「【面倒だけど、素晴らしき僕たちの世界!】」tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン! ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【面倒だけど、素晴らしき僕たちの世界!】
この作品は、いわば「RENT」前夜の物語なのだと思う。
世の中は思い通りにならないことだらけだ。
いくら言葉を尽くしても、理解し合えなかったり。
友人が病気なったり。
次から次に疑問も湧いてくる。
でも、それは、きっと新しいステップになる。
(以下ネタバレ)
日曜、朝、昼近くに起きて、ダイナーにブランチで集い、自由気まままに振る舞う面倒な人たち!
あれこれ、自由気ままにあれこれ助言"らしき"ことを言う連中。
まあ、ごもっともな内容だ。
でも、細かな主張を積み重ねたら、価値観がピッタリ合う奴なんて、この世にいるはずもない。
大切な時間なんだ、自分を優先するだけじゃなくて、少しは考えて欲しいよ。
でも、サポートしてくれる人はいて、理解する人もいる。
だから、自分だけでじゃなくて、人に手を差し伸べてあげられる人になりたい。
伝えたい人にちゃんと伝わらない、思い通りにならないこともたくさん。
でも、続けることが大事だ。
これは、誰にでも共通することだ。
自分の身の回りのことを書いてみる。
自分自身を見つめ直すことも同じで、すべての人に大切なことだ。
諦めたらダメなのだ。
これもきっと同じだ。
多くの人の心に響くミュージカル作品だと思う。
繰り返しになるが、この作品は、いわば「RENT」前夜の物語なのだと思う。
作品中で映し出される、テレビの報道番組が、アメリカの議員がエイズの危機を訴える際、ゲイを非難する場面。
そして、マイケルのHIV感染。
映画やミュージカル作品でアウトサイダーやマイノリティを扱ったりするのは少なくはない。
しかし「RENT」のように、マイノリティの中に、HIV感染者を取り上げたのは、それも、まだエイズの影響が大きい90年代にテーマとしたのは、勇気のほかに強い友情も感じられ、人々の心にきっと響いたのではないかと思う。
弱いものを非難したり、排除したりするのは決して勇気じゃない。
「RENT」がオフブロードウェイからブロードウェイの商業公演に舞台を移すその日の公演直前にジョナサンが亡くなったことは衝撃をもって多くの人に受け止められた。
この作品も「RENT」も、今、再び大きな問いを僕たちに投げかかているような気がする。