「婉曲的過ぎる体制批判」君は行く先を知らない ブログ「地政学への知性」さんの映画レビュー(感想・評価)
婉曲的過ぎる体制批判
イランのこと何も知らずに見るとサッパリわからない映画だ。
なぜこの家族は子どもに行き先を告げずに走り続けるのか。何に怯えて慎重に行動しているのか。
事前知識や想像力が必要
・原因不明の骨折でギプス姿の父親
・そのギプスに隠されている携帯電話
・ストレス障害のような長男
・死ぬ間際の飼い犬
・途中で出会うアームストロング選手に憧れる自転車選手
・アームストロング選手のドーピング騒動に関する会話
・終始天真爛漫にふるまう少年と反抗期のような言動や行動
何を象徴しているのか、いかようにも解釈しえる。見る人の教養を試しているかのような手法に不快感さえ覚えた。映画自体は体制批判との指摘を恐れて作られたかのような作りだ。果たして監督が伝えたいメッセージは本当に伝わるのか。何かに力を与えることができるのか。大いに疑問に思ってしまう。こんな映画に仕上げてもイランでは裁かれるかもしれないほど人権状況が深刻なのだ、とでも理解すれば監督は満足なのか。見る人の理解力とか共感力に頼り過ぎている気がして、クライマックスでも悲しみを共感することができなかった。
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