「あえて言いたい!これは”バイオハザード”の初映画化だと!!」バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あえて言いたい!これは”バイオハザード”の初映画化だと!!

2022年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

1996年に発売されたホラーゲーム「バイオハザード」は、2002年にミラ・ジョヴォヴィッチ主演、ポール・W・S・アンダーソン監督によって映画化され、全6作製作された。

ポールの場合、その前にも『モータル・コンバット』を映画化しており、『モンスター・ハンター』もまだ欧米では知名度が全くないときから映画化を企画するなど、生粋のゲームオタク監督ではあるが、「バイオハザード」シリーズの場合は、もうひとつの好きなものが誕生してしまった。

それはミラ・ジョヴォヴィッチの存在だ。ゲームの映画化という枠を超えて、自分の好きな人を魅力的にみせたいという方向に変化してしまったのだ。

そしていつしか原作要素が主体としてではなく、ミラの活躍が主体のアクション映画に向いていってしまい、ゲームを知らない層にとっては、それこそが「バイオハザード」と印象付けてしまったのは問題であった。

しかし、今作は原点回帰、リメイク、リブートというか、そもそもがゲームのテイストを大事に描いた実写映画としては、初めて「バイオハザード」を真正面から映画化した作品といえるだろう。

とにかく今作は、映画にするうえで尺的な問題などもあって、どうしてもオリジナル要素やキャラクター改変があるものの、極力ストーリーも演出、デザイン、カメラワークまでもが、ゲームに沿って作られている。

「バイオハザード」というゲームは、もともと製作過程において、どういったシチュエーションで人間は恐怖を感じるのか、どういった演出が驚かるのか……といった、サスペンスやホラー映画を徹底的に研究して作られている。

プレイステーションで発売された1作目は、実写パートも存在しており、実写のテレビCMを観た当時は、怖いゲームとしての印象が強かった。

だからこそ「バイオハザード」の初期シリーズを忠実に描くことは、ホラー色が強くなるのはあたり前のことであり、変にいじくらなくても、ゲーム上の演出自体が映画的であるのだ。

それを改めて、現代の映像技術で再現されて、ゲーム自体も1作目、2作目はリメイクされているが、当時は映像技術の限界によって再現できなかったものを、改めて鮮明に観ることで、「バイオハザード」というゲームの偉大さに気づくことができる、まさにゲームリスペクト映画なのだ。

バイオハザードで最も有名なシーンと言っても過言ではないゾンビの振り向き際のシーン、「スウィートホーム」をモデルにしたスペンサー邸を初めて見たとき異質感、警察署の前にトラックが突っ込み、お約束のロケットランチャー。

リメイク版のビジュアルに寄せた実験の被害者リサ・トレヴァー、「バイオハザード CODE:Veronica」に登するアシュフオード家の双子の存在など、 実験室にある赤・青・緑の体力回復ハーブ……ここぞとばかりにネタを詰め込み、徹底的にゲームに寄せている。

ここで邪魔になるのが、やはりミラ版『バイオハザード』の娯楽アクションイメージである。アクション映画と比べると地味な印象になるのは仕方ない。しかし、そもそもが別ジャンル。アクションではなく、ホラー映画として観てもらいたい!

バフィー吉川(Buffys Movie)