「決着はすれど、結末は見えず」母の聖戦 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
決着はすれど、結末は見えず
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BGMはなく、戦闘の混乱ではカメラがブレ、ドローンなどの大掛かりな撮影もなさそう。
徹底して派手な演出を避け、現実感を与えるつくりに、制作者の想いを感じる。
流れとしては、主人公が手がかりを見つけ、軍の協力を得て追い詰め、それでも娘が見つからない、の繰り返し。
飽きがくるという意見も分かるが、これが果のない闘いに疲弊しつつ、それでも折れない母親像を引き立てているように思う。
結局はたった一本の骨で納得するしかない無力さを以て物語は終わる。
捕まった男の言葉の真偽も、黒幕の正体も、この『誘拐ビジネス』の闇はまったく明かされない。
“死”という真実でシエロの物語は区切りを迎えるが、何も終わらないし、何も解決しない。
実際の事件もそうなのだろう。
“物語”を描く作品なら失格だが、恐らくこれは“真実”を描く作品だ。
エンターテインメントではないが、意義のある作品だと感じる。
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