劇場公開日 2022年5月6日

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「未来に光は。。」マイスモールランド せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0未来に光は。。

2022年9月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

幼い頃に父に連れられ日本に住む在日クルド人のサーリャがある日、在留資格を失ったことにより日本での自分の居場所について悩む姿を描く話。

難民問題を描きつつも、日本とクルド人ふたつのルーツを持つサーリャが自分の立ち位置を探していく話でもある。冒頭、クルド人の結婚の集まりに出席するサーリャが手に赤い丸(クルド人が何かの催し物の時に付ける印らしい)を付けられ、それがなかなか落ちない様子が描かれる。

これが日本の国旗と同じ日の丸なのにサーリャにとっては逃れられないクルド人としての自分。その反面、颯太と一緒に手に付ける赤いスプレーは簡単に取れてしまう。クルド人であることは必ずついて回るのに、日本人であることは必死にしがみついていないと無くなってしまうように見えて悲しかった。

日本の難民制度についてもちゃんと知れて、自分が日本の難民制度について全く知識がなかった事を恥ずかしく思った。例えば、難民認定が取り消された後その後すぐに強制送還されるのかと思っていたら「仮放免」というほぼ犯罪者の執行猶予みたいな制度が適応されてることとか。

だから日本って難民については凄く厳しい国で難民認定数が少ないから難民が少数しかいないのではなく、認められてない難民がたくさん日本に住んでいるってことなんだなと今更分かった(それでもヨーロッパとかに比べたら全然少ないとは思うけど)。

どこかで日本に難民が少ないのだから他国の難民問題を対岸の火事だと思っていた自分がいて、反省した。日本は海を渡って来なきゃいけないのに難民認定も厳しい。それなのに日本を選んで来てくれてる人を全く「おもてなし」出来ない国なんだなと。

でも、日本に住む日本人としてはサーリャをクビにするコンビニの店長も力になろうとしてるのはわかるけどイマイチ何のためにもなってなさそうな弁護士(?)の立場も分かってしまう。酷いと思いつつも制度がそうなんだからしょうがないと思う自分もいるし、あれ以上何をしてやれるかは自分にも分からない。

せつこん