劇場公開日 2022年5月6日

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「本作の良否を言うのは自分ではなく・・・」マイスモールランド Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本作の良否を言うのは自分ではなく・・・

2022年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「難民」の問題も、ウクライナ「避難民」問題が生じため、今や新しいフェーズを迎えているが、政府はどういう詭弁で乗り切るつもりだろうか。

本作を見終わった後の第一印象は、問題点がシンプルに整理され提示されているようだが、劇映画としてはこれといったインパクトに欠ける、だった。
しかし、しばらくすると記憶の中で、妙にジワジワ味が出てくる。

電気代節約のため、冷房のスイッチを入れたり切ったりするシーン。
クルドの同胞男性を拒絶するシーン。
埼玉と東京の境を示す看板の手形は、問題の本質を一撃で表した、せつなくも特筆すべき名シーンだと思う。器物損壊を言うなら、人権損壊も見なければならないだろう。

彫りの深い顔立ちの嵐莉菜は、表情を作るのにやや時間がかかり、それが微妙な“間(ま)”になって、主人公の内面を暗示しているところが、本作のテーマに合致していて良かった。
初演技とは思えないほど器用で真実味があるし、この先おバカなトレンディー作品だけでなく、本格的な演技派でも売れて欲しい気がする。

とはいえ、本作の良否を言うのは自分ではないだろう。
日本の難民の人たちがどういう印象を持ったか、知りたいところである。

Imperator