劇場公開日 2022年10月8日

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アメリカから来た少女のレビュー・感想・評価

全14件を表示

4.0転校や留学を経験した人ならきっと思い当たる

2022年10月8日
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悲しい

1990年台湾生まれのロアン・フォンイーは、半自伝的な内容のオリジナル脚本を映画化した本作で長編監督デビューを果たし、台湾の金馬奨5冠のほか東京国際や香港の映画祭でも高評価を得た新進気鋭の女性映像作家だ。幼い頃に母と妹と米国で暮らし、2003年に台湾に戻ってきたのは実体験だという。

コロナ禍が世界に拡大した2020年、台湾政府の迅速な対応を主導して注目された民間登用のデジタル大臣オードリー・タン氏が、未知の感染症に機敏に対応できた理由の一つとして、「SARSが流行した時期の教訓を活かせたこと」を挙げていた。日本ではSARSはあまり流行しなかったので、映画の後半に出てくるSARSの猛威に翻弄される台湾社会の描写がコロナ禍の今に重なることに日本の観客の多くは驚くはずだし、SARSの時代の話がコロナの現代に映画化される巡り合わせにも考えさせられる。

撮影のための照明を加えず、自然光と現場の屋内などにある照明器具だけで撮影したという映像は、主人公の少女ファンイーのつらい思いと重苦しい時代を反映するかのように、暗いシーンの印象が優勢だが、暗い映像が優勢だからこそ、父親の髪を娘2人がはしゃぎながら染めるシーンのような家族の情景が対照的に温かみを伴って輝くのだろう。

家族の情景といえばもう一つ、座る母親のももの上に娘が頭をのせて耳掃除をしてもらうシーン。自分も幼い頃そうしてもらっていたなと懐かしく思い出し、そういえば親が耳かきで子の耳を掃除する習慣って外国にもあるのだろうかと疑問に思う(欧米なら綿棒で済ませていそう)。少なくとも映画ではほかに目にした記憶がない気がする。

米国で暮らした経験のある女性が台湾に戻り、アウトサイダーの視点も交えて台湾社会を見つめるという点で、2019年のアニメ映画「幸福路のチー」に通じる。あちらも女性監督による半自伝的なストーリーだった。台湾映画界での若手女性の躍進を頼もしく思う。

まったく新しい環境で暮らすことの不安、周囲になかなか馴染めない時期のもどかしさ、かつての住み慣れた場所や友達を恋しく思う気持ちなど、転校や留学を経験した人ならきっと思い当たる感情が、繊細に表現されている。

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高森 郁哉

3.0え、これで終わり?って感じのラストで、 私的にはもっと欲しいけど、...

2023年10月22日
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え、これで終わり?って感じのラストで、

私的にはもっと欲しいけど、

この作品の終わり方としてはこれもアリかな、と思った

前の職場で私が出会った台湾人の同僚たちを思い出すと、

映画の方がわがままというか、

自己主張が強かったり協調性がなかったり、

もっと家族で融合していく人たちだと思っていたので、

その辺が新鮮だった

3.5に近い3

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jung

2.0残念!

2023年2月9日
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マサシ

4.5家族の日常が愛おしい台湾映画

2023年1月21日
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泣ける

悲しい

幸せ

父の暮らす台湾にアメリカから帰国した、乳がんを患う母と13歳のファンイーと幼い妹。
ひとつの家族の日常が丁寧に綴られており、美しく愛おしい作品でした。

姉妹たちの子供らしい素直な台詞には、微笑ましかったり、時には目を見開いたり。脚本の感性が素敵だなと思いました。
母親と父親の病気の辛さや、衝突、相手や娘達を思う温かさも描かれていて、切なく、温かい気持ちになりました。

家族を通して観る台北はアメリカとは違う不自由さがありつつも、アジア的な美しさや雰囲気も良かったです。

映画のキャッチコピーにもなっている13歳のファンイーが綴る「母の弱さは 自分の弱さ、母の怖さは 私の怖さ、母の強さは 私の心に」が好きで、原稿の続きが読みたくなりました。

