劇場公開日 2022年5月6日

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「オーソドックスな良さ」マイスモールランド タカシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0オーソドックスな良さ

2022年5月8日
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入管のひどさや日本の司法を描く映画あるけれど、この作品も良い。この問題を表現で知ったのは「灰汁」というラッパーが入管と法務省への抗議を曲にしたのが最初だった。

そこから時間が経ち、具体的なひどさがメディアで取り上げられやすくなり、ここ何年かは実際に運動として、成果も挙げてきた。昨年の入管法改正阻止運動など。映画でも取り上げられるが日本人とのディスコミュニケーションに主人公は苦しむ。その前段階としてサッカーワールドカップについて話、国家と民族の違いを観客に理解させる作りも上手い。

パパ活の池田良は恋人たちチームでこんな感じの悪い男性役をよくやっている。日本人が悪気があって言うわけではない差別がどこも興味深い。市役所の役人が訴えの後の「はい」の間も、ということなんですねと聞いた体にして終わらせるのも強烈な演出だった。

監督は30ぐらいらしいが、堂々としたストーリーテリングも素晴らしい。こういった社会テーマを扱うと生真面目過ぎて中庸になったり、陰謀論めいてしまう作品もあるが、ユーモアと小道具を上手く使っている。観客は年齢層高めなのが少し気がかりだ。青春ストーリーとして見ても素晴らしいだけに。コーダも思い出した。
尾崎豊は柔らかい生活とかでも使われていたけれど、こちらは皮肉が効いている

撮影がドライブ・マイ・カーの四宮なのは意外と注目されていない。

タカシ