「安らかに眠れ」モスル あるSWAT部隊の戦い MARさんの映画レビュー(感想・評価)
安らかに眠れ
ISとの戦闘で叔父を失った新米警官のカーワ。そんな彼を、身内をISに殺された者だけが所属する特殊部隊に招き入れ、非公式の任務を遂行しようと闘う男達の物語。
序盤から緊迫感MAXの幕開け。激しい銃撃戦に息をつく間もない。
漠然と、ISISへの復讐の為に闘っているということは伝えられるが、カーワには任務の目的は知らされないまま、危険な闘いが始まっていく。
荒廃した街中でのゲリラ戦。ISとの闘いの中、仲間がひとり、またひとり倒れていき…。
悲しい別れが続く中、この任務の目的はいったい何なんだろうと、観客側もカーワと同じような気持ちになって見入ることができる構図。
行き場のない子供たち、相棒の行動、少佐たちの米軍に対する感情、戦利品奪取や賄賂、アスファハーニーのような輩の存在。すべてが深く、リアリティがある。
それまでまだまだ信頼されていなかったカーワが、ある行動により少佐から真実を告げられそうになるシーン。これが信頼を得るに至る過程なのか。。知りたくないというカーワ。いや、俺(観客)は知りたいんだけどwなんてツッコんでしまったが、まぁこのあたりは後々…。
そもそも、そんなに叔父を愛していたのかわからんが、明らかに危なげな部隊に比較的アッサリと入るカーワの気持ちや、何なら後半にはどういうわけか若干21歳警官歴2ヶ月の若者が百戦錬磨であろうSWAT隊員達よりもよほど落ち着いているのが謎。
そんな風に思ったりもしたが、最後は胸が張り裂けそうな展開。これが彼らが遂行しようとした任務なのか。そうか、誰かが助けてくれるってわけでもないんだよね…。
それでもまた次の闘いへ。それは仲間の為か、街の未来の為か。何が悲しいって、この部隊にいたってことは、道中倒れて行った仲間たちにももしかしたら同じように…。
やるせなさすぎるね。。
銃撃戦は、映画作品として見所があったし、随所にみられる「?」な展開もしっかり最後に理解できるし、何より大切なものを守る気持ちについて深く考えさせられる作品だった。少佐がワリードに決めさせようとするのも、何故かと思ったが終わってみれば納得ですね。
また、本作、いきなり銃撃戦から始まって、特にこれといった説明もなく物語が続いていくんですよね。もはや説明不要なくらいに誰もに根付いているこの状況に、改めて震え上がる作品だった。