーンでもこの頭と両手が見えるのが良い。
食事シーンも多いので、ヤン・シュヴァンクマイエルのオテサーネクも彷彿とさせられる。
読後感?は全く異なるけれど。
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