スワンソングのレビュー・感想・評価
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米国には黒人専用の美容室が有る。。。
田舎の教会でも黒人専用があるのは知っていたが、美容室も やはり有ると 知った。
米国の老人ホームも描かれている。
美容師が、昔の馴染み客の死に化粧をする話。
色っぽい老人の街中だけロードムービー
ぐっとくるものは無いが、ジワジワと余韻が残るいい映画だと思います。
ゲイカップルが子育てしているシーンは時代の変化を感じる。
老練ウド・キアー、一世一代の名演でしょう。深々とした余韻が快かったです。
アメリカの小さな町の、小さな話である。老いたヘアドレッサーが、がっての顧客の遺言で、彼女に死に化粧を施すという話です。
余生もわずかになった。何かを残して、人生を締めくくりたい。しかし、そうは思っても、老骨にむち打っての大仕事は難しい。と諦めてしまう前に、本作の主人公を見てぼしい。しみじみと味わい深く、堂々と楽しげに、白鳥の歌を歌うこともできるのです。
アメリカの小さな田舎町の道、店、風景がいい。老人ホームを抜け出したパットのロードムービーは、彼の人生を見つめる軌跡であり、寂れゆく町は演出効果そのものというべきでしょう。夕日に輝き、ダンスを踊り、死化粧を施す姿に、スティーブンス監督のゲイ文化への敬意が刻まれていました。
舞台は、米オハイオ州サンタスキー。かつて人気のヘアメークドレッサーで「ミスター・パット」と呼ばれたパトリック(ウド・キア)は、老人ホームで退屈な隠居生活を送っいました。
かつては、多くの顧客を抱えていたが、現役引退後は老人ホームでひっそりと暮らしていたのです。そこへ、仕事が舞い込んできます。お得意様たった大金持ちの女性、リタ(リンダ・エヴァンス)が亡くなり、死化粧を施してほしいと頼まれたのでした。しかし、パットは、途方もない報酬のその仕事を断ります。リタにはわだかまりを持っていたのでした。
やがて気を変え、ホームを抜け出します。そこにはゲイとして生きてきた人生や最愛の人の死、リタヘの複雑な思いがあったのでした。
パトリックは他の老人と違い、足腰もしっかりし、白いスニーカーがまぶしく映ります。食堂のナプキンを一枚一枚折り目正しく折るのは、元ヘアメイクドレッサーの手際が体に染みついている証し。だから、リタとは過去に確執があっても、依頼を引き受けることは目に見えていました。老いて堂々人生たどる旅。老人ホームを飛び出して、ふる里の町へ、パトリックはひたすら歩き続けます。それは空間を移動しながら、過去と出会う時間の旅でもあったのです
大ぶりな指輪をスッと着ける、そのエレガンスな仕草だけで、亡き友のために人生最後の仕事をすると覚悟を決めたことを鮮やかに伝えるパットでした。
古いたばこの銘柄を注文して不審がられ、化粧品店だと思って飛び込んだ美容院で冷やかされても、エレガントにかわしてみせます。自分のアシスタントから独立し、商売敵になった女性とも堂々と渡り合うのでした。そして昔の客と出会ったら直ぐに心を通わすことができました。ネットのバーチャル旅行や頭の中の空想でなく、自分の足で歩く旅。パトリックは、目の前の現実を通して、過去と向き合う旅人なのです。
旅の途中、パトリックが最も心を動かされるのは、同性愛を巡る社会の変化を目にした時。恋人だった男性の墓を訪ねて、死を悼んだり、昔毎週ステージに立っていたゲイバーを訪ねだり。ノスタルジーに浸りそうになります。いきつけだったゲイバーは明日閉じるというし、彼の愛用したヘアクリームはすでに製造中止だと聞かされます。
友と昔を懐かしんでいる目の前に、男性のカップルが子育てをする光景が現れます。そんなことは、かつては想像などできなかったことでしょう。
最後には、恋人の死を巡って、わだかまりが残っていたリタと対面することに。パトリックと一緒に旅をしてきた観客は、導かれる結論にうなずくはずです。
脚本、監督のトッド・スティーブンスはサンタスキーの出身です。パットは実在の人物がモデルで、エンドロールで紹介されていました。1984年、17歳のドットはゲイバーで彼が踊るのを見ているそうです。以来、パットはドットの「女神」だというのです。
パットはまずパートナーだったデビッドの墓に額ずきます。最愛の人はエイズが最も恐れられていた90年代半ばに死んでいました。時の流れが身に染みます。
湖のほとりのベンチで旧友と語り合う場面の何と切ないことでしょうか。ふと気づくとパットはベンチにひとり。旧友はデビッドと前後して死んでいたのです。
