夢の涯てまでも ディレクターズカットのレビュー・感想・評価
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5時間になるべくしてなった作品
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長いなーでもヴィム・ヴェンダースだから観ておかないと…なんて大して期待もせず観たら、ベルリン天使の詩を超えて個人的最お気に入りとなりました。
ヴィジュアルももちろん美しいです。写真集があれば欲しい。
ひたすらまっすぐなクレアを取り巻く、様々な立場、様々なバックグラウンドをもつ人間たちが、お互い追ったり追われたりして、それこそ世界中を飛び回るのだけど、そのうち当初の目的とか皆どうでもよくなって、大自然の中でバンド組んで楽しくライブしちゃうシーン、よかった、とても。
ここらへんを境に、物語はまた一気に、邦題の、本当に意図する方向へ展開。未来(いま現在のこの世界)を予想したかのようなダークな色を帯び、はたまたこりゃどうなるかと最後まで飽きさせません。
最後は途中で別れた仲間たちがクレアの誕生日を祝う。まさにオンラインバースデーパーティー。ホロリとさせられ、長丁場の疲れも忘れます。
先進国では科学の進歩にばかり夢中になり、人々は自分たちが脆い生き物であることを忘れている。
自然と共生するアボリジニのコミュニティがそんな人々をあぶり出し、癒やしていく。
つい最近になって、もっと人間らしく生きようと世の中が言い出したと思っていたけど、もう30年以上も前にヴィムは警鐘を鳴らしていたのか。
クレアを愛し、護り続けたジーンの一人称で語られる、人種も国境も超越した壮大な物語。
ああ、観てよかった。
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