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せん

4.0自分のいるところを居心地よくする映画

2023年1月8日
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KSクッキー

5.0星数が足りないよー⭐

2022年11月28日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

間違いなく今年のベストの一つでしょう。
10点あげてもいいんだけど、なんで5つまでなの!!w

思春期の複雑な心理描写、妹も幼いながらも家庭状況を敏感に察し、様々な不安に襲われたんだろうと思う。
また2人の子役がホントに上手くて、感心しきりでした!
家族なんてそんなにいいことばかりじゃないし、その複雑な集団の中心を夫婦役2人も素晴らしかったー
それでも家族はいいよねっていうような映画でもあると感じたなあ

このいうことがあるから、家庭なんて持ちたくないし、それでも夫婦や家族に憧れる人は一つの〝特殊特技〟と独りが好きな自分は常々感じるけど

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雨の夜はヤバイゼ

4.5ガラス細工のような…

2022年11月22日
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鑑賞方法:映画館

美しく繊細で壊れやすいガラス細工のような、2019年に制作された台湾映画。
SARS渦を背景にしてはいるものの、母の病気を理由に台湾に帰ってきた母子と、久しぶりに同居する父の生活を静かに映し取ってゆく、とても静かな映画。
家族の誰もがお互いを想い、愛し合い、それゆえに決定的な別離を恐れ、そのために感情をぶつけ合ったり、言い合ったり、そうした一瞬一瞬が本当にかけがえがないんだと教えてくれる。そういう映画。
公開規模は本当に小さいんだけど、機会があったら観ていただきたい。
思い出すだに泣けてくる、そんな美しい映画です…

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ぱんちょ

3.5なんかタイトルこれでいいのかな?

2022年10月22日
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鑑賞方法:映画館

お母さんが乳癌になりアメリカから台湾に戻った母子三人と、仕事で台湾に残っていた父親がギクシャクしながら家族として再生する話。

アメリカに帰りたくて愚図る主人公の少女は監督の体験がベースになってるらしい。転校って親が思う以上に子供にとっては辛いよなぁ。
そして、やはり母と娘の関係というのが複雑だ。
ライバルというか、、、私ならこうする的な主張のぶつかり合い、父と息子よりわかりずらいよね。

お父さんはなかなか良い人で、不思議と憎まれないキャラ。まあ男親は総じて娘には甘いけど、苛つき不安定な母と子の緩衝地帯になってる重要な存在。
クライマックスの弁論大会も不発に終わり全体に地味で普通な話なんだけど、、、、丁寧な美術や子供達の演技も実にリアルでよかったです。

あとで脚本初稿では弁論大会がクライマックスだったと知りました。それはそれでよかったかもなぁ。

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masayasama

3.5心に残る傷

2022年10月21日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

ゴミをあんなふうに出すのかと思いました。
母の病気だけでも大変なのに、アメリカから帰国して厳しい学校に通うことになって。
家のパソコンはネットにつながらないし。
そしてSARS禍で妹が発熱。
病院に行く・行かないで親の意見がわかれるのも、ありがちですね。
お父さんが泣きたくなる気持ちも分かるけど。
子どもに体罰を与えて、いいことはないと思う。
暗い画面の撮影が印象的。

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マリエル

4.0揺れ動く少女の心と家族との葛藤

2022年10月15日
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台湾の経済はそれほど貧しいとは思えないが、様々な国際情勢に左右される部分はある思う。
アメリカから台湾に戻ってきた13歳の少女ファンイーだが、アメリカに戻りたいと思うのは当然のことだとは思う。
母親の病気、離れていた父親との関係、慣れない学校生活など、ひとりでは背負いきれないストレスが少女の心を揺れ動かす。
主役のケイトリン・ファンさんはオーディションで選ばれ、演技未経験だというが、その表現力は素晴らしく、主人公ファンイーの感情の動きをよくとらえている。
この映画はSARSという題材を扱い、現在のコロナと結びつけることもできるが、ことさらに不幸を強調せず、親子の幸福感を描いているところが素晴らしい。
ロアン・ファンイー監督の長編デビュー作品。これからも、こんな心に残る映画をつくり続けてほしい。