追憶の中では、全てが美しく、はかないものです。そして郷愁がひとしお募ります。ここに描かれるのは、勇気と衿持を保ち凛として生きたあるカリスマの肖像です。老練ウド・キアー、一世一代の名演でしょう。深々とした余韻が快かったです。
生を頂いたものは必ず訪れる そして…
貧困者向け老人ホームで死ぬまでの時間を過ごしていたゲイじいさんが、過去を振り返るストーリー。
最終的には過去を許し、穏やかに最後を迎えられたと思う。こんな最後も良いなと思った反面、違う最後もいいかもと死について考えさせられる内容でした。
ウド・キアが素晴らしすぎて
老人ホームで、お漏らし用シートをたたみ直すぐらいしかする事もない日々を送る往年のカリスマ・ヘア・ドレッサーの元に、他界した旧知の女性の遺言による死化粧の依頼が来る。
一度は拒絶するが、やってみようと思い立ち、その仕事に必要なものを調達する道中に彼を取り巻く人・場所・物事等が絡む顛末がロードムービー風に紡がれる・・・という内容です。
不満だった点を先に言います。
観る前に想像していたのと違って、意外にベタな作りでした。
彼の心情に寄り添うように随所に歌を挿入する手法もかなりベタです。
ベタが駄目だなんて言うつもりは勿論ありませんが、もうちょっと抑制の効いた渋い演出の方がこの題材には合っているのではないかと個人的には思いました。
故人の依頼に応えて死化粧を施すシーンが本作のクライマックスになると思いますが、その表現手法が殆ど主人公の顔と手元のアップの切り替えだけ、というのも私には不満でした。
まあ文句はこれくらいにして
とにかくウド・キアが素晴らしいです!
彼を見るためだけだけでも入場料を払う価値大ありです。
この映画には、いい場面が沢山あります。
アイテム集めの道中で繰り広げられる様々な人たちとのふれあいで、ほっこりしたり、クスっと笑えたり、身につまされたり・・・。
ときおり訪れるこういった場面が心に沁みるシーンになり得たのは監督の手腕よりも、ひとえにウド・キアの演技に負うところが大きいと思います。
私にとって心に残る映画が、彼のおかげでまた一本増えました。
以下、思いつくまま箇条書き的に
・白鳥は死ぬ間際に最も美しい声で歌うという伝説から、アーチスト等の生前最後の作品を指してスワンソングというそうですね。
初めて知りました。
・MOREが吸いたくなりました。
せっかく煙草をやめたので吸わないけど。
・実在の人物がモデルだそうですが、この映画のストーリーは実話なのでしょうか?完全な創作でしょうか?
・「デビッドに会ってきたよ」
「そうか。相変わらず死んでたかい?」
このやり取りが、やけに心に残りました。
以上、お粗末でございました。
小さな町での、ささやかで、偉大な物語
老人ホームで特に面白いこともなく、唯一の楽しみは隠した煙草で一服すること。友人の死化粧を依頼されたことから、町に戻り、旧知の友人や場所を訪ねながら、自身の人生を振り返っていくロードムービー。
パット役のウド・ギアーがよかった。表情や煙草をふかす仕草は色気あってとてもカッコいいのに、一方で、リュックを背負って、ちょぼちょぼ歩く姿はなんとも可愛らしい。町でゲットしていく帽子や衣装に身を包み、堂々とした様に変化していくのも素敵。
恋人や友人やそれを取り巻く人々との間のわだかまりや、心残りのようなもの、つらい感情のようなものを、今回の旅で、みんなからの色々な形での愛情を、確認でき、これまでの人生を少し違った風に書き換えることができたのではないでしょうか。
「靴だけは趣味がいい」リタからこっそり靴を拝借し、それを見つけたリタの孫がくすっと笑うシーンは、心がほっこりしました。
ロードムービー強め
ゲイ色の濃い映画かと思って観たら、ロードムービー強めで、
あとからポスター確かめたら、ロードムービーと書いてありました(笑)
基本ロードムービーですね。
良かったです。
少し甘めの星4つ。
気軽に観れると思います。
エンドロール後も少しだけあります。
ウド・キアーの色気満載
2022年劇場鑑賞191本目。
実在したゲイのカリスマ美容師をモデルに、最後の仕事をすべく旅するロードムービー。とはいえゴールに向かいつつも目的を行うかどうか悩みながら行くので着いたら終わりではないのが他のロードムービーとちょっと違うところ。
ほとんど無一文で出かけたはずがいつの間にか色々手に入れてオシャレになっていくのが面白いです。正直最初はゲイだと分からなったのですが、だんだん色気が出てきていました。中盤少しダレたかなと思いましたがラスト良かったです。
スワンソングという意味を始めて知った。 ゼッペリンの”スワンソング...
