「ずいぶん久しぶりに見たスラップスティック映画」ザ・トリップ 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
ずいぶん久しぶりに見たスラップスティック映画
変わった映画だなと思いながら見ていたら、そのうち「ああ、スラップスティックって、こんな映画だったよな」と納得した。
いろんなキャラクターが入り乱れて組んず解れつドタバタ争い合う、チャップリンやキートンのドタバタ喜劇。あの伝統を継承した映画がこれだろう。
完全に破綻した夫婦が互いに殺して保険金を騙し取ろうと思いながら、山地の別荘に出かけ、そこで銃やハンマーで殺し合いを繰り広げているところに、凶悪な脱獄囚3人組が加わって、今度は2対3で騙し合いとバトルを繰り広げ、一人また一人死んでいく…といった、まさにドタバタ喜劇が展開される。そこに旦那が奥さん殺しの助っ人に頼んだ頭の弱い甥とか、足は衰えているが凄いガッツの持ち主である旦那の老父まで参戦してきて、ドタバタにさらなる燃料を投下する。
初めは人が簡単に死んでいくので、「おいおい、これって許されるのか」と自問自答しているのだが、いかんせん殺すまでの展開や殺し方が面白い。しかもキャラクターもすべてデフォルメされたカリカチュアなので、そのうち「こいつはこうやって殺せ」とか考えている自分に気付くのであるw
面白さに加え、ずいぶん久しぶりにドタバタ喜劇を見たな…という懐かしさも搔き立てられる一編。
ノオミ・ラパスは相変わらず芸達者だが、それより本作では間抜け顔の旦那を演じるアクセル・ヘニーが秀逸でした。
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