#168

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caduceus

4.5個人的には今年ベスト級

2022年10月15日
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リブレ

3.5タイトルに違和感ありですが

2022年10月9日
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難しい

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Masatoshi Matsumoto

3.0ママも成長しなくちゃね

2022年10月9日
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幸せ

萌える

母親が乳癌になり台湾に帰国した13歳の少女と家族の話。

父親を台湾に残し母親と娘2人はL.A.で暮らしていたが、母親が乳癌になり帰国して手術を受けてというストーリー。

仲の良かった友人と離れ離れになるし古いアパートでインターネットも繋がらない、古臭い思想の名門学校への編入で文化も異なりイマイチ馴染めない、昔台湾に済んでいた頃にご近所さんだった同級生とはなんとか仲良くなったけど…。

手術は上手くいったのに悲観的な感情に取り憑かれ、自分が死んだ時の話しばかりするママに、仕事を言い訳にして家族と深い話はせず、楽観的なことを適当に答えるパパ。そりゃあケンカにもなりますよ。
そして妹の面倒もみなくちゃならない感じだし、という思春期ガールにはストレスMAXな状況ですね。

そんな中でもがきながら自分をみつめて悩んで前に進んでいくお姉ちゃんの姿が素敵だったし、何だかんだ家族みんな大好きな様子が伝わってきて素晴らしかった。

原稿を読んだパパの言葉響いてたね。

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Bacchus

3.0思春期とアイデンティティ

2022年3月28日
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北京オリンピックでの谷愛凌(Eileen Gu)の活躍は記憶に新しいと思います。
中国に金メダルをもたらしましたが、国籍については明言をさけていました。そのことがいいかわるいかはともかく、見た目が白人でモデル業もやっているかのじょが、中国よりアメリカに帰属していたいという気持ちはわかるものでした。

アメリカ生活が習慣化していたのなら、そこから脱却するのは難しいのではないか──と想像できます。
だいたい、アメリカに行ったことがなく英語も使えないわたしでさえ、少年の頃は、洋楽や洋画がすきで、邦楽や邦画を「だせえよ」とみなす厨でした。米英に憧憬をもっていました。

幼少をアメリカで育ち台湾へ越してきたら差を感じて落ち込むことでしょう。根拠はありませんが逆よりも大変な気がします。よって「アメリカンガール」の気持ちはわかるものです。

時は2003年です。乳がんと診断された母と姉妹がロサンゼルスから帰郷します。台北ではSARSがはやっていました。アメリカの生活から一転したことと主人公の反抗期が重なり親と激しく対立します。

少女のアイデンティティの危機をあつかっていることからThe Half of It(2020)や韓国映画のはちどり(2020)を思わせる雰囲気もありましたが、米韓ほど巧い映画ではありませんでした。
母や馬の主題が、尻切れとんぼになっていたと思います。また陽光の気配をことごとく欠いたカーウァイのように暗い映画でした。

ところでアイデンティティとは辞書によると『他とはっきりと区別される、一人の人間の個性。また、自分がそのような独自性を持った、ほかならぬ自分であるという確信。組織、集団、民族などにも用いる。自己同一性。』とありました。

わたしの解釈ですが、もっとわかりやすく言うと「じぶんの所属しているところがどこで何か解っていること」がアイデンティファイです。

したがってアイデンティファイができている人とは、たとえばアメリカを愛しているアメリカ人です。
たいていのアメリカ人はアメリカを愛しており、それを堂々と公言しています。

時事(ロシアのウクライナ侵攻(2022/02/24~))によせて言えば、ウクライナ人もウクライナを愛しています。
アイデンティファイができていると、帰属を守るために大切なもの(たとえば命)をかけることさえできます。

では日本人はどうか──と自問自答してみました。わたしはアイデンティファイできているんだろうか。と。・・・。

ロシアのウクライナ侵攻にたいする日本人の見解がナンセンスに聞こえるのは何千キロも離れた安全な場所からそれを論評しているから、ではなく、発言者に日本を愛してるという確たる自負=アイデンティティが見えないからです。

前戦がオリンピックの地続きのような様相で見えているからこそ大統領応援してますコメントが湧いてくるのかもしれません。なんにせよ日本人は他国の戦争を語ることができる玉ではない(度量はない)と思うのです。

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津次郎