スワンソングという意味を始めて知った。
ゼッペリンの”スワンソング”ってそういう意味だったんだ。
ロードムービーを期待したのが、前半は単調すぎた。
鑑賞後心が温まるお話
作品のレビュー前に、上映後に行われた監督とのオンラインインタビューの模様を少し。
インタビュー冒頭いきなり監督のゲイカミングアウトから始まって「そのカミングアウト必要?」と思ったら、この作品は監督が幼少期に過ごした街にいて、強烈なインパクトを与えた有名人(パット)について、監督本人と近親者たちの記憶に基づいて作り上げたものとのことで、その後の監督の人間形成に影響があったのならカミングアウトも必要なパーツだったのかと納得した次第。
その後のインタビューでは主演がウド・キアに決まった経緯や撮影は16日間というタイトな日程で行われたことなど、非常に興味深いものでした、いやぁ、これはこの回を観てよかった!
さて、作品ですが、2日間ほどの間に元カリスマ美容師であるパットが元親友で顧客であった女性の死化粧を施すまでに繰り広げられるロードムービー。
監督の言葉によれば保守的で画一的な格好を好む人々が暮らす街が舞台なのですが、登場する人たちは総じて寛容で悪人が出てこないのがとても心地よく、クスリと笑えるシーンも盛り込まれテンポ良く進んでいきます。
しかし、パットが一旦は受けた依頼をできないと悩み始めてからの過去への回想シーンと現実か夢想なのかわからないシーンが中盤続くあたりがややダレ気味になったのが残念なところかな。
とはいえ全体を通してユーモア・愛情・思いやりにあふれる良作だと感じました。
ウド・キアの演技も素晴らしかった!
LGBTものととらえるより、友情を取り戻すロードムービーと受け止めて幅広く観てもらいたい一本です。
全ての人間に平等に与えられたもの…
良かった。
いや、本当に素直に良かった。
最近の作品ではなかなか無いタイプの良作かと。
確かにこんなジジイいたらかなり迷惑だけど、色んな矛盾や何もかもを、いや、だってこれ映画だしって飲み込めるチカラを持った作品です。
なのにしっかり、人生とは?許しとは?愛とは?友情とは?などなどなどなどを、しっかり考えさせてくれる。
ちょっとだけ、老いたゲイの感傷に付き合ってみて下さい。
観た後、不思議と笑顔になっちゃうから。
タイトルなし
正直、やっかいなじいさん
でもなぜか憎めない
そんな彼が、わだかまりを残したまま、疎遠になり、亡くなった親友の頼みを聞き、彼女の旅立ちのためのヘアメイクを施しに出かける話
パットが施設にいるあいだに、街も時代も変わっていった、そんな街にかつての思い出を見つけながら彼の旅は続いていく
少しずつ、少しずつ、指輪の数が増え、少しずつ、少しずつ、かつてのミスターパットがよみがえる
友人たちも、愛した人も、家も、思い出も失い、その時、遺された者に残るものはなんなんだろうか
当たり前だが、許すことは、当人以外誰にも出来ない
端から見て、それが些細な、こだわるほどでないとしても
そして、許さないこともつらい
許さないことは時間を止めること
許すことは、止めた時間を再び動かすこと
エンドロール前の最後のシーンにクスッとしながら、エンドロール後のワンシーンに微笑んだ
come and see me sometime
歳を重ねるってこういう事、なのかな。
歳を重ねて周りの友人や恋人もいなくなって自分が長生きした時、どんな感じになっていくのかな。寂しく生きるかもしれないし、過去ばかりを思い出して現実と思い込みの間がわからなくなってくるかも。最期は何かをやり遂げたと思って終わればよいなー、とか考えた。
悪い映画ではないけれど、、、
表題どおり、悪い映画ではない。よい映画だと思う。しかし、私には今ひとつ、心に食い込んで来ない。もっといい映画になれたかもと感じてしまう。
睡眠不足がたたって、数回眠ってしまった。特に前半部分。私だけでなく、後ろの方でいびきをかいている方がいた。退屈な証拠ではないか。
シャリー・バッシーやダスティ・スプリングフィールドの懐かし歌が聞ける。
万引きは犯罪です。
引退し、終末期を迎えている元高級ヘアドレッサーが、嘗ての顧客の死に化粧を頼まれ出かける話。
嘗て親友であったけれど疎遠になっていたリタの死と、遺言での依頼を聞いて1度は断った主人公だったけれど、平静ではいられず施設を抜け出し…。
ロードムービーといっても1つの町での1日の出来事で、実際にやったら1日じゃ絶対無理でしょうにという中味だし、回顧といってもエピソードは自分語りで、そこに出て来る人との深いエピソードみたいなものは殆ど無し。
