「ごめんなさい。それはさすがに、カツラにしか見えないです。」スワンソング bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
ごめんなさい。それはさすがに、カツラにしか見えないです。
ウド・キアのゲイ役ってのが軽く衝撃。名優に不可能無し、なんだろうなぁと期待はしてましたが、実際、不可能無しだったw
主役は、ゲイにして頑固な偏屈ジジイです。ここにウド・キアをキャスティングした発想に拍手したくなります。だって、この年代の男優さんって「男くささ」が濃いい年代だと思うんですよ。今の若手なら、ちょっと女性的だったり中性的な顔立ちだったり、そういう表情を見せる人は少なくないと思うんですが。この役が似合う老男優って、あまり思い浮かばないw
我が国風に言うと、結果的に「終活映画」って事になります。イーストウッド、バート・レイノルズ、ジョニー・デップ(まだ若いのにw)等々、名優主演の終活映画が、ここ数年で公開されてますし、一種のジャンルになってると言えると思います。
でですよ。
自らを縛り付けていた、過去の重りだったり、自己呪縛だったり、単なる意地だったりから、自己を解き放ち、ココロを軽くして旅立つ。つまりは自己解放で安息だったり、自由を得る。と言う、終活モノの流儀通りのストーリーです。主役がゲイで、職業が美容師さんと言う、現代なら「当たり前に見える設定」なんでしょうけど、それを60歳ほど(だったか?)遡ってロードムービーにしています。
爆笑個所は無いし、途中、展開がかったるいと感じるとこがない訳じゃありませんが、そこはロードムービーですよ。行く先々で出会う、と言うより待ち受ける人々が、いい塩梅に深入りして来ないんで、ウド・キアの当初目的の成就やいかに!と言う本流から外れることなく、最後まで楽しめました。
AIDSと言う死因。それを見る・聞く人々の嫌悪の感情。それが怖くて、友人の恋人の葬儀に出かけられなかった有名女優。偏見の目で見られた事。友人だと思っていたのに軽蔑されていたのだと言う思い込み。を、男が抱くのは当然であったろうと。男は、彼女の死後、なぜか彼の名前を知っていた彼女の孫の口から、真実を知ることになります。彼女は、15歳になった孫のカミングアウトにうろたえることなく、かつての彼女の親友だったゲイ・カップルの恋の素晴らしさを語って聞かせていました。偏見で目を曇らせることなく、彼女には、彼らの恋の美しさが見えていたのだと、男は知ることが出来ました。
ゲイの終活映画は、ゲイへの偏見の歴史が主題。でね。繰り返しになるけど、そのゲイを演じてるのがウド・キアって言う。逆にですよ。もしも孫がゲイをカミングアウトしたら、ライフルで頭を撃ち抜きそうなウド・キアですけどねw
いつもとは、顔つきがちょっと違うw
良かった。
結構。