劇場公開日 2022年8月26日

  • 予告編を見る

「鑑賞後心が温まるお話」スワンソング ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鑑賞後心が温まるお話

2022年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

作品のレビュー前に、上映後に行われた監督とのオンラインインタビューの模様を少し。
インタビュー冒頭いきなり監督のゲイカミングアウトから始まって「そのカミングアウト必要?」と思ったら、この作品は監督が幼少期に過ごした街にいて、強烈なインパクトを与えた有名人(パット)について、監督本人と近親者たちの記憶に基づいて作り上げたものとのことで、その後の監督の人間形成に影響があったのならカミングアウトも必要なパーツだったのかと納得した次第。
その後のインタビューでは主演がウド・キアに決まった経緯や撮影は16日間というタイトな日程で行われたことなど、非常に興味深いものでした、いやぁ、これはこの回を観てよかった!
さて、作品ですが、2日間ほどの間に元カリスマ美容師であるパットが元親友で顧客であった女性の死化粧を施すまでに繰り広げられるロードムービー。
監督の言葉によれば保守的で画一的な格好を好む人々が暮らす街が舞台なのですが、登場する人たちは総じて寛容で悪人が出てこないのがとても心地よく、クスリと笑えるシーンも盛り込まれテンポ良く進んでいきます。
しかし、パットが一旦は受けた依頼をできないと悩み始めてからの過去への回想シーンと現実か夢想なのかわからないシーンが中盤続くあたりがややダレ気味になったのが残念なところかな。
とはいえ全体を通してユーモア・愛情・思いやりにあふれる良作だと感じました。
ウド・キアの演技も素晴らしかった!
LGBTものととらえるより、友情を取り戻すロードムービーと受け止めて幅広く観てもらいたい一本です。

ニコラス