「やや字幕が足りていないかなとは思うけど…。」モスル あるSWAT部隊の戦い yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
やや字幕が足りていないかなとは思うけど…。
今年177本目(合計241本目)。
今週は全般的に数が少なめで(12/3の週はムチャクチャ多い)、じっくり楽しめそうです。
実話ものベースですが、どうしてもアメリカの作品という事情もあるので、完全に平等に描き切るのも難しく、ISIS(イスラム国)の「言い分」も反映がやや足りていないかな…という印象は持ちました。
とはいえ、日本はいわゆるアメリカの「核の傘」で生きているのであり、ISISとはおよそ無関係な生活を送っていたのも事実で(一部、戦争中なのに行って問題になった人もいましたが…)、日本がいかに平和主義を大切にしているか、という点がわかります。
映画自体はやはり実話ものなので、あることないこと描けない描写で、かつ、宗教問題も含むため、かなり慎重に描写されているなという印象です。そりゃ、映画館でやってるんだから映画でしょといえばそりゃそうですが、映画というよりドキュメンタリーものという感じがぴったりくるのかな…と思います。
なお、最初に「このお話は実話に基づくものです」と最後に「この戦いで亡くなった方に敬意を表します」以外は、ほぼ映画内ではアラビア語です(英語は一切でない)。
ストーリーというストーリーが存在せず、また最初の10名のうちだれが脱落して…ということを書き始めると一気にネタバレになりますので、それらは完全にここでは省略します。
ドキュメンタリー映画であるため、深い知識は求められませんが、「イスラム教」「ISIS問題」などのキーワードで前日に予習しているだけでもだいぶ違う感じです。
採点は下記が気になったところです。
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(減点0.2)上記通り、最初と最後に英語で「このお話は実話ベースです」など出る以外は大半全部アラビア語で、字幕はないものの、街の看板(移動距離としては隣町に移動している程度か、10kmもなさそう?)も何も翻訳がない状況です。
ISISとの戦闘を描く映画で、ISISの「言い分」も入っているのか、「イスラム教を信仰しましょう!」とか、「コーラン(クルアーン)は毎日読みましょう!」とか書いてあるんじゃないかと思うのですが(そこそこ長文なことが書いてある看板も多数ある)、全部翻訳がないのでよくわからない状況です(そして、多くの日本人は誰もわからない…)。
また、セリフの一部が字幕に起こされていない部分があります(これももう、誰でも翻訳できるという映画ではないので、多少の訳漏れは仕方なしという判断)。
(減点0.2)この手のISISを扱う映画は最近よくみますが(2020年にもありました)、できるだけ「両者の言い分」を平等に描くべきところ、ISISが「世界中の敵」みたいに描かれているのは、理解はしうるものの、ちょっとな…とは思えました。
実際、ISIS(イスラム国)が「国だ」と主張したのは、さかのぼれば20世紀初頭のイギリスのサイクス・ピコ協定(これがイスラエル問題を引き起こし、連鎖的にアラビア諸国にも広まってしまった。イスラエル等が不可思議な国境線になっているのは、こうしたイギリスの20世紀初頭の矛盾した協定の妥協の産物)であり、映画の趣旨的に「イギリスを叩く映画」にするのは変ですが、イスラム国として「彼ら・彼女らの言い分」は当然あるのであって、その部分が一切なく、あたかも「復讐しておしまい」みたいな感じなのは、それはそれで、「広い意味で」イスラム文化に対して良くない影響を与えてしまう(広い意味で、イスラム教に対する誤ったヘイトを溜めさせてしまう)のではというところです。
(減点なし)とはいえ、ISIS(イスラム国)を扱った映画は2020年からありますが、やはり女性差別が激しい思想です。1か所だけですが、かなりどきつい表現もでます(表現のみ)。日本も完全に男女平等を達成しているとはいいがたいのですが、それどころか「女性の人権すら考慮されていない」という状況です。
この部分は、実話ものであり、実際にISISの主張でもあったのですが、その部分の補足がないので、やや配慮不足かな…というところです(「ISISの主張であり、本映画の主張ではありません」くらいはあってもよさそう)。
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