「今はね、妊娠は意思と努力ですよ。」夜明けの夫婦 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
今はね、妊娠は意思と努力ですよ。
チラシのちょっと不穏な家族写真を見て、コメディなのか、ブラックな風刺路線に向かうのか、興味津々だった。結局は、案外どこの同居家庭にでもありそうな、でもちょっとなさそうな、絶妙な悩みと不安と不義と欲求がずっと続く。例えばサラの韓国人であるが故の疎外感だったり、母晶子はかつてのサヨク活動のように満たされない日常であったり、康介はぐいぐいくる浮気相手に辟易してたり、おまけに同僚女子と実はワンナイトの過去があったぽかったり、父は嫁とあわよくばの願望があったりなかったり。小さな同感同意共感を誘いながら、最後、あの終わり方はそれなりの幸せなのだろう。そう思えるのは、抱き締めたときに「良かったね」と思えたからかな。だからかの家族にとって、夜明けなんだろうな。
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