「これまで観た映画の中で1番ダサい映画でした」サイキッカーZ 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
これまで観た映画の中で1番ダサい映画でした
劇中のセリフで「サイキッカーZなんて存在自体がダサい」とありまして、それ以外でも「ダサい」ってセリフが頻出していたんですけど、もしかして監督は自分がイケてると思っていて、ワザとダサい映画を作っているとでも思っているのかな?と考え出したらスゴい怖くなりました
何故なら、構成・脚本から役者の演技、監督の演出、カメラワーク、アングル、編集、CG、ロケーション、衣装などなど、スクリーンに浮かび上がる物のすべてがダサかったからです
かつてこんなにも、何から何までダサい映画を観た記憶がありません
逆にすごい映画を劇場で観てしまったなと思いました
1900円の価値があるインディーズ映画なんて皆無なんですけど、こういう、想像もしなかった角度からアゴを打ち抜かれて脳が揺れるみたいな体験があるからインディーズ映画を観るのを止められないんですよね
安っぽいとも違うんだよなぁ……
低予算で安っぽくてもセンスある監督が作るとセンスあるシーンやアングルとかセリフとか絶対どこかにあるから
この映画は、センスあるなぁって感じる要素がマジで1つも見当たらなかったんですよね
貶してるように聞こえるかもしれませんが、ここまで突き抜けてダサい映画を作れるのはある意味で個性だし、ある意味で才能ですよ
このまま自分のダサい感性に従ったまま、ダサい映画を撮り続けた方がいいです
欠点を上げるとすれば、情熱大陸の密着VTRみたいな構成にしたことですよね
これにしたことでシーンとシーンの繋がりとか時系列的な順番とかキャラクターの感情の流れとか、全部無視して監督のご都合で説明しておきたい情報や描きたいシーンを自由に並べることが出来ますけど、その代わりに何もドラマが盛り上がっていかないですよね
それに冒頭の30分から40分ぐらいまで本当に必要な情報やシーンは無いからゴッソリ切れます
ただやたら多いサイキッカーを順番に紹介してるだけですからね
そんなの、悪側のサイキッカーたちとの戦いの中で能力とか個性とか関係性も描けばいいだけだから、悪側との戦いが始まるより前のシーンは全部要らないんですよ
監督さんはそんなに若くもないようだから脚本や構成のクオリティは直らないと思いますが、その場合はこのままでいいと思います
この土台があるから奇跡的なダサさが成り立っているかもしれませんので
長所だけを伸ばしていって欲しいと思います