それでもしっかりとしっとりさせる場面はあるし、コミカルにみせるところもあってツッコミを排除させるはでなかなか面白かった。
クラウンローヤルに王冠がないのは狙いかとか思ったのは勘繰り過ぎですかね…。
次の世界に行く前に観たい映画
まず出だしから何しろカッコよかった。
おー、オシャレに始まるんだな、と思ってたら急に寂れた老人ホームになり、お世辞にもキレイとは言い難いくたびれたスウェットを着たどこにでも居そうなお爺ちゃんが出てくる。頑固なのは言動でわかるけど、それ以外に特に特徴がない。
けど、このお爺、吸ってるタバコが妙に色気のある葉巻みたいな細い洒落たタバコで、なんかここにまず予感を感じるのよね。そしたら、このお爺は実は地元では有名なヘアメイクドレッサーだった過去があって、それゆえかつての親友の死化粧を頼まれたことから話がどんどん展開していくのだけども。
まあこの人、他人の言うこと聞かないし、自分のやりたいことはやりたいように全部やっちゃうし、目的のためなら手段を選ばないし、ちょっと周りにいたら手を焼くだろなと思うけど、とても魅力的なお爺。
あんなにくたびれてたのに、帽子、服、化粧品、と本人の魅力と愛嬌と過去の栄光から、身綺麗になるアイテムを手に入れるたびに段々元気を取り戻していくのが観ていてとても楽しかった。
なんであんなくたびれてたのか、なんでそんなに頑なに過去の出来事にこだわっていたのか、彼がずっと蓋をして見ないようにしていたものたちが、少しずつ色んな場所から飛び出してくるたびに、紐がするする解けるようにわだかまりが溶けていく。
その度に一緒に泣いてしまった。
なんというかね。
もう人は絶対死ぬのでね。
どんな風に死ぬのかはもちろん選べないことの方が多いと思うけど、けどもうこれだけやり切ったから次の世界に行ってもいいかな、と思えるような死に方を私もしたいなと思った。
そして、なによりも自分が本当にやりたいことや大事にしていることは、悔いが残らないようにやり切って人生は終えるべきね!
そして私も、また会いましょう!って言いたい。
パット、あなたとにかくカッコよかった!
15歳の娘と観たけど、私はエンドロール観ながらも涙が止まらなかったし、彼女は上映後のトークショーで振り返ってるのを聞いてるうちにまた泣いてしまっていた。
いい映画だったね!観れてよかった、連れてきてくれてありがとう、が感想でした。
私が1番好きだったシーンは、車椅子で道路をドヤ顔で走る?とこ。笑
10年後にまた観たい映画。
おすすめです。
本当たくさんの方に観てほしい!!
普遍的な友情の物語
Fan's Voice( @fansvoicejp )さんの試写会で拝見。
想定外で、ゲイ映画で泣けるとは我ながら驚き。
感動のロードムービーでした。
「亡き友への気持ちを乗せたメイク」なんてテーマっぽい予告編に惹かれたのと。
『悪魔のはらわた』の博士、『アイアン・スカイ』の総統、『バクラウ 地図から消された村』のマイケルなど、250本以上の映画で渋い役や、怖い役で脇を固めるウド・キアが、ゲイ役で主演ってだけで興味が出て応募したら当たりましたが。
これ、試写会で観てよかったのかな、ちゃんとお金払って観なきゃいかんかったかな、と思いました。
監督のゲイ文化や故郷へのラブレターであるとともに、性別には関係のない、超越した普遍的「友情」ってあるんだなと思わせる、真摯な作りに感心しきりです。
ゲイ・カルチャーへの回顧と意地
引退したゲイのヘアメイクドレッサーが、亡き親友の最後のメイクを施す旅に出るロードムービー。昨年の東京国際映画祭で見逃してしまったので、是非ともチェックしたいと思っていた。
何といっても主役のウド・キアの老境演技が光る。飄々として洒落っ気たっぷりな老人ぶりが実に痛快。『プリシラ』でドラァグクイーンを演じたテレンス・スタンプ然り、若かりし頃に美青年として名を馳せた役者が年齢を重ねてLGBTQ+の役に扮するというのは、ある意味で理に適っているのかも。もっともキア本人はゲイらしいが。
寄る年波に勝てず、静かに人生を終えようとしていた者が、亡き友のために再起する――タイトルこそ「白鳥が亡くなる直前に最も美しい鳴き声を出す」という意味だが、裏には失われつつあるゲイ・カルチャーへの回顧と、「まだまだ消えるわけにはいかない」というトッド・スティーブンス監督の意地を感じる。
地味だけど、こういうテイストの作品も年に一本は抑えておきたい。
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