劇場公開日 2023年8月25日

  • 予告編を見る

「もう何回かは観に行きたい」君は行く先を知らない さっちさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5もう何回かは観に行きたい

2023年8月30日
Androidアプリから投稿

話としては凄く単純で、行き詰まった生活に一抹の望みをかけて長男を異国の地へ送り出すという良くあるもの。
しかしその良くある現実問題が凄く面白く見えるのは、深刻な状況の中で失わないユーモラスと適度に挟まれるしょうもないサスペンスがあればこそだろう。
特徴的な構図や音の使い方が上手だったのも間延びしない展開に一役買っていた。

主人公たち一家は問題のある家庭ではあるが、決して愛が無いわけではない。
そして可笑しくも共感できるそれぞれの象徴的な個性がユーモアを通じて観る者によく寄り添っていた。
父親の無責任がちな放任、母親の束縛手前の愛情、長男のズレた感覚の頼り無さ、次男の鬱陶しいほどの奔放さ。
日本とイラン、国柄は全く違うはずなのに普通に一般的な日本人家族にも容易に当て嵌まる要素ばかりで、人種や国が違えど所詮人間は人間、家族は家族でしかないんだなと強く思わされた。

コメントする
さっち