「美しい自然や動物。半獣。そして人間。こころはどこへ向かう。」LAMB ラム humさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい自然や動物。半獣。そして人間。こころはどこへ向かう。
白銀の地に野生の馬の黒い群れ。
突然たじろぎ行き先を変える。
なにが?なにかがいる。。。
そしてまた
夜中の羊小屋に近づく音。
何かを感じざわめきたつ羊たち。
その澄んだ目が尋常ではない事への動揺をあらわす。
その後
よこたわる一頭の羊。
なにが?なにかがきたんだ。。。
見えなかった恐怖。
不穏で奇妙な空気を引きずりながら
スクリーン前の観客の時も過ぎる。
ここはアイスランド。
稜線の流れ、丘の起伏、雲の厚みや形、空の色あい、草の匂い、水や風の音、白夜に渡る気配、雪あかりに光る氷の粒…
息をのむほどの美しい大自然にぐるりと囲まれぽつんと暮らす羊飼いの夫妻。
一日の流れを淡々とこなす二人にはどうやら子を亡くした過去があるようだ。
しずかな食事中の何気ない会話。
夫はどこか諦め腹をくくった感があり現在を幸せと語るが、妻は何か消化できないような過去へのこだわりを隠せていない。
そんなふたりの日常が変わる。
ラジオからクリスマスを祝うメッセージが流れる夜だ。
いつものように、仔羊をとりあげた夫妻はその異形に沈黙の衝撃を受ける。
神からの授かり物と信じたのだろう、躊躇なく亡くした娘に因みアダと名づけ育てはじめたのだ。
我が子のようにやさしく抱き子守り唄であやす妻を部屋の前でみかける夫のシーンがある。
妻の迷いなき母性の復活と不安で気後れもあった夫の温度差を示しながらも、これが二人の間にあった風穴を塞ぐきっかけになるだろうと自分に安堵を言い聞かせていたように捉えられる大事なところではないかと思う。
この、夫の開き直りにより、アダへの情は増し、気持ちの足並みが揃ってきた夫妻。
突然、トラブルを起こし実家に戻ってきた弟に対して臆することなくアダを紹介してみせる姿だ。
前日たまたま見かけた兄嫁による母羊の銃殺をただごとではないと感じていた弟は当たり前に反感と不安を抱き訴えるが、兄はそれを幸せの邪魔と捉えるところまでの没頭ぶり。
再び子を得て幸せそうな妻の様子をみるのが彼の何よりの安心だったのだろう。
兄嫁にちょっかいをかける弟は母羊の件を引き合いにだしたが、妻はさっさと金銭を渡し家から追い払う。
もうアダと夫との幸せ以外はなにもいらない強さに満ちている。
思考の中心に他を寄せ付けなくなった末路は…
殺される夫
つれもどされる仔羊
たったひとりになる妻
あの美しく雄大な大地は
奪われた子を探し呼び続け殺された母羊のかなしみに震えたか
夫を撃ちぬくほど恨み仔羊を取返しにきた実父の思いを理解したか
はたまた
癒されていなかった空虚を
理性を超えて埋めることに夢中になってしまった夫妻の顛末を憐れんだか
私としては
いちばんわからないままに手をひかれて行く仔羊アダの平穏な幸せを祈りたいところだが…
人間の作り出した銃を
自然界から来たあの彼は、おそらくはじめて使い
思いを通す経験をしてしまった。
妻のあの叫び。
きっと我が子アダを探しに出かける。
転結はここからだ。
りかさん、コメントありがとうございます。
これは途中とのことで、こちらに〜。(いらないかもだけど。。。)1番には子を取られた母羊の心情が痛切に伝わり怖かったのではないかなと思いました。夫妻としては内密にしておきたいところだし、それを脅かす存在として最たる者(母親)がああして迫ってきたので。
最後はまた…ぞーっとしましたね😱
途中からしか観ていません。母羊を殺したのは、自分が母親になりたいから?
最後怖かったですね。
アダちゃん⁇身体が人間の子で、
父羊が取り返しに来て、
想像の範疇を超えていまして‥‥。返信いいですので。
しろくろぱんださん
コメントいただきありがとうございます。
私のレビューはどれも、だいぶ勝手な想像の遊びみたいなものなので…
そんなふうに言っていただきなんだか恐縮です。
ありがとうございます^ ^
いくつかの共感
ありがとうございます。
この作品の意図するところ
意味するところが分からなくて終わってしまいました。
him さんのレビューで少し概要がわかってきました。
参考になりました。
ありがとうございます。